ごみ問題3者協議会の早期設立と

市清掃行政の協調姿勢への転換を要請する

 

町田市長  寺田和雄 殿

 

 

平成16年8月31日

                                                                                         小山田環境対策連絡協議会

                                                                                         代表  広瀬立成

 

 

1 住民と行政との信頼関係の修復を

 小山田地区の住民は、これまで半世紀にわたり、町田市の全市民のごみを集中処理することを不本意ながら受け入れてきました。この間、あいつぐ人口増加と大量生産・大量消費社会によってもたらされるごみ量の増大と質の有害化が急速に進んだにもかかわらず、いずれに対しても市行政の適切な対応処理が図られないまま今日に至っております。その結果、小山田住民は、年々拡大するごみ行政による負の遺産を背負いつづけてきました。

 平成12年に発足した小山田環境対策連絡協議会(以下、環対協と略記)は、町田市のそうした未熟な清掃行政に対して、その2年前に発足した市の廃棄物減量等推進審議会が提言した長期的な解決策を盛り込んだ答申を支持し、地元住民の健康や生命を守る総合的な施策によって、小山田地域がそのあるべき姿を取り戻そうと願う人々によって誕生した住民組織です。環対協は設立後ただちに「小山田無公害宣言」を策定し、プラスチック中間処理施設建設の一方的な押し付けを即刻改め、住民が切望する健康調査の実施、発生抑制・排出抑制の徹底、施設の市内分散化、民主的な話し合いの場の常設を要求しました。

 しかし、プラスチック中間処理施設建設が暗礁に乗り上げた平成12年以来今日まで4年間、ごみ問題の困難を改善すべき施策には何一つ見るべきものがありません。とくに、旧最終処分場の管理およびプラスチック処理を含むごみ処理施設については、多くの課題が山積しているにもかかわらず、その解決に向けての創意工夫も熱意ある取り組みもまったくなされておりません。これは市民の血税の浪費であり、まことに遺憾な状況というほかありません。

 このような無策を目の当たりにして、地域住民の間では、町田市行政当局に対する不信とその責任を問う声が日増しに高まりつつあります。今やごみ問題は、住民と行政との信頼関係の修復なしでは一歩も前進しない段階にきております。

 

2 環境部と環対協との話し合いの開始

 以上のような状況のなかで、平成14年7月、リサイクル文化センター敷地内の旧最終処分地、峠谷および池の辺地域内に、大量の危険な焼却灰が野積みされていることが発見されました。それが健康障害をもたらすものとして、地域住民の不安がつのる中、7月18日、環対協は、寺田市長に抗議文を提出し状況の説明を求めました。これに対して、8月20日付けの市長からの回答は、きわめて不誠実で、かつ多くの疑念を残し、住民の不安にさらに拍車をかけるものとなりました。

 この間、7月20日付けの毎日新聞および7月23日付けの読売新聞に報道があり、現場の工場長が『住民に不安を与える行為で不適切であった』と認めております。にもかかわらず、市長の公的回答書には、「不適切」な行為であった旨の反省の言葉もなければ一言の謝罪もありません。9月30日、環対協は、再度抗議文を提出し、10月30日までに文書により回答されるよう要求しました。

 ところがこの再抗議文に対して、環境部清掃事業担当部長白井克行氏から話し合いの申し出があり、平成14年10月11日、環対協設立以来はじめて、環対協と環境部の清掃部現場責任者3名(白井克行担当部長、渋谷剛二工場長、鈴木和夫係長)との意見交換の場がもたれ、議題の重点は環対協の主張する旧処分場跡地の管理問題に移りました。さらに、この重点課題を地元住民の理解のもとで解決するために、両者の会合に環境問題の専門家、梶山正三氏、関口鉄夫氏を招聘しアドバイスを受けつつ検討が深められていきました。とくに、平成16年1月9日、梶山、関口両氏、環対協、地域住民による合同の旧最終処分場の表層調査では、多くの観察結果にもとづき具体的な対策が提案され16年度計画にも取り入れられる見通しとなりました。

 

3 地元住民の理解と合意形成ができる「(仮称)ごみ問題3者協議会」の設立を  

 環対協はこれまで、市当局、地域住民・市民代表、専門家による3者協議会を設立し、そこでの緊密な話し合いを踏まえつつ、地域住民の納得できるごみ行政全般に取り組むよう、とくにまずは、市の旧最終処分場管理のあり方を優先するよう提案してきました。しかし、市長への再三の提案にもかかわらず、聞く耳をもたない行政の独善的方針によって、ごみ問題の進展はまったく停滞し他市に比べても大きな遅れをとっております。

 そのような状況の中で、一部の熱意ある担当職員に限っていたとはいえ、これまでの13回にわたる環境部と環対協および専門家を加えての自発的な検討は、前述のとおり唯一の例外的協調作業として地元住民の期待のもと着実に実を結びつつありました。しかし一方では、検討会での必要経費は、環対協が中心となり、地域住民の資金カンパによって集められてきました。町田市全体に関わる旧最終処分場の問題に、市のごみ担当の最高責任者(前環境部長=現清掃事業部長)が全く目を向けないばかりか、地域住民だけに費用負担を強いるという無責任な態度にはまったくあきれるばかりです。

 

 さらに5月24日・8月27日には、地元在住議員5名・4名の出席を得て、現状報告の後、最終処分場を中心とするごみ行政のあり方につき活発な意見交換の会が持たれました(参考資料として、環境部、議員、環対協との会合の記録を添付します)。

 このような異常な状況に対して、6月議会では地元市議会議員から、ごみ行政全般にかかわる一般質問があり、とくに旧最終処分場について住民の納得する調査の必要性が指摘されました。

 地域住民の真意を理解しごみ行政のあるべき姿について真剣に取り組む議員さんたちが登場したことを、地域住民は高く評価しております。この質問に対して、前述の担当部長からは、地域住民の意向を取り入れたごみ行政を推進するため運営協議会を設置するという、一見、前向きとも思える答弁がなされました。

しかし私たちは、この答弁が単なる市側の建て前論や思いつきではなく、「地元住民の声の反映を主眼とする運営協議会」の実現という民主主義の基本的ルールを回復するためのものであることを切望いたします。そして、これを機会に、町田市当局は地元住民との信頼を修復し、相互理解を深めることのできる協議会の設立に全力で取り組んでいただくことを心から要請するものです。

 最終処分場を中心としたごみ問題は、町田市ごみ行政の根幹にかかわるもので、行政はもとより町田市民一人一人が真剣に取り組むべきものです。ここで、市清掃事業部、地域住民・市民代表、専門家の3者による公式の協議機関を発足させ、財政基盤を確保しつつごみ問題につき検討を進めることは、町田市ごみ行政の閉塞状態を打開し画期的な改革をもたらすものと確信し、その早期実現を強く要請します。

 ここで私たちが設立を要請する「ごみ問題3者協議会」について、その具体的な構成や機能をより明確にするために、あるべき基本的要件を以下に付記しておきます。

 

 なお、協議会の設立計画についての行政側の方針と取りくみの現状を、10月1日までに文書にてご回答いただきますようお願いいたします。

 


付記:ごみ問題3者協議会について

(1)役割

イ)リサイクル文化センターおよび旧最終処分場を含む関連施設の安全性と周辺の関保全全般についての調査や対策の方針について協議する。

ロ)市全域のごみ減量や資源化方針について対策を協議し、小山田リサイクルセンターへの環境負荷に配慮する施設計画等似ついて協議する。

ハ)その他、住民側と行政側の両者の環境・廃棄物関連の要請項目について合意のための組織として機能させる。

(2)構成

 地域住民代表(市民代表も含む)、専門家、行政担当者の3者。

註)        住民代表:地元町内会・自治会等の代表者および環境・廃棄物問題に活動する地元

     住民団体の代表者など。

専門家:地元住民団体が推薦する複数の専門家および行政の推薦する同数の専門家。

行政:環境保全および廃棄物担当者

(3)代表者

 会議の召集を行う代表者は、専門家の中から選ぶ。

(4)幹事会

 幹事若干名を選び、協議テーマや方針等似ついて事前協議する。

(5)任期

 一応2年程度とし、再任は妨げないが、幹事会などで見直す。

(6)事務局

 行政が担当する。

(環境部議員、環対協との会合の経緯)

1 平成14年10月11日

              懇談会:環境部清掃事業担当職員(白井、渋谷、鈴木)、環対協(広瀬、薄井、小林)

2 平成14年12月24日

              環対協役員会に清掃事業担当職員が出席

3 平成15年2月21日

              環対協役員会に清掃事業担当職員が出席

4 平成15年4月18日

              処分場の現状について、清掃事業担当職員と環対協の話し合い

5 平成15年5月6日

              処分場の現状について、清掃事業担当職員と環対協の話し合い

6 平成15年8月6日

              ごみのデータについて清掃事業担当職員と環対協による検討および閉鎖に向けた

取り組みの議論

              専門家との話し合いを提案

7 平成15年9月24日

              梶山正三氏、関口鉄夫氏を迎え、環対協、清掃事業担当職員との会合

8 平成15年11月15日

              梶山正三氏、関口鉄夫氏、環対協、清掃事業担当職員との検討会

9 平成16年1月9日

              梶山正三氏、関口鉄夫氏、環対協、住民で表層調査

10 平成16年2月5日

              環対協役員会に環境部清掃事業担当職員が出席し今後の進め方につき検討

11 平成16年3月22日

              環対協役員会に清掃事業担当職員が出席しこれまでの活動報告について検討

12 平成16年4月21日

              16年度環境部清掃工場担当職員との話し合い

13 平成16年5月17日

              16年度調査内容について、環境部清掃工場担当職員との話し合い

14 平成16年5月24日

              小山田周辺在住議員5名との懇談会

15 平成16年8月27日

              小山田周辺在住議員4名との懇談会