はじめに

 以下の記述は91年11月から97年11月にかけて日本経済新聞に掲載された記事からの引用である。いずれも数年前の記事であるが、今日までの間に静脈産業をめぐる状況が基本的に大転換を見せたとは言えないので、あえて、そのまま引用することとした。

 静脈産業の穏やかな内水路を航行するハイテク船とあまりに懸け離れた姿が浮き彫りにされている。軽装備でいきなり大洋に放り出された小型船、容赦なく押し寄せる大海原の高波、天候の好転をひたすら願い待つしかない乗組員。そして、ひとつ、またひとつ沈んでいく舟。景気後退、外国為替相場、国際市況、国際情勢の変動に翻弄され厳しい価格競争におかれている静脈産業の状況、そしてその脆い経営基盤にはこのような比喩を禁じえない。初用材と再生材が競争したら初用材が勝つように仕組まれた土俵で再生材が戦わされている。大量生産、大量消費、大量廃棄の生活を持続することが不可能である以上、このルールは変えなければならない。

 環境消費税の導入によってこのルールを変えることができるように思える。各再生材マーケットに対して環境消費税の導入が及ぼす影響を評価しながら以下の記事に目を通されたい。なお、[筆者コメント]での試算はすべて環境消費税率24%(装置産業が多いので人件比率5%とみて実効税率23%)として計算した。


Initially posted October 4, 1998.