【第08回・学科一般 問2】

 ある地点で三つの異なる時刻 A、B、C の高層気象観測で図のような鉛直気温分布が観測された。各観測時刻における500hPaの高度は、いずれも5000gpm であったとする。この各時刻における地上気圧 PA、PB、PC の大小関係を正しく表しているものを、次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
 ただし、大気は十分に乾燥しているものとし、気象条件は静力学平衡が成り立つものであったとする。

(1) PA = PB = PC
(2) PC > PA, PB = PA
(3) PB > PA > PC
(4) PB > PA, PC = PA
(5) PC > PA > PB

 

 

 

 

解説:

 

地上気圧を決めるもの

 地表の気圧はそれよりも上にある空気の重さの積み重ね(= 気柱の重さ)として表されます。
 この問題の場合、文中の「各観測時刻における500hPaの高度は、いずれも5000(gpm) であったとする」という記述から、5000(gpm)より上層にある空気の重さは等しいことがわかります(余計なことを言えば、B のはるか上層には軽い空気があり、C のはるか上層には重い空気があるのでしょう)。ですから地表の気圧は5000(gpm)より下層、すなわち5000〜0(gpm)までにある空気の重さによって決まることになります。

 

気温・密度・気圧

 冷たい(=温度の低い)空気塊は密度が大きく気圧は高くなります。逆に、暖かい(=温度の高い)空気塊は密度が小さく気圧は低くなります。

 このことをふまえて、5000、2500、0(gpm)の3つの高さごとに A、B、C の気温の大小関係を比べたのが下の表です。 問のグラフには具体的な数値が示されていないので、「」で大小関係を表しました。

 

高度(gpm)

B

A

C

5000

温度

温度

温度

2500

温度

温度

温度

0(地表)

温度

温度

温度

 これを見るとまず、2500(gpm)を除けば、つねに温度が低いのは B であることがわかります。これは5000(gpm)から地表までが A や C よりも重い(≒ 密度の大きい)空気で占められていることを意味します。ですから B の気圧が最も高いことがわかります。

 次に、A と C との大小関係を求めます。高度 0(gpm)の地表においては、A と C の気温は同じなのですが、それより上では A の温度はC よりも低くなっています。これはつまり、A は C よりも重い(≒ 密度の大きい)空気で占められていることを意味します。ですから A は C よりも気圧が高いということになります。

 以上から気圧の大小関係を等式で表せば、 PB > PA > PC  となります。

 

 答:(3)  

 


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