「雨」
2002年9月9日(月)6:30/10日(火)1:00
会場:横須賀市文化会館
 こまつ座公演

人は果たして他人になりきれるか?
謎が謎を呼ぶ稀代のミステリー






☆スタッフ
☆キャスト
☆あらすじ
☆見どころ 
☆井上ひさし氏講演会
☆山形へ行こう 
☆稽古場訪問  
辻萬長さん三田和代さんインタビュー
☆観劇会当日の様子 

☆運営のまとめ 準備中
感想文集 


川崎市民劇場  8月21日(水)6:30 エポック中原
 8月22日(木)1:30 エポック中原
 8月23日(金)6:15 幸市民館
 8月24日(土)1:30 幸市民館
 8月25日(日)5:00 多摩市民館
 8月28日(水)6:30 宮前文化センター
 8月29日(木)1:30 宮前文化センター
湘南演劇鑑賞会  8月31日(土)6:00 茅ヶ崎市民会館
 9月 2日(月)6:30 鎌倉芸術館
 9月 3日(火)1:30 鎌倉芸術館
 9月 4日(水)6:30 藤沢市民会館
 9月 5日(木)1:30 藤沢市民会館
相模原演劇鑑賞会  9月 1日(日)4:00 グリーンホール相模大野
海老名演劇鑑賞会  9月 6日(金)6:15 海老名市文化会館
 9月 7日(土)2:00 海老名市文化会館
横須賀演劇鑑賞会  9月 9日(月)6:30 横須賀市文化会館
 9月10日(火)1:00 横須賀市文化会館
ひらつか演劇鑑賞会  9月11日(水)6:00 平塚市中央公民館
 9月12日(金)1:30 平塚市中央公民館
厚木演劇鑑賞会  9月14日(土)6:00 厚木市文化会館
横浜演劇鑑賞協会  10月22日(火)6:30 県立青少年センター
 10月23日(水)1:00 県立青少年センター
 10月24日(木)11:30/6:30 県立青少年センター
横須賀で観られないときは、、どの会場でも観られます。
事務局にお問い合わせください。(0468−22−5821)

★スタッフ
井上ひさし 歌唱指導 宮本貞子
演出 木村光一 方言指導 萩生田千鶴子
音楽 宇野誠一郎 三味線指導 有働智章
美術 綾部郁郎 宣伝美術 安野光雅
照明 古川幸夫 舞台監督 宮崎康成
音響 深川定次 演出助手 保科耕一
富田健治 製作担当 井上 都
振付 小森安雄 高林真一
瀬川芳一

★キャスト   
辻 萬長
(つじ・かずなが)

辻さんのHP
banchoo-newsへ
1944年、佐賀県に生まれる。
名前の「萬長」は「万物の長」から取られた。
高校時代から演劇部に所属。エンジニア志望で大道具や舞台の図面を引いているうちに、俳優として出演するようになる。
俳優座養成所、劇団仲間などを経て、現在はこまつ座所属。映画,TVでも活躍。
こまつ座でのおもな舞台
『人間合格』佐藤浩蔵、『しみじみ日本・乃木大将』ぶき、『シャンハイムーン』須藤五百三、『きらめく星座』高杉源次郎『黙阿弥オペラ』河竹新七など
おたか
三田和代
(みた・かずよ)
大阪府生まれ。
俳優座養成所卒業後、浅利慶太演出の『アンドロマック』に抜擢されて、衝撃的なデビューをはたした。
劇団四季に所属してヒロイン女優としての鮮烈な演技は今も語り継がれる。
四季退団後も多くの舞台で活躍。
『糸女』『滝沢家の内乱』で横須賀公演。
こまつ座での舞台『国語元年』『小林一茶』『頭痛肩こり樋口一葉』
金七
螢雪次朗
 
佐藤愕夢
仲 恭司
 
親孝行屋
藩士
坂部文昭
(さかべ・ふみあき)
群馬県高崎市生まれ。
文学座座員。
初舞台は『アンドーら』
『騒がしい子守唄』で、第七回紀伊国屋文学賞を受賞。
井上作品は『たいこどんどん』、こまつ座では『雪やこんこん』に出演
釜六
田代隆秀
 
願人坊主
浜島庄兵衛
紅花百姓ろ
松野健一
(まつの・けんいち)
東京都生まれ。
俳優座所属。
『カラマーゾフの兄弟』では、師の千田是也最後の演出作品に出演。続く千田是也演出予定だった作品『食肉市場のジャンヌ・ダルク』では、「千田先生に"いじめ抜いてやるぞ"といわれてましたが、もうかなわなくなったことが残念です」
こまつ座出演は『イーハトーボの劇列車』
白石屋
永江智明
 
長谷川又十郎
森山潤久
 
宮司
沖恂一郎
 
おかね
二宮弘子
 
花虫
風間舞子
(かざま・まいこ)
長崎県で生まれ、大阪で育つ。
大学四年のころ、反対する親を説得し上京、体当たりで女優への道を切り拓いた。
井上作品『国語事件殺人辞典』で舞台女優へと転進。
『頭痛肩こり樋口一葉』の中野八重役で、その斬新な演技が各紙の絶賛を浴びた。
その他のおもな舞台
『國語元年』『幻ろさんじん』『ラン・フォー・ユア・ワイフ』『罠』など
飛脚
最上屋
柴田義之
(しばた・よしゆき)
福岡県生まれ。
北里大学畜産科をへて、横浜放送映画専門学院(現・日本映画学校)演劇科卒業。
劇団1980創立メンバーの1人として加わり、以来、劇団の舞台を中心に活動。
おもな舞台『謎解き・河内十人切り』、永六輔詩のベストセラーを元に戯曲化した『大往生』、横須賀でも上演された『ああ東京行進曲』など
百姓
田中英樹
百姓
山崎秀樹
百姓
八代定治
百姓
荒井志郎
百姓
飯原道代
百姓
福田麻恵
百姓
矢嶋美紀
百姓
松井 茜
あらすじ
諸国から流れ込む食い詰め者の掃きだめ江戸。その江戸八百八町を古釘や古蹄鉄を拾ってうろつき歩く金物拾いの徳(辻萬長)は、春雷とどろくある日の午後、雨宿りに入った両国橋の橋下で、羽前国から江戸へ迷い込んできた新顔の浮浪者の形遣い親孝行屋(坂部文昭)から、
「これは紅屋の旦那様・・・!」
と声をかけられた。
 初めのうちは、
「ふん、ばかな人ちがいをしていやがる」
と鼻先であしらっていたが、そのうちに、金物拾いの徳の心の奥底でなにかが微かに動きはじめた。
 江戸から北へ百里のところに平畠という小藩があるが、そこの城下で一番の身上持ち紅花問屋「紅屋」の主人とこの自分とがまるで生き写し、しかも主人は行方不明になってしまっているというのだ。
 さらに主人の帰りを塩断ち茶断ちして待ちわびている紅屋の女房のおたか(三田和代)は後光のさすような美人だともいう。
「後光のさすような美人?」
 このとき、うだつの上がらないこの拾い屋は、生涯に一度の大勝負に打って出ようと心を決めた。
「なんとかして、そのべっぴんの御亭主になりすます手はねえものだろか」と・・・・・。
井上ひさし氏講演会  2002年7月26日7時から 横浜にぎわい座にて
新作の『太鼓たたいて笛ふいて』の初日が25日に無事迎えられてほっとしていらっしゃる井上ひさしさんに来ていただき、「演劇はなぜ人間に必要か」というテーマで、暑い夏の日の夜、たっぷり2時間語って頂きました。
会場の〈横浜にぎわい座〉は「大衆芸能で、明るくにぎやかな21世紀を!!をキャッチフレーズに、平成14年4月、芸能の街・横浜市中区野毛町に、大衆芸能の専門館として生まれた新しいホールです。こちらの、3,4階にある〈芸能ホール〉は、普段は、落語・講談・浪曲・漫談等の寄席芸をはじめとする、大衆芸能なが行われ、客席数は410席、舞台までの距離も近く、演者の動きが手に取るようにわかると言うものです。
私は、開演ぎりぎりになってしまい、二階席の一番上の席に座りました。会場内は、神奈川県内の鑑賞会の会員さんでいっぱいです。横須賀の会員さんも、多数参加していらっしゃいました。
以下は会報の記事として依頼した、原稿です。

  井上ひさし講演会

役者はなぜ舞台に立つのか?

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●『演劇は滅びない』
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 17年後の2月、直径1〜4キロの小惑星が地球にぶつかるかも知れない、と言われています。もしぶつかったら地球の環境は一変し、人間が生き残ったとして今まで築き上げてきた人間の芸術文化のなかで、大方のもは灰燼に帰するでしょう。

だが、演劇は決して滅びない。なぜなら演劇は人の歴史とともにあるのだからです。

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●『感動が奇跡を呼ぶ!』
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 観客の皆さんとの出会いは過去から未来に渡って、歴史上もう二度とない組み合わせの中で構成されます。役者の演技に観客が引き込まれ、一体となって共感しあうそのやり取りが芝居の質を高め、観客との間で「奇跡」を起こすのです。

この連帯感・喝采こそが演の魅力の源泉であり、役者にその持っている力以上の演技をさせてしまう不思議な力なのです。

 そして、この奇跡に触れた人たちはしあわせな気分を共有して、豊かな気分で帰路に着くのです。

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●演劇は《資源》だ
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 バブル経済のはじけた今の日本に必要なものは、もう土建国家の公共投資を続けることではない。地球・環境にやさしい建築土木の仕様とそのハードに対するソフトが一番肝心のところだ。

 ニューヨーク市長が演劇人を集め町を活性化したように、例えば横浜みなとみらいの赤レンガ倉庫をそうした場所にして行く試みなど、日本の文化の深さを世界に発信していくことが、これからの日本の生きる道であり、それが日本の大きな財産になることを理解すべきだろう。

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朝日アベニュー<制作担当>上平 
☆〜山形へ行こう〜 2002年8月3日(土)・4日(日)
私は行ってないので、参加した方からのメールと、会報の記事を載せます。
Kさんから届いたメール
無事山形行って来ました。
遅筆堂文庫はゆったりして、何時間でもいたくなるような所でした。
打楽器サンバは、野外で、大きな木をバックに普段聞き慣れない音で
幽玄の世界に導いてくれました。
かがり火の木の弾ける音と、鳥の声が微妙にマッチして、夕方の暮れなずむ空気が体に心地よくまとわりつきます。これが又無料なんです。
プラザの舞台は演劇専用ということですごく見やすい構造です。
楽屋も舞台裏すぐの所にあって、搬入口も雨に濡れてもいいようになっており、すべてフラットになっています。
温泉も目の前のダリア園のゆったり作られていて、ここにも野外ステージがありました。
川西町はなんて贅沢な町なんだろうと思いました。


会報に載る記事です
井上作品のルーツを求めて
 『雨』の舞台となり、また井上ひさし氏の故郷でもある山形県川西町を訪れたのは8月3日の昼過ぎ。横須賀を出て約5時間の旅、参加者15名が降りたった米坂線「羽前小松駅」に漂うは鉛筆の匂い=\さすが作家を生む町は違う!・・・・?・・・
 駅裏を歩くこと数分、ひときわ目立つ灰色の大きな建物が目的地「フレンドリープラザ」―遅筆堂文庫、町立図書館さらに劇場も備えた文化施設になっています。
 1987年開設された「遅筆堂文庫」は氏が寄贈した7万冊の蔵書を母体とし、今では14万冊に増えている。普通の図書館とは違った「言語」「江戸」「演劇」「農業」等のこだわりの分類で並べられた本のあちこちに、独特の字で書き込みがあったり赤線が引かれたり…これらを使い「イーハトーボの劇列車」「きらめく星座」が生まれたと思うと感無量―つまり井上ひさし氏の心にふれられる貴重な図書館なのです。又併設された劇場は客席712席、座りやすく見易い、多目的ではない演劇専門のホールとして設計され第36回建築業協会賞を受賞しています。楽屋もシャワー室もこじんまりしていますが、使い勝手はよさそうで、搬入口も荷物の出し入れがし易く考えられています。こまつ座の全国公演の立ち上げはすべてここから始まります。『雨』も8月18日にいち早く観ることができます。同行の会員さんからも「是非ここで井上作品を観たい」との声が多く聞こえました。
 そうそう、言い忘れましたが、プラザ近くに高〜い大きな煙突がモクモクと煙をあげておりました……三菱鉛筆工場の……  サクマヒロミ
☆稽古場訪問  2002年8月8日(木) 森下 ベニサン稽古場
暑い日でした。ベニサンの稽古場は『雪国』以来二度目です。森下駅からは歩いてすぐなのですが、今日は集合時間が10時。8時に家をでました。川崎、横浜の鑑賞会のかたと一緒に、稽古の始まる前に辻さんと、三田さんのインタビュー。
今回は『雨』の上演としては8回目になるそうですが、辻さんは3回目、三田さんは2回目の御出演です。
今回は、神奈川県の演鑑を回り、中国地方の演鑑を回り、横浜演鑑で上演後東京公演、そのあとさらに九州の演鑑を回る全116ステージの長丁場です。
体力を維持する秘訣、セリフの覚え方、見どころ、今まであったハプニング、神奈川の皆さんへのメッセージなどお聞きすることが出来ました。
インタビューの記事は、準備中です。
写真の右は舞台です。斜めになっているので「八百屋」と呼ばれているそうです。
そのふちに座ってお話を聞きました。
少しの間座っているだけでも、ちょっと違和感ありです、斜めって。
この上で三時間、さぞ大変と、実感しました。
ベニサンビルには「ベニサンピット」と言う劇場と、8つの稽古場(スタジオ)があります。他にも松竹をはじめ、地人会や、キョンキョンの出演する「おかしな2人」などが稽古中です。誰かに合えるかなと、ちょっぴり期待したけど、だめでした。 『雨』の稽古場第二スタジオは2回にありました。入り口を開けると。
スタジオの中です。今回は出演者スタッフが多いので、教室のようにずらっと机とイスが並んでいます。自分の出番でないときには、役者さんも席について待っています。もう一列右側は、スタッフ席でした。 左の写真の柱に貼ってある、大きな表の拡大図です。
香盤表と書いてあり、シーンによって、どの役者さんが、どの役名なのかが一覧表になっていました。
出演者が多くさらに1人で何役もこなす、大変なお芝居です。香番表をちゃんと見る
周りには色んな小道具が、雑然と置かれていました。
赤いのは、花餅?
リアルな足が見えたので、一同びっくり。
上半身と下半身が分かれています。
足の部分を自分の腰に巻きつけ、上半身は前にくっつけます。人形の上半身と自分の足で1人の人間、そして自分は負ぶわれているように、人形の足と自分の上半身で、1人をあらわします。
三味線の生演奏もあり。 餅つきもあり。
船―ちょっと怖いシーンです 右のスタッフ席の壁際には、浴衣がずらり。稽古は、皆さん浴衣でした。
一番後ろに、演鑑の皆さんがここから稽古を見学します。実はエアコンの前で、特等席なのです。 稽古中は、撮影禁止ですので、お見せできなくて残念です。これは帰りに横須賀チーム全員で舞台に座って記念写真。
発声練習
11時から稽古が始まりました。まずは発声練習です。先生のピアノに合わせて役者さん全員が「らりらりらりらりらー」「まみまみ…」「たてぃたてぃ…」「なになに…」ひとつづつ丁寧に、低い音から高い音まで出していきます。こういった基本が大切なんですね
制作の瀬川さんから説明
こまつ座はプロデュース公演なので、瀬川さんと辻さん以外のキャスト、スタッフ全員が、どこかの劇団等に所属している。今までの『雨』の公演記録を載せたパンフ「the座」を今製作中。演出の木村さんは、今日はNGだが、演出助手の方がいるので、今日は全シーン通しで稽古をする。幕はないが、舞台は本番と同じ大きさになっており、小道具も本番と同じ物を使う。中央の斜めになっている大きな大は「八百屋」と呼ばれており、左右に動かして使う。斜めになっている上で演技するのは、大変体力の要るものである。
そのあと、キャスト、スタッフの皆さんに私達のことを紹介してくださり、稽古は始まりました。
『雨』の稽古
幕がないので、場面転換の時の様子が全部見えます。本来なら、舞台の中ほどに雨カーテンが引かれて、(下りてくるのか?)その前で演技をしている間に、後ろのシーンを模様替えします。場面ごとに、場所がどんどん変わります。そのたびに、室内になったり、屋外になったり、寝室になったり、スタッフの方が、てきぱきと動いていく様子が全て見えました。
井上作品には欠かせない、歌と踊りもふんだんにでてきますが、打楽器や三味線の生演奏があります。
徳を演ずる辻さんは、全シーン出ずっぱりです。しかもシーンごとに着替えをしているようでした。他のキャストの方も、出番ごとに衣裳が変わる方が多いようでした。
小道具も、上手、下手と舞台で使い終わると、スタッフの方が持って、走り回っています。
その中で、お話はどんどん進んでいきます。
この芝居は、推理劇でもあるので内容については、ネタバレになってしまいますので書けません。
インタビューのときに辻さんが「この作品は見た後でいろ色語り合いたくなるが、観る前にはあまり話せないのです。」と言われた意味が、観終わってからとてもよくわかりました。
観終わって
稽古が始まって、約1月とのことですが、セリフは皆さん殆ど入っているようでした。さすがです。
11時に始まった稽古は、発声練習もありましたが、終わったらもう3時近くになっていました。瀬川さんに、上演時間を聞いたところ、「舞台でやってみないとわからない。お客さんの反応で、役者のスピードも違ってくる」とのことでした。しかし3時間を切りたいとも。
私は初めて観ました。台本も読まず、真っ白の状態で見ましたが、よく分かる芝居でした。勿論、とても面白く、辻さんがすごいの一言です。山形の方言については、わからなくても、大丈夫と思います。
これで衣裳や鬘をつけて、照明があたり、雨の幕がつくと、どんなにすばらしい作品になるのか、横須賀公演まで待てない!
同行したラムネ色さんの感想です(会報用)
 立秋とはいえ炎暑の街から、ドアを押して1歩入ったところには「雑然」という言葉通りの世界がありました。初めて見る「稽古場」の印象です。ズラリと机の並んだスタジオに、浴衣やTシャツ姿の役者さんやスタッフの方が40人あまり、座ったり歩き回ったりしていました。
 11時から発声練習が始まり続いて通し稽古が開始されました。途中15分ほどの休憩をはさんで、3時頃まで休みなく舞台で演技が続けられました。出番を終えて自分の席に戻ってくる役者さんの滴る汗、舞台でのコミカルさと一転した真剣な表情。稽古場という舞台と舞台裏を同時進行で見られる特異な場所で1つの舞台が完成される一端を見ることが出来、とても有意義な1日でした。(ラムネ色)
辻萬長さん三田和代さんインタビュー
 「雨」の観劇会に先立つ8月8日(木)、運営サークルでは横浜・横須賀の鑑賞会と共同で、両国のベニサンピットで行われた稽古の様子を伺って、「雨」に出演の辻萬長さんと三田和代さんにインタビューを行いました。

【この作品は、1976年に初演され、今回は8演目ということですが、お二人が出演されるのは、何回目になりますか?また、演出などは変わったのでしょうか?】辻・・私は三回目で、既に177ステージを演じました。役者が変わった分だけ役作りや人物像は変わっていますが、台本や演出は、基本的には初演から変わっていないはずです。
三田・・私は二回目になります。以前のものは観ていませんが、基本的なものは同じだと思います。

【今回は110ステージのロングランと伺いましたが、長期間、体力や気力を維持していく秘訣は何でしょうか?】
辻・・僕は元々突っ走る性分で配分なんて考えられない役者なものですから、とにかく110ステージ九州まで演じ続けます。秘訣はなくて、気力を持ち続けるだけです。
三田・・私は、何よりも寝ることです。何とかしてうまく寝るようにすることです。丈夫ですが寝付きが悪く、寝るのがとても下手なんです。実は旅がとても苦手なんですが、この作品はやり通したいと思います。

【まもなく、初日を迎えますが、稽古は順調でしょうか?】
辻・・大変、順調です。

【先日、山形の川西町に行って、今回の初日が行われるフレンドリープラザを見学しました。】
辻・・こまつ座はだいたいあそこを最初の公演にしていますが、日本でも5本の指に入るいい劇場じゃないでしょうか。遣る方にも観る方にもね。全部で717席です。
三田・・私は今回が初めてなのでドキドキしています。
辻・・この作品の舞台は山形の高畠です。地名を平畠と設定してあります。今回はその隣の川西町で初日ですから。

【この作品は台詞が多く、覚えるのも大変かと思いますが?】
三田・・稽古していると、いつの間にか台詞は覚えます。山形弁なのでルビが振られています。余り忠実にやるとわからない部分もあるので、今回は全国公演ですし、少しわかりやすくしています。
辻……方言の芝居は、感情的・心理的なものを特に加味してやらないと通じにくいですかね。
三田……井上さんの作品は、作品そのものにリズムがあるのですが、言葉にそのリズムが加味されているんですね。

【台詞は、どこで覚えますか?】
辻・・僕は、散歩しながら自分のものにしていきます。顔の表情もつけながら歩いているから、端から見たら変な奴に見えるかもしれませんね。
三田・・私は地下鉄で。家では何故か、台本を広げて覚えられないものなんですね。せっぱ詰まると相手の台詞をテープに吹き込んで、それを聴きながらどう返事するかを考えます。稽古する中では話の筋が主役になりますので、どういう風にシーンが流れているかがわかると、だいたい似たような事が言えるので、もう一回台本に戻ります。

【舞台を見ると斜めになっているようですが、稽古していて事故などはありませんでしたか?】
辻・・前々回後ろの方が壊れて、僕と花虫という芸者が転がり落ちた事がありました。二人ともかつらが飛びました。
三田・・この舞台は、お客さんに見えやすいように斜めになっています。
辻・・斜めの舞台は「八百屋」と呼んでますが、観る方にとっては見やすいのですが、やる方にとっては腰をいためます。

【お二人は、他にも共演作品はありますか?】
辻・・『ハムレット』では、叔父さんのクローディアスとガートルードをやり、他に『メッカへの道』、『紙屋町さくらホテル』などで共演しています。
三田・・『紙屋町…』では元宝塚スターの役でしたが、実際に宝塚を見たことがなく、振り付けも苦労しました。宝塚のシーンの台本が出来上がってきたときは、目が点になりました。

【今回の100ステージの公演の中で、神奈川演鑑連では23ステージがまとまっています。神奈川の会員に向けてメッセージを頂けないでしょうか?】
辻・・この芝居は、構造上いろいろ説明できません。物語をよく観てくださったかたの方が、最後にわーっと面白くなる。眠ったら面白くなくなりますよ。
三田・・私たちもお客様を飽きさせないようがんばりますので、最後までどうか観てください。
辻・・観劇後なら、実はあそこは・・・と言えるんですけど。
三田・・長い芝居ですからね
辻・・この作品もそうですけど、井上さんの芝居は言葉にいつも凄いエネルギーを使うので、終わればもう誰とも話したくないという状態になってしまいます。台詞が膨大なのでどんどん溜まってきます。
三田・・辻さんは出ずっぱりだし。
辻・・そうは言っても僕は江戸者の設定だから、東北弁がうまくなくても言い訳できるのですが、三田さんの「おたか」は大変です。ただ、僕の「徳」は始終怯えていなくてはならないから、人間としてはこれは辛いことです

【本日はありがとうございました。本番を期待しています。】
☆観劇会当日の様子