曲目紹介


■ 間宮芳生 : 行進曲「カタロニアの栄光」

この曲は1990年度全日本吹奏楽コンクールの課題曲として、全日本吹奏楽連盟の委嘱により作曲された。
曲はスペインの建築家アントニオ・ガウディ(1852-1926)の作品を紹介したドキュメンタリーの音楽をもとに作られており、作曲者はこの曲について次のように述べている。
「生涯を地上に人間の夢の国を築くことに捧げたスペイン・カタロニア生まれの建築の鬼才ガウディに捧げられたマーチ。と言うより、ガウディが造った建物、庭園、教会などを写した映画につけた音楽のある主題断片がもとにあってこのマーチができた。」
間宮芳生(まみや・みちお)は1929年北海道生まれ。東京芸術大学、桐朋学園大学の講師を務め、作曲賞も多数受賞している。
■ セザール・フランク : 天使の糧
セザール・フランク(1822-1890)はベルギー生まれで、パリで作曲家・オルガニストとして活躍した。晩年の傑作ヴァイオリン・ソナタイ長調は、ベートーヴェンやブラームスのそれと並んで不可欠なレパートリーとして頻繁に演奏されている。
「天使の糧(Panis angelicus パニス・アンジェリクス)」とは聖体を賛美する祈りで、カトリックの聖体拝領の儀式などに歌われる。
原曲ではテノールのソロで歌われるこの曲を、フランクは1860年に作曲されていた荘厳ミサ曲を1872年に改定した時に追加した。今回は、アメリカの作曲家アルフレッド・リード(1921- )の編曲によるものを演奏する。
 [歌詞]
 天使の糧は人々の糧になり、天の糧は形あるものを終わらせられる。
 おお、なんという驚き、主よ食するのは貧しき、貧しき虐げられし僕(しもべ)。
■ ジョルジュ・ビゼー : 組曲「アルルの女」
この曲は、フランスの作曲家ジョルジュ・ビゼー(1838-1875)によって、フランス自然主義の文豪アルフォンス・ドーテ(1840-1897)の戯曲「アルルの女」の上演に際して劇の付随音楽として作曲された。
南フランス、プロヴァンス地方のある農村の青年フレデリが浮気なアルルの女に恋をした悲劇を描いている。余談だが、劇中ではアルルの女については登場人物の口から語られるだけで役としては存在しないのが興味深い。
戯曲は1872年にパリのヴォードヴィル座で初演されたが失敗に終わった。しかし自分の音楽に自信をもっていたビゼーは、初演後まもなく自ら4曲を選んでオーケストラの演奏会用の組曲に編曲して成功を収めた。これが「第1組曲」で、「前奏曲」「メヌエット」「アダージェット」「鐘(カリヨン)」の4曲からなっている。
また、ビゼーが世を去ってから4年後にビゼーの友人エルネスト・ギロー(1837-1892)によって「第2組曲」がまとめられた。これも非常に好評で、皮肉にも現在では「第1組曲」より演奏回数が多くなっている。
第2組曲は、「パストラール」「間奏曲」「メヌエット」「ファランドール」の4曲からなっているが、このうちフルートの名旋律でよく知られている「メヌエット」は、歌劇「美しきパースの娘」(1866)からギローにより転用されている。


前に戻る