[廃油]...日経朝刊−92年7月22日より

 ガソリンスタンドや自動車整備工場から出る使用済みオイルの回収が窮地に陥っている。千葉県八千代市の大手廃油回収・再生業者、東亜オイル興業所。都内のガソリンスタンドなどで集めた廃油を工場で水や砂など不純物を取り除いた後、燃料としてアルミ二次合金メーカーなどに販売している。

 国内景気の後退の影響を受けているのは同社も例外ではない。工場の燃料需要が低迷しているため、再生燃料の販売価格は1g20円を割り込み、仕入れ、再生、運搬などにかかる費用を5円以上下回っている。過去の不況期にも同様のピンチはあったが「現在ほど再生重油の価格低迷が長引いたことはなく、人件費や物流費も今よりずっと低かった。もはや自助努力も限界」と長谷聖一郎取締役は窮状を訴える。

 回収代金を取ろうという業者も現れたが、有料で回収する業務には厚生省が定める廃棄物処理法による資格が必要。しかし、資格取得には資本金など一定の条件を満たさねばならず、全国で約150社ある業者のほとんどが従業員10人以下という業界からは「(資格取得は)一朝一夕にはいかない」(静岡県の大手業者)という声も出ている。全国に約6万あるガソリンスタンドなどから出る廃油は年間130万`gとも言われる。このうち、40%以上はこれら再生業者の手で回収・再生されている。スタンド側も「回収業者がいなくなった場合の問題は深刻」(埼玉県のスタンド)と困惑の色を隠せない。130万`gの廃油の行き場がなくなった場合どうなるのか、回収業者の間では行政の支援を求める声が強まっている。(日経朝刊−92年7月22日)

[筆者コメント] A重油価格(硫黄分1.0%、業者間転売価格、95/11/10現在)は1g20円にまで下がってしまった。環境消費税額、1g4.6円を加えると1g24.6円になり再生燃料の死活価格25円にいま一歩まで迫る。


Initially posted October 4, 1998.