【第12回・学科一般 問5】

 地衡風の風速と気圧傾度の関係について述べた次の文章の空欄(A)〜(B)に入れる語句の組み合わせ(1)〜(5)のうち、正しいものを一つ選べ。

 緯度30度のX地点における地衡風速が10m/s のとき、X地点付近の気圧傾度は約 1hPa/100kmであった。
 同じ緯度30度のY地点における地衡風速が20m/s であるとき、Y地点付近の気圧傾度は約(A)である。
  緯度60度のZ地点における地衡風速が20m/s であるとき、Z地点付近の気圧傾度は約(B) である。
 ただし、簡単のためX〜Z 地点の空気密度は同じとする。

(a)

(b)

(1)

0.5 hPa/100km

1.5 hPa/100km

(2)

0.5 hPa/100km

2 hPa/100km

(3)

2 hPa/100km

1.7 hPa/100km

(4)

2 hPa/100km

3.5 hPa/100km

(5)

2 hPa/100km

4 hPa/100km

  

 

解説:

 地衡風の風速を v としたとき、気圧傾度 dp/dx とのあいだには

fv = 1/ρ・dp/dx  ただし、f = 2Ωsin φ  ・・・ (1)式

(f はコリオリパラメータ、ρは空気の密度、Ωは地球自転の角速度、φはその地点の緯度)

 という関係があります。

 

太陽定数

 この問題では、各地点での気圧傾度を求めるのですから、(1)式を変形して、

dp/dx = fvρ

    = 2Ωρvsin φ  ・・・ (2)式

としておきます。

 x地点での緯度・風速・気圧傾度の数値を(2)式に代入して、

1 [hPa/100km] = 2Ωρ・10[m/s]・sin30゜ ← sin30゜= 1/2

∴ Ωρ = 1/10

ここでは、地球自転の角速度Ωと空気の密度ρの個々の値は求まりませんが、X、Y、Z いずれの地点においてもΩとρの値は同じですから、両者の積Ωρ= 1/10 がわかっていれば十分です。 この値を Y、Z 地点での計算に用います。

 Y地点での気圧傾度の大きさを(2)式を用いて計算すると、

dp/dx = 2・(1/10)・20[m/s]・sin 30゜

   = 2 [hPa/100km]

 Z地点での気圧傾度の大きさを(2)式を用いて同様に計算すると、

dp/dx = 2・(1/10)・20[m/s]・sin 60゜ ← sin60゜= √3/2 = 1.73/2

   ≒ 3.5 [hPa/100km]

 

 

 

 答:(4)   

 

  


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