【第2回・学科一般 問3】

 下の表はある観測点における大気の温度を地表から1km ごとに測定した結果を示す。これについての下の文章で、下線部分(1)〜(5)のうち、誤っているものを一つ選べ。
 ただし、乾燥断熱減率は約1.0℃/100m、対流圏下層での湿潤断熱減率は約0.5℃/100m とする。

高度(km)

気温(℃)

0

22.8

1

12.8

2

6.3

3

-0.2

4

-6.7

5

-13.2

6

-19.7

7

-26.2

8

-32.1

9

-38.5

10

-44.9

11

-50.1

12

-50.1

13

-50.1

14

-50.1

15

-50.1

 

 高度1km 以下の成層は、乾燥大気に対し(1)中立である。
 また、高度1km から3km の成層は
(2)絶対不安定である。
 高度
(3)1km より高いところは成層圏と見られ、温位は上に行くほど(4)高くなっており、大気の成層は(5)絶対安定である。

  

 

解説:

 

(1)について

 高度1km 以下というのですから、0〜1km でどれだけ温度が低下しているかという温度減率を計算します。

(12.8℃ - 22.8℃) / (1km-0km) = -10℃/km

これは100m あたりにすると -1℃ ずつ低下することを示しており、問題文で示された乾燥断熱減率(1.0℃/100m )と同じですので、この大気は中立であると言えます。  ∴ (1)は○

 

(2)について

 同じように1〜3kmの温度減率を計算しますと、

(12.8℃ -(-0.2℃)) / (3km-1km) = -10℃/km

(1)と同じでこの場合も中立であるはずですが、問題文では(2)絶対不安定と言っています。  ∴ (2)は×

 

(3)について

 11〜15km では-50.1℃ と気温は一定になっており、ここが対流圏の上にある下部成層圏であることがわかります。
 なお、数字だけみて「10km
より高いところではないの?」と思った人もいると思いますが、10〜11km の気温は-44.9℃ から-50.1℃に下がって(変化して)いますので、ここは対流圏上部です。  ∴ (3)は○

 

(4)について

 この気温が一定となっている11〜15km では気温が一定となっていますが、例えば15km のところにある空気を11km まで移動させた場合、断熱圧縮による温度上昇によってその空気の温度は上がるはずです。ですから、11〜15km の大気については気温は同じでも同じ高さ(ふつうは1000hPa)に持ってきたときの温度は上層ほど高いので温位は上に行くほど高くなっていると言えます。  ∴ (4)は○

 

(5)について

 下層よりも上層のほうが温位が高い状態は、暖かい空気が上にあり、冷たい空気が下にあることを意味しますので、大気の成層は安定です。  ∴ (5)は○

 

 

 答:(2) 

 

 


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