この「襖張り研究会」とは、私の母校で、私が所属していた部活動です。残念ながら、廃部となってしまいました。
 襖の張り方もさることながら、建具の歴史や派生する様々なことを調べ、部員同士で勉強していたのです。
 その成果の一部を、ここに紹介しておきたいと思います。

 現在、多くのご家庭にある襖は、合成パルプの紙を壁紙のように「貼り」付けています。
 せいぜい「茶チリ」もしくは「薄茶」と呼ばれる紙を下張りにし、合成パルプの襖紙をプレス状態にして貼っています。
 仕上がってすぐの頃はきれいですが、和紙と違い、古くなると風合いが出るということは、期待できません。
 「骨縛り」「蓑張り」「袋張り」「清張り」の行程をしっかりとり、上張りに和紙を使った場合、子供が喧嘩して蹴ろうが、親父が怒って息子をぶっとばそうが、そう簡単に破れるものではありません。
 和紙の繊維は長く、手で裂こうと思っても簡単に裂ないので、紙と紙の間に空気を入れて張り重ねることで、強度が増します。
 そのため下張りにしても、上張りにしても、糊を全面にはつけず、紙の縁にだけつけます。空気をふくませ、そして、紙を調えるために水をいろんな場面で使います。
 水は和紙を作る段階だけでなく、和紙を使う場面でも重要な役割りを果たします。

 人々の生活が変わり、襖でも障子でもなく、ドアやサッシへと間仕切りが変わってから、人間同志の「間」のとり方がわからなくなってきたともいわれています。
 「日本間」「床の間」「欄間」「茶の間」「一間」(ひとま・いっけん)「猫間障子」、思い付くままに上げ連ねてみましたが、もともと「間」とは、門のあいだから月の見える様をいうそうです。

 壁や厚いドアなどで仕切られた現在の暮らしで、私達のプライベートは、本当の意味で守られているのでしょうか。
 物理的なことでだけでは、「間」を上手にとれないのではないでしょうか。

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