センター通信18号
2002.8.31発行


チョット待って!「住民基本台帳ネットワークシステム」
文責:編集部

住民基本台帳法の改正(1999年8月)を受けて、今年8月5日から「住民基本台帳ネットワークシステム(以下、住基ネット)」が動き出しました。利便性が語られる一方で、個人情報保護上、重大な問題点があるとの指摘もされています。町田市でこの問題に取り組んでいる『情報公開とプライバシーを考える町田市民の会』にお話をうかがいました。

■「住基ネット」の中味とは
全ての国民に11桁の番号(住民コード)をつけ、住民票の4情報(氏名・性別・生年月日・住所)と、これらの変更履歴を、民間団体である『財団法人地方自治情報センター』に集め、全国の市町村をコンピュータネットワークでつなぐシステムです。

■利便性が強調されていますが
全国どこででも住民票がとれるといいますが、どれ程の需要があるのか疑問です。しかも、広域交付の住民票は本籍の記載が省略されるため、運転免許証やパスポートの取得には使えません。転入転出に関わる手続きの簡略化という点も、現行制度でも十分に対応できます。

■このシステムにかかるお金は
当初、総務省はネットワーク構築に400億円、運用費に毎年200億円がかかると説明していました。しかし、全国民に住民票コード番号を知らせる通知の切手代(100億円)も、ひとりひとりの住民が買わされる「住基カード」の代金(1700〜1800億円)も自治体が独自に「住基カード」を活用する場合の費用も含まれていません。これだけの経費をかけてまで実施するメリットがどこにあるのか疑問です。自治体の財政負担も大問題です。

■セキュリティー面は万全なのですか
片山大臣は「セキュリティーは万全だ、マスコミが理由なく不安感を煽っている」と豪語していますが、故障のない機械など存在した試しはなく、コンピュータ技術・ネットワーク技術の脆弱性は、既にハッカーが証明しています。「個人情報保護法案の成立が前提」という当時の小渕首相の国会答弁は改正法の附則にもなっています。前提条件が整わない以上、導入すべきではありません。
■なぜ導入を急ぐのでしょう
政府は番号を「限られた事務にしか使わないから心配ない」と繰り返してきました。しかし言葉とは裏腹に、なし崩し的に利用を広げようとしているのが実態です。このシステムの導入によって、特定個人の情報をコンピュータのネットワークでいつでも引き出せるという個人情報の統一的管理が可能となります。また、ICチップつきの住民基本台帳カード(その容量は新聞紙1枚分の情報集積が可能)を持たせることで、個人の行動に関する情報も管理可能となるでしょう。これが導入のホンネです。

■全国の自治体での対応は
これまで、東京都杉並区、国分寺市、横浜市など、対応は様々ですが、事実上の「住基ネットの離脱」を表明しています。また、日本弁護士連合会が全国3241の自治体に対して行なったアンケート(回収率46%)では、「稼動を延期すべきでない」は20%で「延期が望ましい」「どちらともいえない」という懐疑派は計74%に達しています。
町田市の市議会でも稼動延期を求める意見書を6月議会で採択し国に提出しました。

■反対の意思はまだ取れるのでしょうか
コード通知を自治体へ返す。受取拒否をする。自治体の個人情報保護条例に基づいて、中止、訂正、削除の申立てをするなど、まだまだやれることはあります。自分の意志を自治体や国に伝えましょう。



●詳しくは、下記をご参照下さい。
住基ネットホットライン 03-5368-8062
「国民共通番号制に反対する会」のホームページ http://kokuminbango.hantai.jp/