情報センター通信第13号
2001年5月31日発行


町田市環境基本計画専門部会委員としての感想
田中 誠


環境基本条例案が議会に提出され、"広報まちだ"で町田市環境基本計画の専門部会の市民委員を公募していたので、「これからの環境課題」の論文を提出して参加することにしました。
参加を希望したきっかけは、
@ 環境施策に関するマスタープランとなる環境基本計画の策定作業に着手するための原案を、市民と市職員が一緒になって作成するというふれこみであったこと。
A 4つの専門部会の中に「廃棄物」のテーマがあったからです。
11月から3月までの短期間の任期でしたので、当然のことながら、2001年1月に町田市廃棄物減量等推進審議会(以下、「推進審議会」とよぶ)が、寺田市長に提出した答申書「今後のごみ処理のあり方について」の基本理念と基本方針が活かされて、策定作業に入るものだと思っていました。
希望したとおりに第3部会「ごみ対策検討部会」に配属されたので、「推進審議会」の委員として活躍した経験を活かして活動できると、張り切って検討部会に参加したものの、次のような理由により愕然とすると共に、不快感のみが残った委員会でした。
1) 市民6名、市職員7名の構成でありながら、部会長と副部会長が市職員で占められて、行政主導型による検討会議であること(異論を唱えたけれども、認められなかった)。
2) 「推進審議会」の答申書が冒頭に配布され、部会長から簡単に説明されたものの、この基本理念・基本方針をベースにした会議の進行ではなかったこと。
3) 「ごみ対策検討部会」の課題であるはずの、ごみ政策の肝心な"ごみの発生抑制"の議論が、第4部会「循環型社会検討部会」の課題であると明言され、始めは議論の中心でなかったこと。→→市民委員の猛反発によって、後程、第3部会でも論議された。
4) この検討部会は、環境基本条例の一環として12月から3月までの8回の会議において、後日開かれる環境審議会、ならびに環境行動指針検討委員会に提言できるように、「推進審議会」の概念を活かした環境基本構想を検討するのが、この検討部会の役割であるべきだと考えます。しかし、ごみ処理施策の細部にわたる検討の会議であったこと。むしろ、様式1号にある"町田市のごみ問題の現状と動向"を徹底的に分析して、基本構想を練るべきでした。これでは、環境基本計画の策定作業の手順フローに、たいへんな誤りがあるとしか言いようがない。
5) 市民の立場からのごみ処理の概念が意見集約されるべきなのが、懸念されていたように、意見を具申するに留まり、行政主体によるまとめにさせられてしまったこと。

このように、部会の進行状況が極めて異常でしたが、市民として精一杯の努力はしたつもりです。しかし、多くの傍聴者にとって、基本計画にふさわしくない議論であったと大半の人々が不満をぶちまけていました。
議論の過程において、見識がない市民委員や職員達が、議論になっている「廃プラスチック中間処理施設」のことや、ごみ処理施設・処分場における住民対策は安全性が何よりも重要であると述べた私の意見を潰しにかかったことに対して、強い怒りを感じています。
このように、安全性を重視した市民感覚で議論をさせてもらえなかったことは誠に遺憾です。余りにも不愉快なことが多く、委員を何度か辞退しようかと思いましたが、負け犬に終わりたくないという思いと、参加した役割を果たさなければと思い直し、最後の検討部会まで参加しました。しかし、実に後味悪い挫折感のみが残ったというのが主な感想です。
市民参加とは名ばかりであったことでもあり、市民参加のあり方で行政に多いに反省してもらいたいと思い、この会議に限っての市民参加のあり方を考えてみました。
1) 形ばかりの市民参加ではなく、真の市民参画でなければなりません。この環境基本計画を策定する過程で、市民が参加して計画案の立案・企画の段階から市民感覚を取り入れておかなければ、結果として行政主導型の計画案になってしまいます。
2) 町田市民のための環境施策として、何を重点項目として検討するべきかを、全体会議のスケジュールを練る段階で、先ず冒頭に市民と共に考えるべきです。
3) 環境問題は、他の条例や検討委員会における策定・計画などとは異なり、最近の環境省が市民の環境意識を考慮して施策を練っているように、町田市でも市民の幅広い環境意識を取り入れた計画を考えるべきなのです。即ち、冒頭に総合環境計画の策定委員会を設定する段階で、多数の公募委員を採用して、会議全体のスケジュールに参加しなければ、所詮、行政主導型の施策に終わってしまいます。
4) 会議の進行のあり方として、当然のことながら、市民感情を取り入れた共通のコンセンサスをもって議論すべきです。環境問題の審議では市民が主役でなければなりません。特に、ごみ問題は、市民が排出している廃棄物に対して、発生・排出抑制や、ごみ処理対策などの検討は市民自ら考えるべき課題であり、必然的に市民的な発想からの基本理念を打ち出さなければ、市民への行動指針とはなりません。このように、行政主導型では市民を行動させるインパクトにならないことに行政は気づくべきです。