情報センター通信 第24号 2004.3.22発行

これでいいのか?「見直し」=切り下げ、切り捨て?

                               小西 みさえ

 

 2004.2.1.号の町田市の広報「まちだ」に「福祉・健康・子ども事業の見直しを予定しています」との見出しで、4月からの一部制度の見直しを予定しているとのことで、一覧表が載っていた。

 具体的な数値等がないので、問い合わせないと分からないが・・・。このての見直しは、結局は切り下げ・切り捨てでしかない。福祉的な施策は、「既得権」ではないことは確かである。所謂「見直し」が必要なことは当然のことなのだが・・・。その際、最も大切なことは、何事においてもだが、根本的な議論が尽くされるべきなのだと思う。 

「福祉のまちだ!」=安心して暮らせる町!が消えてゆく!! 

 国においても、昨年の暮れに突然「小規模通所授産施設の補助金を50万円削減する」と発表した。ここにあるのは、現実を支えている小さな福祉活動を益々弱体化させることになるとゆうことである。小さいが、全国には6000カ所にも及ぶ作業所がある。したがって、この小さな作業所を利用している障がい者の数は、割合としてはとても大きいとゆうことになる。本来、国が積極的な施策を実施してやるべきものを、多くの献身的な地域の人達に支えられ、漸く一昨年法制度が出来た矢先のであるのに・・・。根本的なことは、既存の法内施設との「格差」をどの様にして無くしてゆくのかである。そして、誰でもが、公平で・平等のサービスをうけられるようにしてゆくのかを議論しなければならないはずである。それを、議論もなしに一方的に決めてしまうのは酷すぎる。

 昨年、身体・知的の障がい者に対して、措置費とゆうものから、支援費制度への移行がなされた。かけ声は、「選択の保障」・「利用者主体の福祉」とゆう立派なものであった。しかし、折角、法制化された「小規模授産施設」がその支援費制度の対象施設とならなかったため、地域で利用する障がい者やその家族にとって負担は大きく、矛盾は益々拡大している。したがって、選択できるはずの「数」はなく、「利用者主体」にはほど遠い。

 東京都においても、昨年の秋「無認可法外施設の補助率削減案」を提案してきた。これは、いわゆる小規模作業所への東京都と区市町村との公費負担の割合を、現行の東京都=2/3、区市町村=1/3から、都=1/2、区市町村=1/2にするとゆうものである。そうなると、区市町村の負担が大きくなり、とどのつまり、区市町村は地域住民の切実な要請に応えられなくなる。結果として地域福祉は行き詰まってしまう。これには、区市町村もたまらず反論し、今のところ引っ込めた状態になっている。ここでの問題も、前記したように、小さな作業所の事業発展への具体的方策を指し示すこと。そうすることにより、昨年より開始された「支援費制度」の対象となる施設への移行を促進させ、施設間格差を是正し、地域福祉活動の基盤整備をすることである。

 さて町田市だが、別表にある「見直し」はほんの一部でしかない。「福祉のまちだ」であった町田市もここ数年、補助金カットを一法的に押し進めている。たとえば、精神障がい者の通所授産施設への町田市単独補助金1600万円を5年間で半分の800万円にするという「運営要綱」を突然作成してしまった。

 施設で一人の職員が継続して働くためには、いわゆる、定期昇給なるものが低く見積もっても7〜8万円は必要である。7人の職員が最低必要と決められている施設である以上、これに要する経費は年間50万円以上が必要である。一方で160万円が削られ、一方で50万円が必要となると、210万円をどこからか調達しなければならない。やるとしたら、利用者から、負担金として徴収するか?職員が昇級を諦めるか?そのどちらかしかない。自明のことである。精々、バザーなどして(職員のより一層の加重労働のにより)幾らかの補填をすることしかない。

 そんな町田市でも、ご承知の方もおられると思うが、立派な施設も幾つか建てられているし、また、何処かでは、建築予定の立て札がたてられている。しかも、町田市単独の補助金を、ある見方からすれば、かなりの額を投じてである。市民ニーズに応えた結果なのであろうとは思うが、はたして平等に、公平に応えているのだろうか?

 他市町村からの見学者が町田を訪ねて、充実した施設に感動して「さすが、福祉の町田」との感想を述べる人が多いと聞く。市の見学コースには絶対に入れないだろう小さな貧しい施設が重い障がいを持った人たちの支援を身を削りながら行っているのを見て見ないふりをしていないだろうか?

 町田市には多くの無認可の施設がある。それは、町田市が福祉に力を入れ、安心して生活できる地域づくりを進めて来たことに、地域住民が答えてきた結果である。そして、より充実した地域生活の実現を行政と共に築き上げようとしてきたからである。ところが、突然に「要綱」なるものを突きつけてきたり、「検討委員会」なるもの創りながらも、話し合いはなく、一方的に終了したようにしてしまっている。公平で・平等なことが最も大切にされねばならない福祉。その福祉の中で、不公平感・不平等感が広がっている。

 もう遅い!とか今からでも遅くない!とか言ってはいられない。そこでは、日々生活が営まれているのだから。公明・正大な町田市の「自治」に期待し、また、一人一人が参加できる自治を築きあげねばならない。

              

 今回の見直し「案」に対して、町田市障がい児者を守る会=すみれ会では、早速、町田市議会の3月議会に請願を提出したようです。行政の真摯な対応を期待し、願います。