市民の市民による市民のための「自治基本条例」をつくろう!

焼きうどん的発想で町田の市民自治をひらく会

                                        http://www.tim.hi-ho.ne.jp/u-net/yakiudonnokai/

市側の検討進む

定例3月議会に、第22号議案として「町田市自治基本条例検討委員会条例」が提案されました。これは、政策審議室を担当課とした「町田市政策法務ワーキングチーム」で検討をすすめてきた条例研究のまとめを受けて設置されるものです。

このワーキングチームは、2003年4月に都立大学法学部の人見剛教授を専門委員として迎え、若手職員を中心とした組織(9名)としてスタートしました。初年度には「町田市の条例・要綱を総合的視点で見直す」などの基礎研究を、2004年度は、先行自治体での条例の比較検討、町田市自治基本条例フレーム検討や条例案構成の検討など、具体的な作業を行ってきました。

そしてこの間、研究論文として2004年3月に「町田市における市条例等に根拠を持たない事務事業に関する調査」を、同年6月には「町田市の例規・組織・計画の歴史的変遷に関する研究」が、小冊子にまとめられました。今年4月には、後半の研究結果が同様な冊子としてまとめられることになっています。

情報提供の不十分さ

しかし、この小冊子は議員に配布されただけで、この間の検討内容などの情報が広く一般に公表されてこなかったことは残念です。当会主催のシンポジウムで、担当職員による状況報告をしていただきましたが、せめて「広報まちだ」やホームページでの情報提供があれば、もう少し市民の関心も高めることができたのではないでしょうか。検討を進めてきた職員の努力と、「町田らしさを活かしたい」という熱意が理解できるからこそ、その経験を市民と共有すべきではなかったかと思うからです。

市民の取り組みは

さて、当会では「市民による市民のための自治基本条例」をつくろうと、昨年11月より連続講座を開催し、市民自治基本条例の条文づくりに向けた取り組みを行っています。「お役所の仕事発見ツアー」や「議会制度を知るツアー」など、現場に出向いて当事者から話を聴くというスタイルは、2003年11月に行った「町田の論点バスツアー」由来のもので、説明をいただいた担当者からも、こんな風に自分たちの仕事について市民に話をしたのは初めてだと言われました。こういうツアーは、もっと開催されるべきです。

ツアー以外の講座も、単に講師の話を拝聴するというスタイルではなく、参加者が自分の考えを発表しながら進めるワークショップ方式を取入れ、必ず参加者に発言の機会を与えるようにしています。

ただ、我々の広報の手法が旧来のものであることや、「市民自治」という概念がまだまだ市民権を得ていないことから、参加者は少数に止まっています。やはり、市民側に必然性や話題性があるテーマ以外は、行政が呼びかけ参加者を募るという他の先進自治体の様には集客力がないのが実情です。このままでは、市の検討委員会での議論も市民の関心を呼ぶことなく、粛々と条例が制定されていくということにもなりかねません。

市民は自治の主体者

いうまでもなく、市民は自治の主体者であり主人公です。しかし、行政や議会に市の運営については一任し、不平不満はぶつけてみるものの、いわば傍観者的な立場を取ってきたのが大多数の市民の傾向でした。一方、市民からの信任を受けた議会や行政は、白紙委任ではなのにも関わらず、目の前の行政課題の解決を優先させるが余り、市民の声に真摯に耳を傾け、その意思を反映させていくという「基軸」からやや外れてしまう面も否めないというのが実状ではないでしょうか。

気がついてみれば、市民はいつも蚊帳の外に置かれ、主体者とは名ばかりの存在ということにもなりかねません。現役を退いてもまだまだ活力も知力も十分な市民はたくさんいますが、地域の中でその力を発揮する場がないのが現実です。その上、地域は相変わらず地縁組織としての町内会・自治会の慣習に縛られ、新しい住民が入り込む余地もありません。旧来の組織形態に依拠するのではなく、地域を構成する住民や、活動する市民団体、また大学などが、共に地域の主体者という立場から、新しいコミュニティーとしての地域の自治を育てていくことが必要です。地域が元気になれば街も元気になります。そのためには、市民自身の意識改革と行動が不可欠であることは言うまでもありません。

過程を共有したい

 地方自治法が改正され、自治体の自己決定が問われる時代となりました。それゆえに各自治体では、自治体運営の基本理念と新しい自治のしくみを盛り込んだ「自治基本条例」の策定を市民と共にすすめてきました。

 市民だけでつくるほうが、行政がつくるよりも優れているなどと言うつもりは毛頭ありません。政策法務に長けた職員は多く、他に引けをとらないものを作成する能力も気力も十分だとは思います。しかし、市民や議会そして行政の権利と責務を規定するものだからこそ、自治体運営のパートナーとして、市民と職員がその過程を共有できたらと考えるのです。形式だけの市民参加だけは、とって欲しくないと思っています。

検討委員会への提言

 私たちは条文づくりワークショップを通して、条文に盛り込むべき事項や、条文そのものを「町田市自治基本条例検討委員会」に提言していきたいと思います。団体代表枠がどんなものか、未だ詳細は明らかにされていませんが、委員となる方をサポートする体制も作っていければと考えています。 議会に提案された条例案によれば、検討委員会の委員構成は学識経験者3人以内、団体等の代表5名以内の8人以内とする、としています。ここでの議論をどれだけ市民の議論として広げていけるか、大和市のようなPI(パブリック・インボルブメント)手法を活用した、幅広い市民の考えを反映させていく取り組みを行っていけるか、行政も市民も、その力量がいま問われています。                                         文責:卯月慎一