【第10回・学科一般 問6】地上の摩擦力の影響を受けない上層の大規模な大気の運動は、中・高緯度ではコリオリ力と気圧傾度力がつりあう地衡風関係が近似的に成り立つ。この関係について述べた以下の(a)〜(d)の文の正誤に関する次の(1)〜(5)の記述のうち、正しいものを一つ選べ。
(a) 地衡風の速さは気圧傾度力に比例する
(b) コリオリ力は地衡風の速さに比例する
(c) 同じ気圧傾度力ならば、地衡風の速さは高緯度ほど大きい
(d) 同じ地衡風の速さならば、コリオリ力は高緯度ほど大きい(1) (a)のみ誤り
(2) (b)のみ誤り
(3) (c)のみ誤り
(4) (d)のみ誤り
(5) すべて正しい
解説:
地衡風を表す式 (コリオリ力と気圧傾度力のつりあい)
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ただし、f = 2Ωsinφ ・・・ (2)
問題文中にあるように、上層の風はコリオリ力と気圧傾度力がつり合った状態で吹きます。この風を地衡風と言います。
左辺の式で表されているものがコリオリ力で、北半球では風を進行方向に向かって右方向に曲げる力です。
右辺の式で表されているものが気圧傾度力です。高い気圧側から低い気圧側へ風を吹かせる力です。
f はコリオリパラメーターで、緯度によってその大きさは違ってきますが、緯度が決まればその値が決まるので定数として扱えます。ふつう計算問題では定数として問題文中で与えられます。
v は地衡風の風速[m/s] です。
ρ は空気の密度 [kg/m3] です。これもふつう計算問題では定数として問題文中で与えられます。
Ω は地球回転の角速度です。角速度とは、回転運動において1秒間に角度が何ラジアン変化するかを表すものです。
角度には、度[゜]とラジアン[rad] の二つの表し方があります。ちなみに、360゜ = 2π[rad]
という関係です。ですから地球が24時間(= 86400秒)かかって1回転(= 2π[rad])するのですから、その地球自転の角速度 Ω は、
Ω = 2π/ 86400
= 7.27 × 10-5 [rad/s]
ということになります。これもふつう計算問題では定数として問題文中で与えられます。
φ はその場所の緯度です。
このように、地衡風を表す式を覚える上で、右辺左辺およびそれらの各項が何を表しているのかをしっかり覚えてください。
以下、この知識をもとに(a)〜(d)の記述について検討していきます。
(a) 「地衡風の速さは気圧傾度力に比例する」
(1)式を次のように変形すると、地衡風風速を表す式になります。
この式で、v と 気圧傾度力との関係を見ればいいのですから、比例ということになります。
(b) 「コリオリ力は地衡風の速さに比例する」
(1)式の左辺がコリオリ力で、次のように表されています。
コリオリ力 = f v
この左辺のコリオリ力と v との関係を見ればいいのですから、比例ということになります。
(c) 「同じ気圧傾度力ならば、地衡風の速さは高緯度ほど大きい」
「同じ傾度力ならば」というのは右辺が一定ということを意味します。ですから(1)式は
f v = 一定
ということになります。この式で、f を 2Ωsinφ で置き換えると、
2Ωv sinφ = 一定
となります。
この式を見ると v とsinφ との関係は反比例の関係です。つまり地衡風の速さ v が大きくなるためには、逆に sinφ の値は小さくならなければなりません。
φ とsinφ とは、下表のように、0゜〜90゜の範囲では φが大きくなるほど(=高緯度ほど) sinφ も大きくなるという関係にあります。ですから高緯度になるほど sinφの値は大きくなって、逆に v は小さくなってしまいます。
φ 0゜ 30゜ 45゜ 60゜ 90゜ sinφ 0 0.5 0.71 0.87 1 つまり(c)の記述とは逆に、地衡風の速さは高緯度ほど小さくなるので、この記述は間違いということになります。
(d) 「同じ地衡風の速さならば、コリオリ力は高緯度ほど大きい」
(b)で説明したように、(1)式の左辺がコリオリ力で、次のように表されています。
コリオリ力 = f v
この式で f = 2Ωv sinφ ですから、
コリオリ力 = 2Ωv sinφ
となります。ここで 「同じ地衡風の速さならば ・・・ 」とあるので、v を一定とするとコリオリ力とsinφとは比例関係になります。(c)で説明したように、φが大きくなるほど(=高緯度ほど) sinφ も大きくなりますから、コリオリ力は高緯度ほど大きいと言えます。
※ 赤道直下(緯度0゜)ではコリオリ力はゼロのため、台風は発生しないことを思い出しましょう。
以上から、(c)のみが誤りとなります。
答:(3)
【類題】15回-問4
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