過去の荘厳司教ミサ

※2000年(大聖年)
※2001年(死者のレクイエム)
※2009年(平和と正義を求めて)


2000年(大聖年)

◎「大聖年」とは

◎「聖年のためのミサ」とは

◎「聖年のためのミサ」はどんな典礼か


大聖年とは

 今年、西暦2000年は、世間一般には「ミレニアム」と呼ばれている。御父、御子−イエズス・キリスト、聖霊の三位一体を唯一の神として信仰するローマ・カトリック教会では、キリスト降誕2000年目を祝って、これを「大聖年」と呼んでいる。
 聖年は旧約聖書レビ記に記されているヨベルの年(Jubilee)に端を発し、教皇ボニファティウス8世によって1300年に制定された。
ヨベルの年とは、イスラエル人がエジプトから解放されたことを記念する祝祭に年である。レビ記25章10節には次のように記されている。
 ヤーウェはモーゼに命じた。「おまえたちはその50年目を神聖なものとし、その地に住むすべての者に自由を宣言しなければならない。この年はおまえたちにヨベルの年でなければならない。おまえたちはそれぞれの所有地にかえり、それぞれその家族のもとに帰らなければならない。
 カトリック教会では、「聖年」(the jubilee year、「祝祭年」の意)は、ボニファティウス8世教皇在位の1300年までさかのぼり、ローマへの巡礼とローマおよび全世界での特別儀式で特徴づけられた。本質的には、ローマを訪れ規定された条件に従って祈る全信者に教皇が聖年大赦(the Jubilee) と呼ばれる特別免償を与える1年をさす。

(参考 「現代カトリック事典」 1982 エンデルレ書店)
なお、2000年 大聖年の詳細については下記の小冊子が詳しい
○ 教皇ヨハネ・パウロ二世「受肉の秘儀 2000年の大聖年公布の大勅書」
(1999 カトリック中央協議会)
○ 「キリスト降誕 2000年 大聖年」(1999ドン・ボスコ社)
○ 「免償を得るために 大聖年巡礼のしおり(大司教認可)(カトリック東
京大司教区)

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「聖年のためのミサ」とは

 主キリストの受難と復活を記念する感謝の祭儀−ミサには、いくつかの種類がある。各教会で日曜日も含めて、定刻に捧げられるミサは、教会の定める暦(典礼暦)によるミサである。復活祭のミサ、クリスマスのミサを始め、いろいろな祭日、祝日が定められていて、それに従う。ミサには、この他に、他の儀式(洗礼、結婚など)を伴うミサ、種々の機会のミサ、信心ミサ、死者のためのミサがある。「聖年のためのミサ」は、「聖霊の光を願って」とか、「病者のため」等々のミサと同じ分類の種々の機会のミサに属している。
 典礼暦によるミサはもとより、すべてのミサは、その意向にふさわしい聖書の朗読個所、それを味わう詩編、祈願文、奉献文の始めに唱える叙唱、入祭や聖体拝領のときに唱えることばが、ミサ典礼書によって定められている。
 「聖年のためのミサ」は、来るべき大聖年に備えて、大聖年の間に執り行われる特別な祭儀において用いることができるよう教皇庁・大聖年準備委員会により1999年 2月27日付けで出された。
 ただし、典礼暦が、祭日、主日と祝日、復活の八日間、死者の日、灰の水曜日、および聖週間に当たる場合は用いることができない。また待降節、降誕節、四旬節、復活節中は、ことばの典礼のための朗読は、典礼暦で定められた週日の朗読を用いる。10月14日の典礼暦は、年間第27週の土曜日で上記には該当せず、「聖年のためのミサ」を捧げることができる。

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「聖年のためのミサ」はどんな典礼か

○ 入祭唱
例年通りメロディーが共通でラテン語、日本語、英語の歌詞のある聖
歌を「カトリック聖歌集」から選ぶ。
○ あわれみの賛歌
グレゴリオ聖歌のミサ曲で、最も普及している MISSA DE ANGELIS(天使ミサ カトリック聖歌集 503番)のキリエを歌う
○ 栄光の賛歌
「聖年のためのミサ」としては、必ずしも歌う必要はないが、「ローマ・
ミサ典礼書の総則」(以下 総則と略記)第31条の「特に盛大な祭儀の
とき」を適用し歌う。同じくMISSA DE ANGELISのグロリア
○ 集会祈願
キリストの代理として集会をつかさどる司祭が、聖なる民全体と会衆一同の名によって、神にささげる(総則第10条)祈り。ラテン語 Oremus
(祈りましょう)で歌い始め、聖年のための意向の祈りがささげられる。
日本語の意味は次の通り。
恵み深い神よ、あなたは時が満ちたとき、御子を救いの主として世に遣わして下さいました。
御子の過越しの神秘によって、この世を旅するすべての人の歩みが照らされますように。
キリストは聖霊の交わりの中で、あなたとともに世々に生き、支配しておられます。
○ 第一朗読
イザヤ書 第61章1-3a,6a,8b-9 を朗読者がラテン語で歌う
テーマ 主はわたしに油をそそがれた。貧しい人によいたよりを、よろこびの油を与えるために。
○ 答唱詩編
朗読を味わう詩編は、詩編66,2-3.5.7-8答唱 4(ラテン語規範版の用いている新ブルガタ版の番号による。日本ではヘブライ語版の詩編番号を用いているので詩編67)が指定されている。同一詩編のグレゴリオ聖歌のグラドアーレ(昇階唱) Confiteantur tibi(神よ、民は主に光栄を帰し)を歌う。この曲はトリエント典礼では特定の日の随意ミサ「信仰弘布のためのミサ」の昇階唱に用いられていた。
○ 第二朗読
「聖年のためのミサとは」のところで触れたように、このミサは祭日や主日には行えない。従って第二朗読はないので、答唱詩編に引き続いてアレルヤ唱を歌う
○ アレルヤ唱
唱える場合のテキストは黙示録 1,5a.6bを参考にしたものであるが、グレゴリオ聖歌のアレルヤ唱には、これに相当するものがないので「聖年のためのミサ」の入祭唱のことば、詩編89(日本では詩編90)のグレゴリオ聖歌のアレルヤ唱 Domine,refugium(主は、世々に、われらの避難所となり給うた)を歌う。このアレルヤ唱は、現在の典礼において、年間第19主日のアレルヤ唱として用いられている。
○ 福音
ルカ 第4章 16-21bを司祭がラテン語で歌う
解説 イエズスは、第一朗読で読まれたあの預言者イザヤのことばを引用して、この預言は、ご自分のうえに実現したと宣言される。つまり、イエズス・キリストこそ、完全な永遠の司祭であり、新約時代の司祭は、このキリストの代理者として、旧約時代に預言されたことを、より完全に実現させねばならないのである。
○ 説教
○ 信仰宣言

「聖年のためのミサ」としては、必ずしも歌う必要はないが、総則第44条の「より盛大に祝われる特別な祭儀」を適用し、ニケア・コンスタンチノープル信経、クレド?V(カトリック聖歌集 508)を歌う。
○ 共同祈願
各国代表者が各国語で意向を唱える。各国としてはベトナム、インド、フィリピン、USA、ドイツ、韓国、日本を予定している。意向の後に唱える共同の呼唱はラテン語で歌う。
○ 奉納の歌
例年通りメロディーが共通でラテン語、日本語、英語の歌詞のある聖
歌を「カトリック聖歌集」から選ぶ。
○ 奉納祈願
感謝の祈りの準備として、「聖年のためのミサ」の奉納祈願を、集会をつかさどる司祭がラテン語で歌う。日本語の意味は次の通り。
父である神よ、聖年を喜びのうちに祝い、あなたの祭壇にささげるわたしたちの供えものを受け入れてください。
主キリストは、ご自分の死によって人類を死から救ってくださいました。
わたしたちが主の永遠のいのちにあずかることができますように。
キリストは世々に生き、支配しておられます。
○ 叙唱
奉献文の前の祈りであるが、「聖年のためのミサ」のために新たなものが作られた。司式司祭によってラテン語で歌われる。
日本語の意味は次の通り。
聖なる父、全能永遠の神、いつどこでも主キリストによって、
賛美と感謝をささげることは、まことにとうとい大切な務め、
初めから御父とともにおられた御子は、
歴史の中におとめマリアから生まれ、聖霊を注がれました。
御子はあなたの名において恵みの年を告げ、
悲しむ人には慰めを、捕らわれ人には解放を、
あらゆる人に救いと平和をもたらしました。
御子が示したまことの新しさは、
すべての人の願いを越えて、いつの時代にも輝き渡ります。
あなたをたたえるすべての天使、聖人とともに、
わたしたちも賛美の歌をささげます。
○ 感謝の賛歌
MISSA DE ANGELISのサンクトゥスを歌う
○ 奉献文
トリエント典礼の奉献文で、第二ヴァチカン公会議後も第一奉献文とされているローマ典文を主司式司祭と共同司式司祭と分担してラテン語で歌う
○ 主の祈り
ラテン語でパテル・ノステル(天使ミサ カトリック聖歌集 503番 272ページ)を歌う
○ 平和の賛歌
MISSA DE ANGELISのアニュス・デイを歌う
○ 拝領唱
日本では、教会で最近ほとんど歌われなくなってしまったが、美しいメロディーから信仰心をおこしてくれた、アベベルム・コープス、タントゥメルゴ、パニス・アンジェリクス、オ・サルタリス、ヴェニ・イエズスなど、懐かしい名曲の数々を歌う
○ 拝領祈願
司祭がラテン語で歌う。日本語の意味は次の通り
いのちのの源である神よ、あなたの食卓にあずかったわたしたちを聖なる者としてください。御子キリストは十字架の上で救いのわざを成し遂げてくださいました。すべての人が、教会の秘跡をとおして、この救いの喜びを自らのものとすることができますように。わたしたちの主イエズス・キリストによって。
○ 盛儀の祝福
通常の祝福の前に司式者が三つの意向を唱え、意向を一つ唱えるごとに会衆はアーメンと唱え盛儀に行われる。
以 上

なお上記の内容については、ミサ当日に配布される”ミサレット”に日本語・英語・ラテン語で、より詳細に記されている。


2001年(死者のレクイエム)

1.第11回 荘厳司教ミサの典礼は?


翌週11月2日、死者の日の第一ミサの典礼により、すべての死者のためのミサとする。
そして、21世紀のスタート当たって、今はこの世を去った偉業を成し遂げた先人たちに感謝をささげ、また看取る人もなく死を迎えた人たち、(そして、)私たちの親族、恩人、友人等の縁ある人たち、そして、9月、アメリカで起きた同時多発テロによる多くの方々の思いがけない死を悼み、みもとに召された多くの犠牲者、救援活動等の関係者も含めて、すべての死者のために祈ることを目的とする。
ミサは、第二ヴァチカン公会議後のラテン語規範版、グレゴリオ聖歌による死者のためのミサ、レクイエムでささげられる。

2.カトリック教会では11月を死者の月と定めている

教会は一年の暦を通して主イエズス・キリストのご生涯を記念すると同時に、聖母マリアを始め、天使、聖人、殉教者の記念も行う。このような、教会の暦は典礼暦と呼ばれている。典礼暦は、前年のクリスマスの約四週間前から始まり、待降節、降誕節、四旬節、主の受難、復活、昇天、聖霊降臨という順に祝い、それ以後は年間の季節になり、聖霊降臨によって誕生した教会の役割として、主日ごとに主の復活を記念してゆく。典礼暦が終わりに近づく11月には、週末、世の終わりが記念され、この月は死者の月と定められている。

3.カトリック教会は、11月の死者の月に、どんなことをして死者のためにいのるのか?

死者の月11月は特に死者のために祈りをささげる。それは、日本のお盆や、お彼岸と似ている。いつもに増してミサ中に故人のために祈ることはもとより、個人的に司祭に故人のためのミサを依頼する人もいれば、墓地や、納骨堂へ出向いて墓参りに出かける人も多い。また、墓地や、納骨堂に収められている人達のために、そこで合同の追悼ミサもささげられる。特に月の始め1日は諸聖人の祭日として、天国の限りなき栄えのうちに主を賛美している全ての聖人を祝う。そして、翌2日を死者の日として天国に行くには、まだ罪の償として試練を必要とする煉獄にいる全ての死者を記念し、その霊魂が早く天国に行けるように祈る。これは、世界中の全教会において典礼暦で定められている。

4.諸聖人をはじめ天国にある人達、煉獄で試練を受けている霊魂、この世の私達の三者は祈りにおいてどんな関係があるのか?


 何年か前、今はこの世を去られた志村辰弥神父様がお元気だった頃のお説教がわかりやすく印象的だったのでご紹介したい。この世を去るとき、罪を持たない人は誰もいない。どんな人にも、罪はある。その罪を償うために、程度によって差はあるものの一定期間、煉獄で試練を受けなければならない。煉獄で試練を受けている霊魂は、自分が早く天国に行けるように祈ることはできない。その人が早く天国に行けるように祈ることができるのは、天国にいる人達とこの世にいる私だけであり、彼らはそれらの祈りを強く望んでいる。煉獄にいた霊魂が天国にいつ行ったのかはわからない。仮に天国へ行った後であっても、その祈りは無駄にはならない。まだ煉獄で試練を受けている別の人のために有効である。そのようにして天国へ行けた霊魂は、私たちが煉獄で試練を受けているとき、天国で私たちが早く天国へ行けるように天国で祈ってくれる。

5.死者のためのミサは、なぜレクイエムとよばれるのか?

レクイエムということばは、通常の国語辞典にも、ことばの意味は(平安)として、「カトリックの死者ミサ。鎮魂曲」と書かれている。なぜ、平安ということばが、死者ミサ、鎮魂曲になるかについて説明したい。カトリック教会で行われるミサの種類は、目的によって数多い。これらを短いことばで区別できる方法として、ミサの始めに歌われる(または唱えられる)入祭唱のラテン語の冒頭句を用いる習慣があった。例えば四旬節第四主日のミサは、入祭唱が、Laetare,Ierusalem,et conventum facite, (よろこべ、エルザレムよ、これを愛する者よ)であることから、レターレのミサと呼ばれ、昨年まで本所教会で行われていた奉祝日本二十六聖人殉教者のミサは、入祭唱が、Sapientiam sanctorum narrent populi (民々は、聖人の上智を語り)であることから、サピエンツィアムのミサと呼ばれている。死者のためのミサは、入祭唱が、Requiem aeternam dona eis ,(彼らにとわの安らぎを与えまえ)であることから、レクイエムのミサと呼ばれている。

以上

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