情報センター通信第13号
2001年5月31日発行


環境基本計画「自然環境部会」に参加して

桜井 朋広


町田市の環境保全のための計画作りとして「環境基本計画」の原案作成に多数の公募があると聞いて、正直耳を疑った。これまでこういった際、委員の大半は議員または市から委嘱された委員で占められ、1〜2名の市民公募があれば良い方であったからだ。そこで、市の北部丘陵など環境の大規模な改変を止めるためには、施策レベルでの計画段階からの市民の声が必要、と思っていた私は参加を決意した。
参加した第1(自然環境)部会では、比較的自由に意見が言える雰囲気であった。他の部会では、発言内容によっては圧力を受けることもあったと聞く中、各委員が立場に囚われず発言できたことは(当然のことではあるが)それまでの委員会にはない雰囲気と言えた。さらに、部会内で議論がまとまらなかった部分については、別紙意見として提示が認められたのも異例と言えた。これにより、従来なら無視されていたはずの「開発に伴い、市民を交えた事前協議の場作りをする」といった案も、別紙報告として掲載されることになった。
しかし、逆に見ると、議論の決定については行政主導の感が強かったように思える。例えば、「町田市としての環境アセスメント条例が必要ではないか」との議論では、他の部会の問題として打ち切られてしまったが、これは自然環境にこそ関わる問題だったと思える。
さらに、上に挙げた「開発に伴う協議の場」については、今回正式には計画には入れられなかったが、実はこの案は2年前に策定された「緑の基本計画」の中に既に出されていたものだった。こうした流れが今回の環境基本計画作りに活かされなかったことは、残念でならない。
こうした問題の根本には、部会長と副部会長の両方が行政側から出されていたこと、そして、多様な部局から出された環境に関する施策を、行政側も充分理解していなかったことなどがあると思える。
ともあれ、こうした多数の市民公募による基本計画の原案作りが実現したことは、ひとつの進歩といって良いと思う。願わくば、こうした試みが今回限りのイベントに終らぬよう、なおかつ真の共働の形として、市民と行政とが対等な形で意見を出し、結論を創っていけるようなそうした組識作りに今回の反省を活かしていってほしい。