荒野のサイクリスト写真集

 第一次チベット旅行編 Part.2

第一次チベット旅行   第二次チベット旅行   トップページ

東チベット 雲南ルート ラサ〜昆明

Eastern TIBET Plateau, Yunnan Route

TIBET Lhasa - YUNNAN Kunming / 1995 February - March:


98507


98507


98507


チベットの東の果て
東チベットは荒涼とした荒野のイメージとはうってかわり、北欧の湖沼地帯を思わせるような、大森林地帯を形成している。一九九三年に日中合同隊により初登頂されたナムチャバルワ峰、一九九一年に京都大学隊が十七人の遭難行方不明者を出した梅里雪山峰などのふところを走りすぎる。時として峠が雪で通過不能のため大きく回り道を余儀なくされたり、公安局に逮捕されたり、あまりにひどい未舗装路でアスファルトの快適な道を蜃気楼に見るほどであった。またいつも腹を減らしていた。


98507001メコンの宝石
眼下の谷の奥底に、一条のエメラルドの線となって流れゆく川があった。メコン河源流の欄蒼江だ。東南アジアの母なる河メコン。その源流もまたチベットあり、雲南を流れた後、ラオスでゴールデントライアングル地帯を通過し、タイからベトナムに入り南シナ海へと注ぎ込んでいる。大陸の河川というものは、日本と違ってあまり透明とは言えない濁った流れがゆったりと流れているイメージなのだが、その大河が上流部でこんな宝石のような色をしていようとは誰が想像できよう。道はそのメコンの宝石に向けてまっしぐらに下って行った。


98507001

霊峰梅里雪山
もう一ヶ月近く顔を洗ってないので、ぼくの顔はチベット人よりも真っ黒だ。梅里雪山峰(海抜6740メートル)はチベットと雲南省との省境にあり、雲南では最高峰。この山はチベット仏教徒にとって聖山であり、雲南ルートにおける最大の見所だ。しかしここには十二人の日本人登山家が眠っている。偶然見つけた遭難碑には日本語でこう刻まれていた。"大地あり、美しき峰ありて、気高き人がいて”梅里雪山峰、いまだ未踏の山である。


98507001


98507001

朝日の中のサイクリスト
おお、目指すべき方向の憂いなる丘の上より太陽が昇りはじめる。透明でエネルギーに満ちた光が、雪の峠を照らしはじめた。雪面はきらきらと輝きはじめる・・・・。
ある本ではチベットの道についてこう述べてある。"世界でもっとも高度があり、そしてもっともひどい道で、しかももっとも危険で、おまけにもっとも美しい道である"と。


旅人を見守る道祖神
チベットでは道脇の至る所にチベット仏教の経典の彫られた聖なる石の積まれた塚がある。それは道祖神として道行く旅人を守っているという。骨はヤクと呼ばれるチベット高原にのみ生きる毛長牛のものである。高原のヤクは死してなおいったい何を見詰めているのだろうか?


いにしへの茶馬古道
かつて西域に向かうシルクロードの影に、日の当たらない裏街道があった。そのチベットを横断する交易路は雲南に起源を発し、かつて三蔵法師が砂漠を越えて西に向かったように、馬の隊商は横断山脈を、いくつもの峠を越えチベットの荒野を西へと進んでいった。古人の千年以上の永きにわたる交易は、チベットに茶というなくてはならない文化をもたらした。チベットをバター茶抜きで語る事が出来るだろうか? 茶はチベットでは産出しない。すべてはこの道を通って運ばれる。このルートは偉大なる文化創造への道でもあったのだ。

 

 

 まだ旅は続きます。西チベットカイラスルート カシュガル〜アクサイチン〜アリ編へ

第二次チベット旅行編 Part.1 

 

 荒野のサイクリストトップページへ

 


Hiro Andow

Last Up Date : 2002/03/23.