茂山千五郎家狂言会

「福の神」「棒縛り」「濯ぎ川」

2002年1月29日(火)1:00/6:30 於:横須賀市文化会館

出演者 茂山千作さんインタビュー
ロビー交流会の写真より
作品の紹介と
出演者
福の神
棒縛り
濯ぎ川
「茂山家の狂言」
松本薫さん狂言のお話会
茂山家狂言会のまとめ データー
運営担当まとめ
搬入をして
交流会に参加して
感想文より
ご意見より
出演者

茂山 千作
うちはお豆腐みたいな狂言であるとは言われてました。ご存じのようにお豆腐は味つけによって高級なお料理にもなれば庶民のおかずにもなりますわな。それと同じように狂言も出演させていただいている場所にふさわしい狂言をやるようにしています。例えば地蔵盆で町衆が寄ってはる時には、町のお方に楽しんでもらうような狂言、またお能の時には、カチッとした、伝統的な狂言をというふうに、場所と観客層に合うた狂言を自分なりに考えてやってました。じいさんの跡を継いで父も、私ら兄弟もそうやってますんですが。それをこのごろは偉い本やなんかにまで「お豆腐主義」の狂言や、って書いてもろうてね、恐縮してます。  

千作さんインタビューより   雑誌「狂言 茂山千五郎家」 
茂山七五三・松本薫・茂山千五郎・茂山正邦・茂山宗彦・茂山茂・山下守之
「茂山家の狂言」
 狂言には現在、大蔵流と和泉流のふたつの流儀があります。茂山家はその大蔵流に属し、弟子家でありながら、京都にあって、古くから独自の活動をしてきた名家です。ですから茂山流という流儀の一家かと思われるほど、ほかの狂言の家とは違った風が見られます。
 江戸・東京の狂言は武家式楽として格式ばった堅苦しい性格があります。しかし京都にあって、御所に出入りし、社寺仏閣の行事に参加するとともに、一般の町衆・市民の中で生きてきた茂山家の狂言は、雅さや品位を保ちながら、気楽に楽しんでもらうという芸風が自然と育ってきたのです。
 代々伝えてきた古典狂言の型を、きっちりと守ると同時に、時代に合わせた演出を工夫したり、さらに新しい狂言の創造にも積極的に努めてきました。


福の神 (福神狂言)
 年の暮れ、福の神に参詣に行った二人の男が「福は内」と豆を打って囃していると、福の神が笑いながら現れます。毎年参詣するので感心したと言って、神はお神酒を催促し、日本中の神に供え、自分も飲みます。豊かになりたいという二人に、福の神はその秘訣を歌いながら教えます。元手は金でなく心の持ちよう、早起き、慈悲、夫婦円満、そして福の神にいやというほど酒を供えるならば、豊かになりますよ、と。
 そして最後に、再び大きな声で笑って留めます。福の神のこの上なく朗らかな笑い声が幸せを招き、見る人の心を明るくします。縁起のよい狂言です。この狂言に専用の「福の神」の面は、目も口元もにっこり笑っています。
福 の 神 茂山 千作
参詣人甲 茂山 宗彦
参詣人乙 茂山  茂
後見 山下 守之
地謡 茂山 七五三
茂山 千三郎
松本  薫
棒縛り (小名狂言) 
 主人は外出の間に冠者たちが盗み酒をしないよう一計を案じます。次郎冠者に棒の術を披露させ、すきを見て両手を棒に縛りそれを見てあざ笑う太郎冠者も、後ろ手に、縛ってしまいます。 禁じられれば、なおさら飲みたい。卓抜な方法を二人はあみ出します。そして……。
 けんかしたり協力したり、こっそり飲んだりこらしめたり、どこにでもいそうな三人です。飲ませない工夫、飲むための努力、楽しい酒宴もどこにでもあることですが、それが棒に縛ること、縛られた手で酒蔵を 開けること、手を伸ばしたまま舞うことによって表されると、おおげさで底抜けにおかしいのです。
次郎冠者 茂山 七五三
主 人 茂山  宗彦
太郎冠者 松本  薫
後見 山下 守之
濯ぎ川 (新作狂言)
 気の弱い夫は朝早くから、口やかましい妻と姑にこき使われています。今日も裏の川で洗濯しているところへ妻と姑がきて、つぎつぎと仕事を言いつけます。あまり用事が多いので、紙に箇条書きに書いてもらい、書いてないことはしなくてもよい、という約束をとりつけます。そのあと夫は洗っていた妻の小袖を川に流してしまいます。妻はそれを取ろうとして、川に落ちておぼれそうになります。が……
 この狂言は戦後の新作です。作者は飯沢匡で、昭和二十七年文学座のために書いた「濯ぎ川」を、武智鉄二、北岸佑吉によって、台本をより狂言風に改めて翌年、上演されました。
茂山 正邦
女房 茂山  茂
茂山 千三郎
後見 山下 守之
松本薫さん狂言のお話会
1月 日(火)、事務局にて昼と夜の二回行われたお話会の、昼の部に参加しました。
けいこのしすぎで枯れてしまったとおっしゃる松本さんの声は、ハスキーでとてもよく通る、さすがは狂言師と言う声でした。
たくさんの興味ある、そして面白いお話を伺うことができましたので、少しご紹介しましょう。
茂山家は代々「まさ」と発音する名前(正、真等)を付けていたが、千五郎さんが「山本山」を気に入っていて、長男に茂と付けると言ったらみんなに反対された。それで次男が生まれた時には誰にも相談せずに出生届を出してしまった。という茂山茂さん命名秘話に会場は大爆笑。
次に、茂山家の代表演目といえば、笑いの演技と言うことで、会場全員で笑いの練習。狂言の笑いには三通りあり、小笑い、中笑い、大笑いがあり、今日は中笑い(はぁ〜はぁははははは…とゆっくりおなかから声を出して笑う)の練習をした。これはなかなか楽しい。
他にも、泣く、酒をついで飲む(扇を使う)饅頭を食べる、などを皆でやってみて、イメージを膨らませることの大切さを体験しました。
また、扇も色々持って来て見せてくださいました。金地のものは大名、主人等の偉い人、銀地のものは召使、百姓、商売人等短い袴をはいた人、また、骨の黒い扇は女性が持つとのことでした。これからはちょっと気をつけて見てみましょう。
他にも狂言の世界にはゆかりのない、大学生だった松本青年が狂言師になった経緯や、中国とフランスの方と三人で行ったヨーロッパ公演のお話など、興味深いことばかりで楽しい時間でした。 (桃)
茂山家狂言会のまとめ
会員数 入会35人 退会54人 参加数1141人
1306(4)人 復帰 3人 休会25人 参加率87.1%
アンケート集計結果
回収数 評価(5点満点) 大変良かった 良かった 普通 あまり良くない 良くない
220名 4.56 128名 87名 5名 0名 0名
運営担当まとめ
 一月はいつも運営担当サークルが少ない上に、スタッフを引き受けてくれる方も少なく、公演当日になっても係の欄に空白の部分がある状態。人数の多い係の方が動いてくれたり、運営委員に入って貰ったり、こんな時、本当に会員一人一人の手が必要になると感じました。
 公演の前に京都から松本薫さんに来てお話をしていただき、「泣く」「笑う」などの狂言の所作を体験しました。声を出したので何だか気持が良い楽しいひとときでした。
 当日の搬入では、狂言は大掛かりな舞台装置がなく、今回は所作台、松、金屏風だけ。所作台の並び方、微妙な高さの調整など会館の方にとてもお世話になりました。所作台は土足や靴下で上がってはいけないものだそうで足袋を用意しました。
 お昼の公演後の交流会には、思いのほか出席者が多く、会場に展示されていたプロフィールを見ながらお話を伺いました。夜はちょっとという方も、お昼だったら気軽に参加できるのだと思います。残念だったのは茂山家の方々と写真を撮らなかったこと、こんな機会めったにないのに。
 振り返ってみて、今までの中で一番かかわりが大きくしんどかったけれど、それは自分の心の部分で、実際に動いて仕事をしてくれたのは会員さん一人一人なんだと気付く。最近見たインタビューの番組で「大変って、大きく変わるって書くじゃないですか」という言葉を聞いて、ハッとさせられた。深く関われば関わる程、反省することが沢山あるし、心に残るものも違うのかも知れない。              (河田)
搬入をして
自分が運んだものがどのような舞台になっているのか、あの搬入時の雑然とした状態との落差を客席から眺めるのが楽しくて、時々この仕事を選んでいます。でも今回は会館に置いてある所作台を並べるだけ。舞台は金屏風日乙というシンプルさで、いつもと違ったよさを感じました。自分達が旅をはいて上がり、乾いた布で、懸命に乾拭きした所作台の上での、演者の朗々とした声に聞き入りました。いつもと違って道具運搬のトラックがなく、初めて参加した仲間の人が戸惑ったとのことでした。(白井 談)
交流会に参加して
 今回は狂言師の皆さんと昼夜公演の間と、夜終演後の2回の交流会がありました。 昼間は文化会館ロビーにおいて千作さん以外の方と、この公演で初笑いをしましたという 50名程の会員の方の参加で行われました。皆さんは長旅と公演の後にも関わらず、上演したお芝居のそれぞれの役についてや、茂山家の「お豆腐狂言」という意味などユーモアたっぷりにお話され、会員の方からも普段はなかなか聞けない質問があったりと楽しい交流がありました。
 夜は「茶屋」において、昼間同様に7名の方を囲んで30名と沢山の会員の皆さんで行われました。2回の公演が終わった直後にもかかわらず疲れも見せず、いろいろなお芝居の苦労話(裏話?)や、若き日の千作さんにまつわる縁で「三笠艦」を見学された七五三さんの話など、とても楽しくお話され、会員の皆さんと大いに盛り上がりました。
 私も少し緊張もありましたが、その心配を吹き飛ばす様な気さくで暖かみのある茂山家の方達との交流会でした。
感想文より
*初めて狂言を観ました。とても面白く楽しめました。又機会があれば狂言を観に行こうと 思います。“棒しばり”が特に笑えて良かったです。(20代 女性)

*間合いがよく、面白かった。同世代の人が頑張っている姿を見れて元気が出た。(20代 女性)

*『福の神』福の元手はお金ではない?心に突き刺さる言葉でした。やはり何より笑っていないと福は来ないのかも!?あんなカワイイ福の神が我が家にも来てくれないかなぁー。 『棒しばり』「だめ!」と言われると我慢できないんですよねェ。風邪をひいているのにまっすぐ帰宅せず飲んだくれている内のバカダンナを思い出しました。 『濯き川』私もあんな嫁のような気がして反省?。でもやっぱり洗濯くらいはしてくれると、いや、掃除も・それから布団の上げ下ろしも?と。ああ、本当に反省しているのか?? 1月の作品にピッタリの様な気がしました。年の初めに大笑い、今年1年ずっと笑えて過せる気がします。仕事休んで来て良かったぁー 。(30代 女性)

*相変わらず、こういう古典を見ると、動きの美しさ台詞の抜ける良さにうっとりする。最初の二つは珍しくもないが、『濯ぎ川』は未知の作で、昔はこういうもので人々が腹をかかえて笑っていたんだろうなと思わせる爽快な作品だった。 (40代 男性)

*声がすがすがしく心が明るくなります。“笑う門には福来る”本当だと思います。古典と現代とマッチしてとても親しみやすかったです。 (40代 女性)

*狂言の楽しさを改めて堪能させてもらいました。3作それぞれ年代が違って狂言の笑いの流れが自然に分かり、『福の神』の参詣人二人が合わせる「ウォー」という声が澄んでいて心地好く、『棒しばり』の安定した笑い、『濯ぎ川』の洗濯物を濯ぐ「ガワガワガワ?」という大袈裟な擬音と、養子亭主の気の弱さと反逆に大笑いしました。庶民的で柔らかい笑いは、やはり京都の茂山家ならなのでしょうか。 (50代 女性)

*新春にふさわしく、ユーモアあふれる狂言で、とてもゆかいな明るい気持になりました。 (50代 女性)

*狂言を初めて観ました。最初の狂言のお話で少しでも予備知識をもてて良かったと思います。役者も身近に感じられる効果があったと思います。とても素晴らしく、言葉も理解できて楽しめました。  (50代 女性)

*時節柄にも合っていて大変良かった。毎年の恒例行事(伝統芸能を)にしてみてはどうでしょうか?日本人で良かったなぁーと感じました。 (50代 女性)

*久々に狂言を観て、やはり狂言は笑いに始まって笑いに終わる、笑いを引き出すのが本命だと思いました。俗に泣かせるのは簡単だが笑わせるのは大変だと言われますが、お腹の底から笑いが込み上げてくるのは鍛練を積んだ所作の面白さだと思います。昼の交流会で見せた素顔は、Gパンにブルゾンでニコニコとしてどこにでもいる男の子、憶することなく自分の考えを話す、現代っ子だなと感じました。 (60代 女性)

*新春にふさわしい演目で清々しい演技にふれ、何かよいことありそうなと感じた楽しい一時だった。狂言役者の銀髪・白髪はいかにもと思えるが、頭髪が薄くなったり、毛が亡くなったらどうするのか?、まったくくだらないことも考えた。「解説」は楽しかった。能・狂言のみならずその他にもつけた方が良い作品もあるかも知れない。(60代 男性)

*昨年は暗い年でしたが、2002年幕開け、とても楽しい狂言を見せて頂き、ありがとうございました。 (60代 女性)

*人間国宝の素晴らしい笑い声に、良い年になりそうです。年頭に相応しいプログラムでした。今日はとても楽しかった。 (60代 女性)

*年の初めの初笑いとして充分楽しめた。茂山家の若き後継者に期待したい。中でも最後の「濯ぎ川」では女役者のあでやかな色柄の着物に“華”が出て良かった。(60代 女性)

*日本の伝統文化を大切に守っていきたいと心から思いました。知ることの喜びを教えて頂きました。 (60代 女性)

*狂言では膝を曲げて演技するので大変ですね。とても面白かったです。『濯ぎ川』あの後ムコ殿はいかがな生活状態になったのでしょうか。 (70代以上 女性)

*とにかくおもしろかった。伝統芸能とはいえ、現代に直結した内容でした。もっともっとこういう演目を取り上げてほしいと思います。  (70代以上 女性)

*とても楽しいひとときをありがとうございました。何となく、忙しい日々を過していますので、ゆったりした演目に心を癒されました。  (70代以上 女性)

*倒れようとでんぐり返ししようと、笑おうとわめこうと、舞台上でそれはさわやかな品のある芸に昇華されて美しい空間を作っていた。騒がしい世の中だが、心を空にしてそんな芸を眺める、それは至福の時と言わなければならない。あとでゆっくり茂山一家の系譜を眺めて、もう一度観たいと思った。   (70代以上 女性)

*笑いながら笑った。隣席の友人は初参加、やっぱり大声で笑っていた。友人達と笑いながら楽しめて良かった。『濯ぎ川』はそれぞれに我が家庭を想像して帰りの電車の中で笑いながら話した。笑いながら話せること、いいねと思いました。 (2003 木村)
ご意見より
・公演中の客席のしゃべり声が気になりました。

・隣の方、風邪でゼコゼコしておられ、終始ひどい咳をしていました。演目の時はイビキで寝ていました。咳がひどい時はマスクをするとか、後ろの方で観るとか、何とか対応があると思いました。とても残念です。

・隣の方がいびきをかいて寝ていました。ちょっと気になりましたので。

・舞台上から開演に先立って「携帯電話?」の呼び掛けは効果的であった。今後も続けていきたい。2幕開演前にも呼び掛ける必要を感じた。

・1年に1度は狂言をやって欲しい。(多数あり)

・能なども機会がありましたらお願い致します。

・25年振りに鑑賞させて頂きました。当時の労演を観客の年代が違い、時の流れを感じました。

・今回のようにロビーでの短時間ではありますが、対談を行ったらどうでしょうか?気軽に参加することが出来ます。