コース解説

コースセッター:小林康浩

本大会のコースはいかがでしたでしょうか。ごく一部のクラスのごく一部のレッグについてのみですが、コースセッターとしてのコメントを掲載させていただきます。成績表の原稿を基にしているため、地図の画像は白黒です。

ME 10→11→12 MAL 6→7→8 (ルートはME優勝奥村氏)
この区間は地形を大胆に捕らえて走る高速コンタリングのレッグのつもりだったのですが、10→11では道を回った奥村氏のタイムがトップです。彼の走力とそれを生かすルートチョイスに脱帽です。



ME 13→14(左:ルートはME優勝奥村氏)
レッグ後半ではピークの南側をコンタリングしてアップを抑えるか、ピークまで登って難易度を下げるかの選択となりますが、奥村は後者を選択しています。先に述べた彼の走力を考えると妥当な選択だと思います。
WE,MAM 4→5(右:ルートはWE優勝落合氏)
キーとなるレッグ後半はMEの13→14と同じです。WEでコンタリングのルートを選ぶ人はほとんどいないだろうと思っていましたが、落合氏はこちらを選んでいます。奥村氏、落合氏ともコントロール手前でミスをしていますが、どちらも速やかにリロケートできているあたりはさすがです。



ME 17→18 WE,MAM 8→9(ルートはWE優勝落合氏)
落合氏は無難にこなしていますが、ラップを見るとWEではこのレッグで波瀾があったようです。また、他のいくつかのクラスにも同様のレッグがあったのですが、そちらでも大きくツボった人が多かったようです。池の東側の不明瞭な小径が通りにくいため距離感が狂ってしまい、手前(北側)の小径がある沢に入ってしまったようです。道が通りにくい場合はイライラがつのってショートしがちです。カンに頼らず歩測や地形との対応を確実に行う必要があります。また、MEクラスでこの区間トップの田代氏は池の西側を回っています。地図をよく見ると池東側の不明瞭な小径に比べると、池の西側は道がはっきりしておりスピードが出せることが読み取れます。



MSel 2→3(ルートは失敗例?)
コースセッターが予想していた以上に多くの人がツボっています。ツボった人はコントロールをチェック後、漠然と「2つ先の沢」というイメージを持ちながら登り易い沢底をやや東寄りに登って尾根に乗ったと思います。沢底を登った場合、尾根に出るのは尾根の分岐の辺りです。しかも分岐から南東に伸びる尾根はこの高さでははっきりしていません。ここから「2つ先の沢」のイメージでコンタリングを始めるとコントロールのある沢を1つ目の沢と勘違いし、先の沢まで行ってしまいます。沢を登る時に何も考えずに登り易い方向へ登っていると、登り切った時に当初の予定と違う場所に出てしまうことが多々あります。このような沢を登る場合にはコンパスと地図を良く見てどこに出るかをしっかり予測しながら登る必要があります。今回はここでツボった人は非常に多く、セレクション通過者の中にもここで大きくタイムをロスしている人もいます。インカレ本番ではミスをしないことも重要ですが、ミスを跳ね返す気持ちで最後まであきらめずにがんばって下さい。