4月17日、まちだ市民フォーラムホールにて、「町田のこまった!どうやって解決するの?」と題したシンポジウムが開かれました。これは、2002年8月に開催した「あたらしい公共の形をさぐる市民シンポジウム」に続く第2弾の企画として、「焼きうどん的発想で町田の市民自治をひらく会(略称:焼きうどんの会)」の主催で行われたものです。
前回のシンポでは、市民・事業者・行政の役割や責務についてのディスカッションを行いましたが、次回は是非、議決機関・立法機関としての「議会」について、討論の場を持ちたいというのが、その時の実行委員に共通した思いでした。
また、今回は実行委員会という形式ではなく、新しい団体を立ち上げて継続的な活動を展開していこうということで、「焼きうどん的発想で町田の市民自治をひらく会」という、正体不明?な団体のスタートとなった次第です。しかし、この奇天烈な名称のおかげで、多くの方から「何なの?」というリアクションをいただき、かえって、会の目的や市民自治基本条例についての理解を得ていただくきっかけとなりました。
「町田のこまった!」論点バスツアー
第一部では、昨年11月に行った「まちだの論点バスツアー」(センター通信第23号参照)の報告を寸劇つきで紹介しました。この寸劇は「即席素人劇団・こまった」の、ぶっつけ本番のアドリブ入り熱演で、大いに笑いをとっていました。
バスツアーは、市庁舎建設問題で議論百出の森野二丁目の既取得用地を皮切りに、統廃合により道路を挟んで廃校舎と新校舎が向き合う形となった小学校、有料化問題、廃プラスチック中間処理施設建設問題などでゆれる、町田市の焼却施設「リサイクル文化センター」と満杯になってしまった「町田市廃棄物最終処分場」、そして、かしの木山に隣接し、第一種低層専用住宅地域の中に計画されている巨大マンション建設用地、かつて同じように地域住民による反対運動が起こった、小川の巨大マンションなどを巡りました。
巨大マンション建設予定地の「旧日本IBMグラウンド」周辺の住民は、かつての小川マンション(グランセリーナ)問題での反省や経験から学ぶことなく、手続き上問題がなければ建設許可を下ろさざるを得ない行政と、地域住民との真摯な話し合いもせずに、建設を強行しようとする業者との狭間で、不安や不信を募らせています。特に工事車両が入ってくる道路はバス道路とはいえ、狭い生活道路であり、渋滞の発生や騒音や排気ガス問題だけでなく、通学する子どもたちの事故の危険性と背中合わせという問題を抱えています。予定通りの建設が行われれば、日照や電波障害、風害は無論のこと、何よりも景観が一変してしまうことになります。住民側も一方的に反対というスタンスではなく、話し合いによる解決を求めていますが、4者協議も一方的に打ち切ってしまった業者への不信は、簡単には払拭されないでしょう。この問題は、単に一地域の問題ではなく、町田市全体の長期的展望に立った景観や空間デザイン構想の欠如と、街づくりへの市民参加制度の欠如がもたらした問題でもあり、地域の問題は地域で決めていく新しいしくみづくりが求められます。
また、庁舎建設問題では、先行取得した森野二丁目用地ありき、という審議のあり方や行政のスタンスが、多くの市民の不信を買うこととなりました。また、検討委員会の最終答申を待たずに、昨年12月議会に「市役所の位置を定める条例案」が提案され、さすがに議会も十分な討議が必要として継続扱いにしたものの、3月議会では記名投票の結果、僅差で可決され、行政の一方的な手法への疑問が一段と高まることとなりました。
5月21日号の「広報まちだ」によれば、今後、市民を交えた検討組織を立ち上げ、新庁舎建設計画を進めていく、としていますが、庁舎建設地を決定するまでの議論が十分であったのか、将来にわたる財政負担や都市間連携における問題などを含めた検証が求められます。
行政内での市民自治基本条例制定への動きは?
町田市は、「町田市行財政改革プラン(オプティマ21)」の中で、市民自治基本条例を市民との協働における重点項目の筆頭に掲げ、2005年の策定を目指すとしています。そこで、2003年度に庁内にワーキングチームを設置して、先ずは現行法に照らし合わせて、現在の市条例や規定などを精査していくことになりました。その年度を終わり、その成果や、今後の議論の進め方や検討組織などについて、いわば政策形成途中の動きについて、市職員の方からお話しを伺おうということで、企画部政策審議室の水島さんに報告をお願いしました。
水島さんは先ず、今回の報告のために作成された町田市の歴史年表、例規・組織・計画の年表を示して、市政や組織行政計画の移り変わりや世相の動きと対比した町田市政の歴史や出来事など、その概観について報告されました。その上で、
1期目議員に訊く、本音トーク
市議会は3月から新しい体制でスタートしましたが、ディスカッションに先立ち、新しく議長となった大塚信彰さんからご挨拶をいただきました。
町田市議会は定数36名中新人議員が12という構成ですが、その新人議員の内7名が今回のディスカッションに参加していただきました。会派を超えて自治をテーマに新人議員が集まるというのは、町田では初めての試みです。
その行事役を務めていただいたのは、多摩市市議会議員であり、多摩市での市民自治基本条例をつくる会のメンバーでもある岩永ひさかさんです。
今回のシンポに先立ち、議員の皆さんには事前アンケートに回答をいただいていました。先ずはその中から、私たちの会(焼きうどんの会)の作成した「議会制度と市民自治」についての評価を聞くというところからスタートしました。
町田市の一期目議員の皆さんに、本音トークをしてもらおうという企画でした。
会場からの直接のご質問・ご意見の聴取ができず、せっかくおいでいただいた皆さんに、やや欲求不満の思いをさせてしまいましたが、会派を超えた一期目議員によるディスカッションは、今後の市民自治基本条例の制定過程での、議会・議員の役割と責務、そして市民との協働について考える、ひとつの試金石となったのではないでしょうか。
今後、私たちは引き続き、市民自治基本条例の市民試案第2弾作成へ向けて活動を展開していきたいと考えていますが、議員との協働での条例立案も視野に入れていけるのではないかという感触も、今回つかむことができたように思います。そして、多くの市民の方と共に、なぜ私たちの町の憲法として市民自治基本条例が必要なのか、私たちは自治の主人公として何ができるのか、一緒に考えていきたいと思います。
最後に、今回のパネルディスカッションで議会制度問題を取り上げるにあたって、企画段階からアドバイスをいただき、当日はコーディネーター役を務めていただいた多摩市市議会議員の岩永ひさかさん、当日、パネラーとして参加していただいた町田市議一期目議員7名のみなさん、飛び入りでご挨拶をいただいた市議会議長の大塚信彰さん、そして、参加者の皆さん、本当にありがとうございました。また、開催趣旨にご理解を戴き、ご後援いただいた町田市と、ご多忙の中、何かとお力添えをいただいた職員の方々、また、印刷のご便宜を図っていただいた町田市職員労働組合の皆様に、改めて感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
※まちだ市民情報センター「情報センター通信」より、抜粋