|
うぅと唸って撃沈するカカシを、アスマはさも愉快そうに見下ろした。カカシだって実は諸々の欲求を持ってい
る。正直言えばイルカとあんなこともこんなこともしたい。だがアスマがあげつらう様に昔の自分がしてきたこと
を思えば、それは不可能だ。そんなことをしてイルカを過去の女達と同様な、性欲処理の道具に貶めたくなか
った。だが男としての生理的欲求は厳然と存在するわけで、カカシの中では常に本音と建て前、天使と悪魔
がアフラマズダとアーリマンの如く永遠の戦いを繰り広げている。それなのに、今日のイルカはいつにもまし
て__その身体からは何故か薔薇の香りが立ち上り、かぐわしい馨香はいたくカカシの煩悩中枢を刺激し
た。結果カカシはいくらもイルカの傍にいられず、部屋まで送り届けると逃げ出すように踵を返した。
|