MIDIの基礎知識 第4回



最後に、システムエクスクルーシブメッセージについての内容です。エフェクトの設定は、センドレベルはチャンネルメッセージで送信することが多いのですが、それ以外の細かい設定はエクスクルーシブメッセージを用います。


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【システムメッセージ】

システムメッセージには、エクスクルーシブメッセージ、コモンメッセージ、リアルタイムメッセージの3つに分けられる。ここでは、特に重要なエクスクルーシブメッセージについて解説する。

・エクスクルーシブメッセージ
メーカー固有のデータを送るために用意されたメッセージ。このエクスクルーシブメッセージを使うことにより、その音源特有の機能を利用できる。エフェクトの種類を決めたり、そのエフェクトに用意されているパラメータの値を設定したりするときに用いられる。

エクスクルーシブメッセージは、F0Hから始まりF7Hで終わる。F0Hの次にメーカーIDの情報があり、データの長さは決まっていない。

中には、メーカー固有でないエクスクルーシブメッセージも存在する。例えばGMシステムオンのような、GM音源に共通のメッセージである。これは、ユニバーサルエクスクルーシブメッセージと呼ばれる。

ユニバーサルエクスクルーシブメッセージには、ユニバーサルノンリアルタイムメッセージと、ユニバーサルリアルタイムメッセージがある。前者は、前述したようにGMシステムオンがその代表で、後者はマスターボリュームの制御で使われる。なお、マスターボリュームの設定には、GM音源で共通のもの以外に、その機種固有のものもあることが多いので、GMデータを作成する際には注意を要する。

【エフェクト】

DTM用の音源モジュールは、エフェクタを内蔵しているものがほとんどである。エフェクトの種類には、すべてのパートに対して効果をかけるシステムエフェクトと、パートごとに単独で使用するインサーションエフェクトがある(ただし、メーカーによって考え方の相違が多少ある)。一般に、リバーブとコーラスはシステムエフェクトであり、全体のかかり具合とパートごとのかかり具合の両方を調節できる。

・リバーブ
残響感を作るためのエフェクト。音に奥行きや広がりを持たせることができる。主に、ホールでの響きをシミュレートする際に用いる。通常、CC#91で、パートごとのセンドレベルを指定する。

・コーラス
複数の音が同時に鳴っているように音を変化させ、音に厚みを与える効果。通常、CC#93で、パートごとのセンドレベルを指定する。

・その他のエフェクト
SC-88シリーズやXG音源などには、さらに別のエフェクトが用意されていて、多くの場合、CC#94でセンドレベルを指定する。

SC-88シリーズには音を遅らせて発音させるディレイがあり、XG音源にはバリエーションエフェクトが用意されている(ディレイもこの中に含まれている)。バリエーションエフェクトは、システムエフェクトとしてもインサーションエフェクトとしても使える。なお、CC#94でのセンドレベルの指定は、システムエフェクトとして用いたときのみ有効である。

インサーションエフェクトは、音の性質を大きく変えたいときに有効である。どのようなエフェクトの種類があるかは音源によってさまざまであり、同時に使える数やパート数に制限があるのが普通である。たとえば、MU90は3系統(VAR=INS,INS1,INS2)あり、同じパートに重ねて使うこともできるが、それぞれ1パートしか指定できないため、最大で3パートにしか使えない。SC-88Proは複数のパートを指定できるが、1系統のみである。ただし、複数のエフェクトが直列や並列に接続されたものもある。

エフェクトの種類を決めたり、かかり具合を設定したりするのはメーカーや機種固有の命令、つまりエクスクルーシブメッセージで行われる。それらを用いたMIDIデータは、対象としている音源でないと、きちんと演奏させることはできない。他メーカーのエクスクルーシブを認識する音源もあるが、完全に演奏が再現できるわけではない。


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