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火兒嶋家との一件からほぼ十日後。件の拉致監禁場所より事件の被疑者と共に里に帰還して後、アカデミ
ー教師うみのイルカと『写輪眼』はたけカカシ両名の身辺は多忙を極めた。木の葉の看板を背負う里一の忍
が抜け忍まがいの挙動に出たこともさることながら(実質抜けたとも云えるが)、帰還した折の手土産が大き
過ぎた。火の国大名家一族に名を連ねる火兒嶋家の嫡男が、昨今頻発していた遊女行方不明事件の首謀
者だったという事実。しかもこれまでかどわかした商売女たちが全て凌辱の果てに惨殺されていたことの証
は、忍四名の報告と上忍猿飛アスマの忍鳥『唄い鳥』の膨大な録音記録から揺るぎないものとなった。被疑
者被害者が如何なる階級にあろうと、誘拐殺人・殺人未遂は大罪である。火影の断固たる指示の元、火兒
嶋武明とその妹は牢に繋がれ裁きを待つ身となった。体面を重んじる大名家との間に激しい応酬があったこ
とは想像に難くないが火影は一切の横槍を退けている、との噂であったが__しかし。
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