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飛行機の音が聞こえる。
普段は余裕がないためか、飛行機の音など耳に入ってくることはないのに。
今日は特別な日だからだろうか。
俺は、太陽の眩しさに少しだけ目を細め、そのまま空を仰ぎ見た。
空には雲一つない青空が広がり、1本だけ空を横に割るように飛行機雲が伸びていく。
「いい天気だよな。」
空を見上げたままつぶやいた俺の髪をゾロがつまんだ気配がする。
(?)
俺は不思議に思い、ゾロの方に顔を向けた。ゾロの顔が目の前にあり、俺はその意外な近さにドギマギと胸が高鳴った。
このまま、ゾロが近づいてきたらどうしよう。それはそれでうれしいような・・・。
「虫がついてたから。」
俺の勝手な妄想を打ち破るような現実。
げっ!俺は虫は嫌いなんだ。ちゃんと取ってくれたのか?
俺がパニくっている間に、当のゾロは庭に木陰を作っている大木の根元にあるリクライニングチェアに横になっていた。
久しぶりの休日。
ずっと張り詰めていた神経もここでは、休ませてやることができるはずだ。
ここ最近は本当に忙しくて空を見上げることすらしなかったような気がする。
こんなに余裕がないんじゃ成功するはずのものも失敗しそうだ。だから、今日はゆっくり過ごそうと決めたんだ。
俺たちはコンビを組んで、事件を追っている。かといって刑事ってわけじゃない。
そう、探偵みたいな仕事をしている。友人らには「何でも屋」とか「便利屋」とか言われているが、結構ハードな仕事が多い。
犬猫探しや浮気調査なんて回ってきたことがなくて、何故かいつも最後には「今日も生きてたぜ。神様ありがとう」と感謝したくなるぐら いな目に合わされるんだ。
半年にも及んだ今回の仕事にも決着がつき、やっと休日をもぎ取る事ができた。
ボスは金にがめつくて1日でも休ませてなるものか、という勢いのある美人だ。
俺もいつもなら、次の仕事の依頼に「はーい、もちろん行ってきまーす。」とハートを飛ばしながら答えているところなのだが、今回だけ は引き受けるわけにはいかなかった。
今日は特別な日だから。
俺の大切な男がこの世に生を受けた日。
その大切な日を誰にも邪魔されずに一緒に過ごすため、この沖縄にやってきたのだ。
「もうすぐお前の誕生日だ。何でもスキなことさせてやるぜ?何がしたい?何が欲しい?」
俺が仕事に決着がついた時にした質問に、ゾロは「ゆっくり休みたい」と答えた。
だから俺はこの休日をプロデュースしてゾロにプレゼントするんだ。
俺は脱ぎ捨てていたエプロンの紐を縛りながら縁側にあがった。
建物の外側は沖縄独特の作りになっているが、一歩中に入ると高級ホテルなみの部屋がひろがる。
高級リゾートの一角、コンドミニアムが立ち並ぶ場所から少し離れた場所にポツンと立てられた特別な部屋。
リビングに続くキッチンに入って朝食の片付けをする。
庭から入る日差しに部屋は明るく、全てがキラキラと光り輝いて見える。
(俺の気持ちの問題なのか?)
相棒のことが気になりだして、もう随分たつ。
いろいろな事件を二人で解決していくうちに信頼だけではあらわす事ができない自分の気持ちに気づいてしまった。
悩んだこともあったけれど、今では、生きて一緒にいられるだけで幸せだと感じることができるようになった。
つらい時は、いつでも、死にそうになった時のことを考える。
あいつがいない所でこのまま死ぬのはいやだ。
絶対生き残ってあいつの横に並ぶんだ。
あいつの顔をもう一度見られるだけでもいい。
そう思った時のことを考えれば、一緒にいれさえすれば、いつでも幸せでいられるんだ。
たとえ、この気持ちを一生ゾロの告げることができなくても・・・。
「おい。買い物に行ってくるけど、勝手に出かけたりするなよ?」
眠ってしまったかもしれないゾロに向かって声をかけると、彼はわかったというように片手を挙げて答えた。
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あれも作ってやりてー、これも食わせてやりてーと、悩みに悩んだ末に市場で仕入れた食材を抱えて、ホテルまでの道のりを急い
で歩く。
思いのほか買い物に時間が掛かってしまい、太陽は西に傾いていた。
「やべーっ。あいつ、腹減らしてんだろうなぁ。急いで帰って、うまい飯作ってやらねぇと。」
昼寝をしていれば、腹がすいたことにも気づかないやつとは言え、流石にもう目を覚ましているかもしれない。
後方から車の走って来る音がしたので、道の端に寄って通りすぎるのを待っていると、何故か速度を落とし、俺の横に停まった。
「サンジ!!」
パワーウィンドウが下がり、中から俺を呼ぶ声が聞こえる。
「おう!!ウソップじゃねぇか。どうしたんだ?こんなところで?偶然・・・・なんかじゃねぇよなぁ?」
「ぁ、ああ。お前たちを探してたんだ。ある程度はお前らの携帯の電波を辿って来れたんだが、細かいところまでは流石にな。よか
ったぜ、ここでサンジに会えて。助かったぁ。」
俺のドスの利いた探るような声に動揺し、誤魔化すこともできず、本当の事を話だした。
「サンジの携帯はいくら鳴らしても出ないし、ゾロは電源切ってるしでマイッタぜ。」
その段になって、俺は自分が携帯も持たずに出かけたことに、ようやく気づいた。
「すまん・・・部屋に忘れてきたみたいだ。」
「そんなこったろうと思ったぜ。とにかく、ゾロに用があるんだ。すぐにヤツの所に案内してくれ!!」
掴みかかりそうな勢いでまくし立てるのに、俺は嫌な予感がする。
「何があった?」
「とにかく急ぎの仕事で、ゾロにしか出来ない事なんだ。頼む!!早く行かないと。」
「冗談じゃねぇ。なんだって仕事なんか持ってくるんだ?俺たちは休暇でここに来てるんだぞ?」
「そんなことは解ってるさ。でも、俺じゃどうにもならないんだよ。」
本当は解ってるんだ。ウソップが来るってことは、もうゾロにしか頼めない仕事なんだって事も。ヤツを行かせなきゃいけないっ
て事も。
それでも、頭ではわかってても、気持ちがついていかないんだ。今日を楽しみにしていた自分自身に諦めさせなきゃならない。
「どうしても、今回の仕事にはゾロの協力が必要なんだ。頼むからゾロのところに案内してくれよ。」
「今は休暇中だし、ナミさんの許可だってちゃんと取ってるんだ。ホテルだってナミさんが手配してくれたんだぜ?ここならゆっ
くりできるだろうって。」
「ナミが、そんなに親切な訳ないだろ?最初から今回の仕事は沖縄だってわかってたに決まってるじゃないか!!その上で俺を派
遣しやがったんだ。絶対俺じゃ手に負えないことが解っててだぜ?」
「ナミさんは、そんなに意地悪じゃないぜ。ウソップが出来ると思ったから派遣したんだ。ゾロじゃなくても大丈夫なんだよ。」
「いいや、どう考えたって今回の仕事はゾロがいなきゃどうにもなんねぇ。頼むよ、今日中、しかも一刻を争うんだ。」
「ウソップ・・・・」
今回はいくらナミさんの頼みでも、簡単には頷くことができない。俺にだって譲れないことはあるんだ。
「なんで、ルフィを呼ばない?」
最後の悪あがきだな・・・。
「今からあいつを呼んだんじゃ間に合わねぇ。猶予は無ぇ、残り4時間も残ってねぇんだ。人の命がかかってんだよ。頼む。案内
してくれ!!」
俺は、肩を落とし俯いた。
もう、しょうがないよな。いくら頑張ったって、もうどうしようもない。ゾロを行かせるしかないんだ。
「やっぱりな。こんなことだと思ったぜ。ただであの女が親切に面倒みるわけがない。」
「!!ゾロ・・・」
「ゾロじゃねぇか、助かったぁ。」
声の主の方を振り返った二人の対照的な声が重なる。
ゾロは、その場で携帯の電源を入れ、どこかの番号を押すと耳にあてた。
「俺だ。で?どーゆーことか説明してもらおうか?・・・・・・・・・・・ぁあ?ふざけんなよ、このアマ!!この仕事が終わっ
たらしばらく休みをもらうからな!!文句は言わせねぇ。」
どうやら電話の相手はナミさんのようだ。
「ああそれと、今後の仕事はコンビの仕事じゃなく、一人のを回せ。」
言いたいことだけ言って、相手の返事も待たずに通話ボタンを切った。
(へ?何か今、へんなこと言ってなかったか?)
「おい、それってどーゆーことだ?」
ゾロは返事もせず、俺の顔から視線を外すと、ウソップの車へと歩いていく。
「行くぞ、ウソップ」
振り返らずに助手席に座ると、前方を睨みつけたまま、こちらを見ようともしない。
微妙な空気に、ウソップはしばらく俺とゾロの顔を交互に見て困った顔をしていたが、やがてスマンというように片手を顔の前に
挙げると、車を出発させた。
俺は、走り去る車が見えなくなっても、ただ、呆然と立ち尽くしていた。
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あの後、どうやってホテルの部屋までもどってきたのか記憶にない。
そんな状態なのに、それでもまだゾロへのご馳走を無意識に作っているあたり、俺もそーとーいかれているらしい。
あまりのショックに、脳が考えることを拒否したのかもしれない。
料理をしているうちにだんだんと落ち着きを取り戻してきたようだ。
ゾロの言葉がよみがえる。
(俺ってもしかして、ゾロに嫌われてた?一緒に仕事ができないくらいだもんな。やっぱ、そうだよな。・・・・・なら、せっかくのオフに沖縄 になんか誘って、本当は迷惑だったのか?あいつの相棒だからなんて浮かれすぎてたのか?今まで一緒にやってきて、気持ちは通じ てるなんて、俺の激しい思い込みだったんだ・・・・。)
「はははは・・・・。」
乾いた笑いが口から漏れる。
「馬鹿みたいだ。横にいるだけで幸せなんて・・・好かれてなきゃ意味ねぇじゃねぇか。」
まさか嫌われてるなんて思いもしなかった・・・。
「すげぇショック・・・・。」
言葉にすると何倍もの実感となって襲ってくる。
何度あの時のゾロの言葉を思い返してみても、好かれてるなんて都合よく思えるわけがない。
それでも、今日はゾロの為に、最後だとしてもゾロと一緒にすごしたい。
嫌いな奴となんていたくないかもしれなくても、本当は出て行った方がいいのかもしれなくても、それでも俺は。
なんとか自分に言い訳していい聞かせ、真っ黒な海の底に沈みそうになる気持ちをなんとか引き上げて、ゾロの帰りを待った。
テーブルに両肘をついて指を組みあわせ、その上に額をのせる。
時計のカチカチと秒を刻む音だけが部屋を支配し、俺の不安をふくらませていく。
楽しい時は時間の経つのが早いのに、今は1分1秒が何倍にも何十倍にも感じた。
「ダメだ!!大人しく待ってるなんて、性に会わねぇっ!!」
バンとテーブルを両手で叩き、立ち上がり、携帯を取り出すと、慣れた番号を押した。
「ナミさんですか?サンジです。ウソップとゾロが向かった仕事内容と場所を教えてください。はぁ、部外者には秘密?何言ってんです か?休みを邪魔されてんですよ?充分、関係者でしょうが!!」
ゾロが俺の事をどう思っていようが、俺は俺のやりたいようにやる。
文句を言われることを恐れたって、一度嫌われたら、二度も三度も同じだ。
それならば、俺自身が納得できる行動を取るだけだ。
ナミさんの説明を、素早くメモすると、俺は俺のやり方を通す為に、動き出した。
「海に沈んだ小型潜水艇を引き上げる作戦か・・・、ダイビング用の装備と、足が必要だな。まずは、現場までの足の確保。レンタカー は問題ないとして、ボートが無いとどうにもならないな。」
俺はまず、船の手配をする為に行動を起こす。ボート倶楽部関係に片っ端から電話をかけまくった。
レンタルボートの数は少ないが、手入れをきちんとしてある為に使いやすいし、途中での故障も少ない。ただし、出港できる桟橋の数も 少ないのが、難点だ。
「え?全部出払ってる?1台も残ってないんですか?・・・・・わかりました。他をあたります。」
俺は、インターネットで集められるだけの情報を集め、全ての倶楽部に電話をしたが、全てキャンセル待ちの状態で、貸し出してもらう ことができなかった。
「これのせいか・・・・。」
どうやら、今日は海でのイベントが開かれているらしい。沖縄の観光用ホームページに載っていたのを見逃していた。
「サメが出ても、関係ないか・・・・。いや、パニックになるから、発表してないのか?」
なんにしても、船は諦めるしかない。
「さて、どーするか・・・・。」
すでにタイムリミットは近づいている。
考えるのは、一瞬。
「やばいけど、仕方ないよな。」
俺は、最終手段を使うことを決心した。
車を20分程走らせた所の海沿いに、小さな小屋があり、その入り口には、「JMC沖縄」と汚い字で書かれた看板が立てかけてある。
マリンスポーツ専門のオプションツアー下請け会社だ。旅行代理店やホテルで申し込むよりも半額くらいの料金になり、お得なことか ら、普段から世話になっている所なのだ。
俺は、入り口ギリギリの所で車を停めると、小屋の中に向かって声をかけた。
「親父さん!!」
「ああ、こっちだ。」
声は、建物の裏手から聞こえる。
「電話で頼んだやつの準備は?」
「今、やってる。」
ガタイはデカく上半身裸で真っ黒に日焼けした白髪まじりの親父さんの運転するトラクターの後には、俺の目的の物が牽引されてい た。
倉庫から、浜辺まで運んで海に浮かべるのだ。
「サンジ。お前本気で、こんなもので外海にでるつもりか?途中で燃料が切れるのは間違いないぞ?海の上での補給が、どれほど危 険かも知ってるはずだな?それに、こんなんで遠出して海上保安のやつらに見つかってみろ、免許取り上げられるだけじゃ済まないん だぞ?法規違反なんだから。」
「ああ、リスクが大きいのはわかってるさ。それでも、俺は行かなきゃならないんだ。」
親父さんは、しばらく俺の目を見つめていたが、諦めたように、1つ大きくため息を吐くと、近くに置いてあった荷物を指差した。
「ガソリンは補給しやすいように、背中に背負うタイプのタンクに、ホースをつけておいた。使い終わったら捨てても構わん。海が汚れる から、本当はやってほしくないがな。」
「サンキュー。感謝するぜ。」
俺は準備を済ませると、愛用の2人乗りのジェットスキーにまたがり、エンジンを始動させた。
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現場までの航行は順調とは言えなかった。
潮が引いていた為、沖に出るまでは、さんご礁が水面に出ているところもあり、出ていなくても水面ギリギリだったりと、場所によっては 上手く避けて通る事が困難な所もあって、かなり遠回りして迂回しなければならなかった。
また、太陽の光が水面に反射し、海の中や水面上のゴミが見えにくくバイクの底を軽くコスリ冷汗ものだったりもした。
魚などを獲る為の「定置網」や「底はえ網」などを仕掛けてある所は印があって、その近くを通過する際は徐行しなければいけなかった りでスピードも出せず、気ばかり焦り、なかなか思ったように進むことが出来なかった。
かと言って、水上バイクは陸岸から2海里以内(1海里1852m)を航行することに決まっている為、あまり沖に出すぎることも出来ない。
思ったよりも時間を費やしてしまった為に、ナミさんから得た情報から推測したタイムアウトの時刻まで、そんなに猶予がなくなってい た。
もしかしたら、あの二人のことだ、もう、解決してしまっているかもしれない。
それでも、現場へ行くことをやめる気にはならなかった。
勝手にやってることで報酬無しだけど、それでも、あいつの隣にいたいと望んでしまう。
「俺ってけなげ?」
つぶやいてみるが、少し考えてから首を振る。
「いや、ちがうな。単なる俺の我がままだ。」
自分の異常ともいえる執着心に笑いが込み上げる。
「まあ、いいさ。異常だって何だってかまやしねぇ。俺は俺の信じるままにやるしかないからな。絶対に、コンビ解消を撤回させてみせる さ。」
まずは、やつの所まで行かなきゃ始まらない。
遥か前方に引き上げ船や海上保安船など、3隻の船が距離を取って停まっているのが見えた。
「あそこだな。」
俺は、ラストスパートとばかりスロットルを全開にし、更に神経を集中させて前方を睨みつけた。
200メートルも離れていない海上にゾロが浮いている。装備を外しているところから見て、仕事は無事終了したようだった。
俺は、安心すると共に、少し悲しくもあった。もう少し早く決断していれば、一緒に仕事を終えることができたかもしれないのに。
「俺がいなくても、仕事は完了するんだよな。ゾロは、それだけの実力が十分あるのに、ずっと俺と組んでくれてたんだよな。」
自分が、この仕事についた時のことを思い出した。
まだ、仕事というものを甘く考えていたあの頃は、実力の無い無茶を沢山やって、ボスにも迷惑をかけていた。
自分の命を粗末にすることがカッコいいと勘違いし、なんでも力で解決できると思い込み、暴れん坊で手がつけられなかった。
そんな俺に、ガツンと本当の「仕事」というものを教えてくれたのはゾロだった。
言葉にして教えてくれることは無かったが、その力と行動力と自分自身の身体で示してくれた数々の事が、俺には一番のわかりやす く、自然に身につけることが出来、最高の教官だったと言える。
それからの俺は変わった。「自分自身の力だけで決着をつける」ことにこだわらず、「どれだけ正確に且つ迅速に処理できるかを考え、 それをサポートする」ことでゾロを助け、力を合わせて1つの事をやり遂げる事の楽しさを知った。もちろん、厳しさも。
そしてそれが、俺の転職だとも思えたんだ。
その頃のボスは、ナミさんではなかったけれど、変わっていく俺の姿を見て、多分喜んでいてくれたと思う。
だからこそ、ずっと、ゾロの相棒としていられたのだろう。
でも、ゾロにしてみたら、やっかいなガキを押し付けられて迷惑していたのかもしれない。
もしも、今俺が、あの頃の俺のようなやつの面倒をみろと言われたら・・・かんべんしてくれと思うだろう。
ゾロは、もう面倒は見なくても、俺だけでやっていけると判断したから、また一人で仕事をしたいと思ったのだろうか?
それとも、変われたと思っているのは自分だけで、ゾロにとっては、あの頃となんら変わらず、あきれ果てた上で離れたいと思ったのだ ろうか?
どちらにしても、彼の口から真相を聞き出し、何とかコンビをやめなくてもいい道を探したい。
完全に2海里以上陸岸から離れてしまっているこの場所で、こんな物に乗っている所を海上保安船に見つかったらヤバイ。
あの船がいなくなるまでは、近づかない方が賢明だろう。
目立たない場所まで移動した方がいい、そうは思うのに、ゾロから目を離すことが出来ない。
「重症だな。」
自嘲の笑みを浮かべつつ、俺はゾロの元へと、ゆっくり静かにバイクを進めた。
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ゾロから視線を外すことが出来なかったことが、結果として幸運だったと言えるだろう。
ゾロの背後の海の中に、黒く大きな影が見える。嫌な形をした背びれが水面に1本のスジを描いている。
装備を外し終わったゾロは船の上のウソップに気を取られ、その気配には気づいていないようだ。
(何で気づかないんだ?目標の生死の確認なんて初歩だろう?ウソップ!!振り向け!!)
こんなことで俺の大事な人がいなくなるなんて考えたくない。そんなところ見たくもない!!
こんなんじゃ、何の為に俺が完璧なサポートに専念してたんだかわかんなくなるじゃねぇかっ!!
俺は、アクセルを全開にし、「間に合ってくれ」と生まれて初めて神に祈った。
俺が行動を起こしたと同時に、ウソップが振り向き、異変に気づいてくれたのだろう。何か叫んでいる声が聞こえる。
「ゾロ!!」
エンジンの音に消されないように、力一杯腹から声を絞り出す。
それだけで、あいつなら瞬時に判断出来るはず。
俺の思った通りにヤツが動いてくれなければ、ヤツ自身を危険に晒してしまうから。
それでも、数え切れない程の修羅場を共にかいくぐってきたパートナーだ。
言葉にするのは難しいが、ヤツならこう動くだろうという確信のような物があるのだ。
俺は右腕を斜め下に伸ばしながら、ゾロの浮いていた地点に勢い良く突っ込んでいった。
ドカンとかなり大きな衝撃があり機体が少し浮き上がった。
水飛沫で出来たスクリーンで、自分の周りさえも見ることが出来ない。
一瞬「今のまさかゾロじゃ」とヒヤリとするものの、自分の腕から伝わる手ごたえに自信を取り戻した。
「ビンゴ!」
ゾロの逞しい腕を自分がしっかりと掴んでいる確かな感触がある。
「ぐっ。」
彼の身体の重さと、その身体が海につかっている分の水の抵抗の重さが、俺の右肩に一気にのしかかる。
ギシリと骨と筋肉が悲鳴を上げ、激痛が全身を駆け巡るが、歯を食いしばってそれを耐えた。
(あの衝撃だけで、サメが大人しくなるなんて考えられねぇな。)
近くにいるかもしれない危険を考えると、スピードを緩めることもできない。
大きく弧を描いてUターン。
その反動を利用してゾロは空中で体勢を整え、俺の腕を伝ってバイクの後ろに乗り移った。
「お客さん、どちらまで?」
「・・・・化け物屋敷まで頼む。」
「はいよ。」
前方から接近してくる背びれに向かい合い、スピードを上げる。
闘牛よろしく一度はスレスレでかわし、ウソップの乗る船に向かった。
「一発で頼むぜ、旦那。」
「ああ。人質取られてなきゃ何も遠慮するこたねぇ。5秒で片付ける。」
ゾロの呟く声は小さくても、腰にまわされ触れ合った腕から、鮮明に意思が伝わってくる。
彼の実力に裏づけされた自信のある台詞に、自然に笑みが浮かぶ。
自分が好きになった男が自信に溢れている姿を見るのは気持ちがいい。
但し、もう少し緊迫してない場面の方が堪能できるのだが。
ゾロの仕事を処理する能力は、こういった危険に晒された際の方がホレボレするほどスマートでかっこいい。
どれだけ長く一緒に仕事をしたって、慣れる事など無く、いつだって彼の魅力に引き付けられてしまうんだ。
俺は、相棒が戦う為に必要な物を手に入れる為に、ウソップの乗る船にスピンターンで最接近した。
「ウソップ!!」
合図の声を出すまでもなく、すでに準備されていたゾロの愛刀をウソップがこちらに放り投げる。
後ろのゾロがキャッチしたかどうかなどは確認するまでもない。
俺はバイクをスタートさせ、スピードを最速にすると、バイクごと俺たちを噛み砕こうと向かってくる化け物が大きく開いた口の中へ、そ のまま突っ込んで行った。
車と車が衝突したような大きな衝撃音が響く。
次に来る自分への衝撃と投げ出されることを覚悟していた俺の体は、その一瞬前にゾロの腕に抱えられ、空中に浮いており、
更にその数秒後には、ゾロの愛刀で真っ二つにされた化け物の大きな肉の塊が海に浮き上がり、波に揺れていた。
______________________決着はついた。
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(はあ〜・・・、やっちまった・・・おやじさんにどやされる・・・。)
俺は怒りの足技を繰り出すおやじさんを想像し身震いした。
「寒いのか?」
化け物との格闘の後、海に浮かんでいた俺たちをウソップが回収してくれ、今は陸に戻る途中の船の上だ。
毛布にくるまり考え事をして震えていた俺にゾロが声をかけてくれる。
いつもの、俺が知っているゾロだ。
あの出来事は俺の勘違いだったのではないかと思える程、自然に俺の隣に腰を下ろす。
「いいや、あれ。」
俺の指差す先、甲板の上には、俺たちと一緒に回収されたジェットスキーが無残な姿で置かれていた。
修復不可能な程に破壊され、粗大ゴミと化してしまっている。
「ああ、あれか・・・おやじさんとこのか。」
「そう。」
うなだれる俺に、ゾロは肩をすくめながらつぶやいた。
「ウソップが経費で修理してくれるらしい。」
「マジ?」
ゾロは律儀にも頷いてくれる。
「助かったぁ・・・。」
好き勝手やってきた俺にも頭の上がらないものがある。「女性」と「おやじさん」だ。
ほっとして力の抜けた俺の隣から、ゾロは話は終わったとばかりに腰を上げた。
以前と変わらないと思ったゾロの態度も、1つだけはどうにも誤魔化しようが無く、きっと他の人達もわかっているだろう。
ゾロは俺の目を一度も見てくれない。
「ゾロ」
背を向けて歩き出そうとしたゾロに声をかけて引き止める。
きちんと話しておきたい。例え恐くても。
彼は足を止めたものの、こちらに振り向かない。
「こっち向けよ。ちゃんと俺の目を見て話てくれないか?」
ゆっくりと振り向いたゾロの後ろには、海に沈もうする太陽が空を真っ赤に染めていた。
ちょうど逆光状態で、すぐにはゾロの表情を見ることができなかった。
俺は場所を変えようと佇むゾロに近づいていった。
「そういえば腕の傷って大丈夫なのか?」
傷の上には応急処置で黒のバンダナが巻かれている。
「それ以上俺に近づくな!!」
右手のひらを前に突き出して俺の接近を止めるほど近づかせたくないらしい。
ゾロの怪我を見ようと伸ばした俺の腕は、彼に届くことは無く、むなしく空中で拳を握りしめた。
ちょっと泣けてきそうだ。
それでも、ここで負けるわけにはいかない。
何の為にここまで来たんだ?
思いだせ!!
「なんなんだよ。言いたいことがあるなら、はっきり言ってくれよ!!」
「・・・・・・・」
「何も言ってくれないなら、俺は絶対にあきらめないからな!!」
顔を歪ませる程ムカついているのか?
何で、何も言ってはくれないんだ?
ゾロは踵を返し、ウソップと共に着岸のための準備を始めた。
どうしたらいいって言うんだ!!
俺は途方にくれ、すぐにはゾロに話しかける気力が沸かなかった。
「まあまあ、治療が済んだらちゃんとホテルまで送り届けるからさ。サンジはホテルに先に帰ってろよ。な?」
腕の治療の為に病院に連れていこうとした俺をゾロに拒否され、また、俺の一方的な(ゾロは黙っているから怒鳴りあいにすらならな い)喧嘩になりそうなところを、ウソップに説得された。
背中を押されて、俺は後ろ髪を引かれる思いでタクシーを拾う為に歩き出した。
(はぁあっあ。これじゃ、何の為におやじさんの怒りを買ってまで側に駆けつけたんだかわかりゃしねぇじゃねぇか!!)
やつ当たりで、道に落ちている石を思いっきり蹴り飛ばす。
「ちくしょー!!すっきりしねぇ!!」
やけ食いでもするかと思って、ふと今日はゾロの誕生日だったことを思い出す。
なんだか、1日が長くて、ていうかそれどころじゃなくなって、当初のここへ来た目的も忘れかけていた。
(そうだ。ゾロにご馳走作るはずだったんだよな。よし、帰ったら腕によりをかけて旨い飯を作って、やっぱりコンビ解消したくないと思わ せるか。)
ポジティブに考えよう。
一人でうじうじ考えたってゾロに話を聞かなきゃ始まらないんだ。
だったら俺は俺で、今日のゾロの誕生日を祝おう。
「やばっ」
冷蔵庫にも入れずに放りっぱなしで来てしまった材料の事を思い出す。
「あれは、もう駄目だろうなぁ・・・・・・・・・。よしっ。」
俺は駄目になっただろう材料の買出しをするために動きだした。
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ガチャリと扉の開く音が聞こえる。
ゾロが帰ってきた。
緊張すると同時に安心もする。
もしかしたら、帰ってきてくれないかもしれないという不安が拭えなかったから。
約束を守ってくれたウソップに心の中で感謝する。
俺はゾロの誕生日を祝いたい一心で、詰め寄りたい気持ちを押さえ込み笑顔で彼を迎えた。
もちろん、笑顔とはいっても、かなり引きつっている自覚はあるが、この空気の中、これだけでも褒めてもらいたいぐらいだ。
ゾロは俺の引きつった笑顔とテーブルに並べられたご馳走を順に見ると、眉ねを寄せた。
何か気に入らないことでもあるって言うのか?
俺は心を込めて作った料理を食べてもらいたくて椅子を引いて無理やりテーブルにつかせた。
「ちゃんと新鮮なの買い直して作ったんだ。食べてみてくれよ。自分で言うのもなんだけど、会心の出来だぜ。」
箸を持たせようと、何とか会話にもならない会話を一人で続ける。
そのゾロは俺と目を合わせようとしない。
この状況で何とかしようとする俺が間違ってるのか?
多分そうなんだろう。
でも
仕方ないじゃないか。
あいつの誕生日をただの嫌な空気で終わらせたくないじゃないか。
コンビを解消するなんて___冗談にして欲しいから。
「何で、何も聞かない?ああ、別にこんなことは気にするようなことじゃねぇか。」
ゾロは結局料理には手をつけてくれず、はき捨てる様に言葉を投げつけてくる。
気になるに決まってんじゃないか。
そう言い返そうとする隙もあたえず、ゾロは言葉を続ける。
「あの我儘女のことが大好きだもんな。あいつが決めたことなら何でも聞けるんだよな。別に誰が相棒だって関係ないか。」
真顔でそんなこと言うなよ。
俺のこと、そんなやつだと思ってたのか?
たしかにナミさんは好きだし、何でもやってあげたいよ。
でも、それは、女性は全て守ってあげるべき存在だからであって、彼女が特別というわけではない。
相棒としてやっていきたいと思っているのはゾロだけなんだ。
わかってくれていると思ってたのに、なんだか悲しくなってくる。
なんで?
どうして?
こんなに一緒にいたいと思っているのにそれが伝わらないなんて!
「なんでそんなこと・・・・・」
俺はお前から、本当の気持ちが聞きたいんだ。
嫌いなら嫌いとはっきり言ってくれれば、まだ諦める・・・・・諦める努力をする。
でも、理由も何も言ってくれなければ、俺のこの思いは宙に浮いたまま身動きが取れない。
頼む、ちゃんとお前の口から聞きたいんだ。
俺は、願いを込めてゾロを見つめ続けた。
そんな俺の思いは届かず、彼は背をむけて歩き出した。
立ち上がった拍子に椅子が倒れるが気にも留めず、振り返りもしない。
「・・・・ゾロ?」
寝室に入って行くゾロを見送ってしまった。
なんだってこうなるんだ?
寝室からゴソゴソと音が聞こえ、すぐに出てくる気配がした。
俺の前を素通りし玄関に向かっていく。
肩には、少ない旅行の荷物が入った袋が掛かっている。
「!!」
このまま出て行かれたら、きっともうオシマイだ。
それじゃあ、駄目なんだ!!
なんだってそう自分勝手なんだ!
この馬鹿!!
「待てよ!!」
俺は怒りを総動員してゾロの背中を追った。
俺の声に一瞬だけ動きが止まるものの、無視をして玄関の扉のノブに手をかける。
ふざけんな!!
「待てって言ってんだろ!!」
自分でもびっくりするくらいの力でゾロを引き戻し、背けている顔の両側を挟んで、自分の方に向ける。
それでも逃げようとする瞳を捕らえ、真剣に訴えた。
「何でだよ?俺はお前の誕生日を祝いたいだけだったのに!!今日1日はお前の言うことは何でも聞いて、何でもしてやりたかった。 ゆっくり休んでも欲しかった。なのに、何でこうなるんだ?!」
怒りが強すぎて悲しいのかなんなのかわからなくなり、涙が頬を伝う。
かっこ悪いとか思う余裕もない。
ただ、自分の気持ちを知って欲しくて、溢れ出てくる思い。
上手く言葉に出来なくてもどかしい。
わかって欲しいのにどう言えばいい?
ゾロの胸倉を掴んで前後に揺すっていた俺の腕をゾロは片手で掴んで引き剥がす。
「触るな」
「!!そんなに・・・・触られたくないくらい俺のことが嫌いだったのか?」
そんなに?
「コンビを解消したら、せーせーするくらい、そんなに俺のことが嫌いだったのか?」
そうなのか?
何度引き剥がされても、、はっきり言って欲しくてあきらめられない。
そんなゾロの表情が一変した。
野生動物のような獰猛な光が瞳に宿る。
俺はゾロの変化に息を飲んだ。
こんなゾロは初めてだ。
意表をつかれたかたちで、軽く後ろに突き飛ばされ、踏ん張りがきかず、仰向けに倒れてしまう。
倒れる瞬間、ゾロの手が頭を打ちつけないように、俺の後頭部を支えていた。
「な!」
仰向けになった俺の身体の上にゾロが馬乗りになる。
何をされるかわからない恐怖で抵抗しようと伸ばした腕を、頭上に縫いとめられ、必死で叫ぼうとした唇をゾロのそれで塞がれた。
「何する!?んん・・・・ぅううん」
何が起こったんだ?
俺はパニックを起こしていた。
何でゾロが俺にキスしてんだ?
俺が好きってわけじゃないよな?
あんまり俺がしつこいから?だからこんなことを?
こうすれば、もう自分に近寄らないから?
だから?
歯列を割ろうと伸ばしてくる舌を、食いしばることで抵抗を示す。
気持ちのない、こんな行為認めない。
いくら俺がゾロのことを好きだって、気持ちがなきゃいやだ!!
口を塞いだまま鼻を摘まれる。
息ができなく苦しくて、くいしばっていた力が抜ける。
もう駄目だ。
口をひらいて空気を吸いこんだ。
そのすきに舌を差し込まれ、口腔を奥深く貪られる。
なんとか、逃げようと丸めた舌を強引に絡め取り吸い上げられる。
口腔内の上下を刺激され、荒々しいが巧みな動きで絡みついてくる。
「ううんぅ・・・・・はぁあ・・・・ん・・・」
二人の唾液が混ざり合い、溢れて顎を伝い流れていく。
むずがゆいような刺激に溶かされそうになる。
だめだ
流されるな
こんなの認めない
認めない
認めるもんか
一層抵抗の力を込める。
「何でもしてくれるって言ったよなぁ!!なら、お前を抱かせろ!!その身体を俺に差し出せ!!・・・・・できねぇだろ?何でもするなん て簡単に言うんじゃねぇ!!」
悲しそうに叫ぶゾロの言葉に俺は体を震わせた。
今の叫びに本心が混ざっているような気がしたから。
何でもするさ。お前が望むなら。
本当にそれがお前の望みなのか?
おれはゾロの瞳を覗き込む。
俺の身体が欲しいのか?
俺自身が?
心の中を探るように見つめると、ゾロの本心が見えるような気がした。
例え、身体だけだったとしても、それをお前が望むならそれでもいい。
俺は抵抗していた身体の力を抜いた。
それと同時にゾロの暴力的な光を発していた瞳の色が一気に冷め、ゆがむ。
拘束されていた腕の力も緩んだ。
はははと、自嘲気味に笑うゾロの瞳から一粒涙がこぼれ、俺の頬に落ちた。
俺は初めて見るゾロの涙に驚き、でもすぐにそれが俺の為のものだと気づき、うれしくなった。
両腕を伸ばして彼の目元を拭うと、そのまま、首の後ろに回し引き寄せた。
「馬鹿だなぁ。」
本当に馬鹿だ。
俺もだけど。
「本当は俺のこと、どう思ってんだ?」
答えを期待せずにそう問いかけてみる。
「・・・・・これ以上、傷つけたくない・・・・・」
俺のことを?
馬鹿だなぁ。
ゾロと離れること、嫌われること以上に傷つくことなど無いのに。
「嫌いじゃないって思ってもいいんだよな?」
「あぁ」
確認の言葉に律儀に答えてくれる。
そのお返しに俺もきちんと伝えよう。
「じゃぁ、俺がずっと長いこと、言いたくても言えなかった事、白状しちゃおうか?」
ゾロは怪訝そうな表情をした。
「俺はゾロのことが好きだ。」
最初は「は?」っという表情。
それから信じられない、と目を見開き、俺の好きな自身に満ちた表情に変わってゆく。
「夢?じゃないよなぁ。」
とゾロがポツリとつぶやく。
俺だって夢みたいだ。
「気が付かなかった?俺って結構尽くしてたと思うぜ?」
うれしくて、うれしくて、今までの苦しみが全て消えていく。
「でも、まさかゾロが泣くほど俺のこと考えてるとは・・・・・うんぅう」
冷静になると恥ずかしいのか、俺の言葉を最後まで言わせず、唇を塞がれた。
もちろんゾロの唇で。
案外ゾロってかわいいよな。
そんな余裕があったのも、最初だけ。
「んんんんっ!!」
すぐに何も考えられなくなりそうで、頬を上気させながら、ゾロの背中を叩いた。
これだけは、今日中に言っておきたいから。
名残惜しげに離れていくゾロの瞳を見つめ、極上の笑顔をつけて。
「これだけは言わせろ。・・・・・誕生日おめでとうゾロ。」
照れた笑顔で________答えてくれた。
Fin |
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