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サチはこれまで何度繰り返したか分からない、ミナトとの云い争いを反芻した。いや云い争いのレベルにまで
は達していない、唯の嘆願だ。サチはサクモが里を去ってから、幾度となくカカシを引き取らせてくれとミナトに
願い出た。だがその願いはにべもなく撥ねつけられ続け今に至る。__一体何がいけない。カカシが同居す
るとなれば、狭い家がますます狭くなることは事実だがそんなことは問題ではない。自分には自信がある。我
が子と同様にカカシを愛し、同様に成人まで育て上げる自信が。それに傍に置ければ体調管理にも常に目を
配ってやれる。温かく栄養のある食事、風呂、清潔な寝具・衣類。子供一人の生活では継続して用意するの
も難しいそれらを、『家族のぬくもり』と一緒に与えてやることも出来る。__それなのに、ミナトは。
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