MIDIの基礎知識 第2回



MIDIデータの入力方式の紹介と、シーケンスソフトで使われる用語の解説です。


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【MIDIデータの入力方式】

入力方式には大きく分けて2種類あり、音やその他の情報をひとつひとつ入力していくステップ入力と、楽器を演奏して入力するリアルタイム入力がある。譜面入力や数値入力は、ステップ入力に含まれる。

・ステップ入力
コンピュータのキーボードやマウス、あるいはMIDIキーボードを使って(この場合はリアルタイムではなく)音を入力していく方式。時間の流れにとらわれずに入力ができる。

《譜面入力、楽譜入力、音符入力》
特に決まった言葉があるわけではないが、五線譜に音符を貼りつけて入力していく方式を指す。楽譜どおりに音符を並べていくだけという単純さが利点だが、凝った表現をするには不向きである。

《数値入力》
すべての情報を数値で表し、どのタイミングでどんな情報を送るかを厳密に指定して入力する方式。もともとMIDIでは音を数値化した情報を扱っているため、その点では最も適した入力方式といえる。

・リアルタイム入力
MIDI信号を送信できる鍵盤やギターなどを使い、実際に演奏した情報をそのままデータとして取り込む方式。人間味のある演奏をさせることができるのが大きな利点だが、人間では演奏できないフレーズを入力することができない。また当然のことながら、楽器を演奏できなければ入力すらできない。なかなか思いどおりのデータにならなかったり、余分な情報が大量に加わったりするので、あとで編集作業を必要とすることが多い。

最近では、複数の入力方式を採用しているソフトウェアが多い。ファイル形式が同じならば、同じデータを異なるソフトウェアで編集することも可能である。たとえば、リアルタイム入力したデータを数値入力で修正を加えることは、ごく一般的に行われている。

数値入力でも、ただ音符(音の高さと長さ)を入力するだけなら初心者でも簡単に行える。むしろ、すべての情報を的確にコントロールできる点で、譜面入力よりも理解しやすい。数値をグラフィカルな表示に置き換えるソフトウェアでは、数値を視覚的に理解できるようになっている。

MIDIデータを入力する際、最初の小節は音源のセットアップに使用するのだが、それを自動で(勝手に)生成するソフトは注意すべきである。なぜなら、余分なデータを大量に、しかも一気に送信するようなデータを生成するかもしれないからである。


【シーケンスソフトで用いられるパラメータ】

数値入力方式のシーケンスソフトで、ひとつの音に対して設定できるパラメータには以下のものがある。

・ノートナンバー/ノートネーム(NOTE NUMBER/NOTE NAME)
MIDIでは、音の高さを数値で表す。数値の代わりに「C4」のように、アルファベット(CDEFGABが「ド」〜「シ」に対応する)と数字(オクターブ)で表すソフトウェアもある。ただし、オクターブの数字と音の高さの関係は、メーカーによって違いがある。

リズムのパートは音の高さを一定で扱うため、各ノートナンバーに別々の楽器が割り当てられている。

・ステップタイム(STEP TIME)
次のステップに行くまでの時間を表し、タイムベースが48ならば、4分音符のステップタイムは48である。ステップタイムが0であれば、間を置かずに次のステップに移るため、和音の表現などを行える。

ただし、MIDIの情報はシリアル転送のため、大量の情報を一度に扱うとズレが生じることがある。また、音源が正常にデータを処理できないこともある。これらを考慮して、なるべく同じタイミングでデータを送らないように工夫する必要がある。

・ゲートタイム(GATE TIME)
ノートオンの情報が送られてから、ノートオフの情報が送られるまでの時間のことで、デュレーションとも呼ばれる。スタッカートや、前の音を発音させながら次の音を発音させる(タイも含む)ときに、このパラメータを使って表現する。

通常、リズムのパートでは、ゲートタイムの情報は意味を持たない。ノーマルパートと同様に発音時間を制御するには、音源の設定を変更する必要がある。

・ベロシティ(VELOCITY)
鍵盤を弾く速さ(強さ)のこと。この数値が大きいほど大きな音が出ると考えて差し支えない。しかし、どれくらいの大きさの音が出るかは定義されていない。ベロシティの値によって音色の変化があったり(大きな音ほど明るくなる、など)、値を大きくしたときの出力レベルの上がり方を変更できる音源もある。

【音の大きさを決める要素】

音量を決めるパラメータにはさまざまなものがある。ここでいう初期値は、GS音源とXG音源で確認したものであり、音源にリセットをかけた直後の状態を表す。

・マスターボリューム(MASTER VOLUME)
全パートの音量を制御するもの。フェードイン、フェードアウトに用いられることが多い。エクスクルーシブメッセージで制御する。初期値は127。

・メインボリューム(MAIN VOLUME)
各パートの音量を制御するもの。主に演奏前に設定し、音量のバランスを整えるために使う。ボリュームといえば、たいていはこのメインボリュームを指す。チャンネルメッセージのコントロールチェンジで制御する。初期値は100。

・エクスプレッション(EXPRESSION)
機能的にはメインボリュームとほぼ同じだが、発音中の音量を連続的に変化させるときにはこちらがよく使われる。コントロールチェンジで制御する。初期値は127。

・ベロシティ(VELOCITY)
個々の音に対する音の強さ。ベロシティは、ノートオンの情報とともに送られる。初期値はシーケンスソフトに依存する。


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