ニーヴン・パーネルコンビの著作のうち、かじた的にはベストの一冊。
テーマは異星人の侵略です。「火星人襲来」より多くの作家が扱ってきたテーマですが、最近の流行はモンスターな異星人との武力的遭遇よりは、もっと人間的な異星人とのファーストコンタクト物のようです。一つには、思考や形態が人間に似通っている物の方が設定しやすいし、動かしやすいから、というのがあるのでしょう。その分、ストーリーや人物に力を入れようと言う趣向ですね。
ですが、本当に非人間的異星人の侵略という分野は死んだのでしょうか?その答えは、本著にあります。でかい耳、泥を好み、手の代りに複雑な鼻で物を操る…。それだけ聞くと、象の化け物のような異星人が、しっかりした実在として現われ、地球を踏みに来るのです。なんとまぁ、笑える設定でしょ?
迎える地球人は、最初はどうしようもないのですが、各地で果敢な抵抗を試みます。ある者は,地上で銃を取り、またある者は捕虜として、敵中にて生活を続けながら隙をうかがいます。ですが、最大の反攻勢力である、アメリカの、大統領の諮問機関が(本名でこそないとはいえ)現役のSF作家達である辺りが、この本の面白さでしょう。
なにせ、海外のハードSF作家というのは、作家業に入る前には軍の上級士官だったものあり、宇宙開発に携わっていた者あり、まさにこういう非常事態には打ってつけの面々です。彼らの考え出す物は、ここで触れると面白くないのですが、アレ、とかアレ、とか……。ここでアレが出て来るとは…みたいな物がいっぱいです。どっちかというと、SFというよりも娯楽大作の方が紹介の分野的にはあってるかも。
ストーリーはかなり、御都合というか、SF作家の打つ手打つ手が当たりすぎの観はありますが、異星人の兵器も、地球人の兵器も、その他の自然現象もしっかり練られており、SFとしてもいい作品です。
インディペンデンス・ディのアメリカ万歳なノリと、ディープ・インパクトのカタストロフを同時に一冊で味わえる秀作ですよ。まだ見ていない人は本屋へGO!。