【第5回・学科一般 問6】次の文章で、空欄 A,B を埋める数値の組み合わせ(1)〜(5)のうち、正しいものを一つ選べ。
地上(高度0m)から1350m の高度まで上昇する質量1kg の気塊を考える。
質量m kg の気塊の受ける浮力は、気塊の温度と周囲の大気の温度差の差をΔT(K)、周囲の大気の地上から1350m までの平均気温をT’(K)、重力加速度をg (m/s2) とすると、近似的にmgΔT/T’(N) となる。
地上から1350m までの大気の平均温度を270K とし、気塊の温度が常に周囲の大気の温度より1度高い状態を保ちながら上昇したとすると、浮力が1kg の空気塊に対してする仕事は( A )となる。この仕事がすべて気塊の運動エネルギーの増加に使われたとすると、1350m の高度における気塊の上昇速度は( B )になる。
ただし、簡単のために、重力加速度 g = 10 (m/s2) とする。(1) 50J 10 m/s
(2) 5J 3 m/s
(3) 5J 10 m/s
(4) 50J 7 m/s
(5) 50J 25 m/s
解説:
気塊が受ける浮力
気塊が受ける浮力を求める式 mgΔT/T’は、問題文中で与えられていますから、まずこの浮力の大きさを求めます。
気塊が受ける浮力 F = (1 × 10 ×1) / 270
浮力がした仕事量
物理でいう仕事 w とは、物体にある大きさの力 F [n] を加えて、直線距離である距離 x [m] だけ動かしたとき、この両者の積によって求められる量として定義されています。
仕事 [J] = 物体に加えた力 [N] × 移動した直線距離 [m]
W = F・x
この問題では、物体が移動した(=上昇した)距離は1350 m ですから、
仕事 = (1 × 10 ×1) / 270 × 1350
= 50 [J]
運動エネルギーへの変換
エネルギーにはいろいろな種類があります。位置エネルギーや運動エネルギーのような力学的エネルギーの他に光エネルギー、電気エネルギー、化学結合エネルギー、 ・・・ など。そしてそれらのエネルギーは互いに移り変わることができます。例えば、太陽の光エネルギーを太陽電池で電気エネルギーに変換し、さらにその電気を使ってモーターを回すことによって力学的エネルギーに変換できます。
この問題の場合は、外部から浮力という力を与えて仕事をすることで、空気塊が上昇するという運動エネルギーに変えています。
運動エネルギーは
運動エネルギー = 1/2×mv2 m:物体の質量、v:物体の速度
という式で定義されています。
外部から加えられた仕事はそっくりそのまま運動エネルギーに変換されますから、次のような式をおき、速度 v について求めればいいのです。
仕事 = 運動エネルギー
W = 1/2×mv250 = 1/2×1×v2
v2 = (50×2)/ 1
∴ v = 10 [m/s]
答:(1)
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