市町村官僚(市町村民からの行政の受任者)の犯罪備忘録

 市町村の財政支出額は非常に大きい。2003年度で49.8兆円にのぼり、都道府県の48.9兆円、国の一般歳出額(=一般会計歳出額 −(国債費 + 地方交付税交付金等 + 産業投資特別会計へ繰入等))の47.6兆円(いずれも2003年度)と同等以上の巨額さである。それだけ、不正のもととなる金額も大きいことになる。以下の名古屋市の地下鉄談合では、いわゆる談合決別宣言後でありながら、この巨額の支出に群がる巧妙な談合手法と、名古屋市当局がこれを立証し切れなかった問題が見られるし、成田市長の汚職では公共工事という公的資本支出でなく清掃工場管理委託費という毎年生じる支出を原資として贈賄資金が捻出された点が目を引く。これらの事例は氷山の一角であり、また、公金横領が行われうる場面の普遍化を示すものとして認識する必要もあるように思う。
 文中の茶色文字があればそれは筆者が書き加えた部分であることは前節の場合と同じであり、やはり原文と区別して読まれたい。



名古屋市編目次

  1. 地下鉄再談合 清水から入札額聞いた 鹿島担当者が供述
    (出典:2007年3月20日朝日新聞朝刊)
  2. 地下鉄談合5人逮捕 名古屋地検 独禁法違反容疑
    (出典:2007年3月01日朝日新聞朝刊)
  3. 地下鉄JV 談合疑われても逃げ道 重複入札、工区差し替え
    (出典:2007年1月26日朝日新聞朝刊)
  4. 名古屋地下鉄「決別」後に再談合 きょうにも公取捜索
    (出典:2007年1月24日朝日新聞朝刊)
  5. 仕切り役に各社「営業」 地下鉄談合 配分、実績考慮
    (出典:2007年1月23日朝日新聞朝刊)
  6. 名古屋市発注 地下鉄談合強制調査へ 公取委「決別」前に合意か
    (出典:2007年1月21日朝日新聞朝刊)

成田市編目次

  1. 「お力で」「任せておけ」 前市長 起訴事実認める
    (出典:2007年02月26日千葉日報ちばとぴ)
  2. 成田市汚職 前市長「現金、一本で」 贈賄側提示に金額返答
    (出典:2006年12月22日朝日新聞朝刊)
  3. 成田市汚職「現市長になって金かかるように 贈賄の業者供述
    (出典:2006年12月05日朝日新聞朝刊)
  4. 成田市長を逮捕 清掃工場管理巡り1千万円収賄容疑
    (出典:2006年12月03日朝日新聞朝刊)
  5. 成田市長を聴取へ 清掃工場契約便宜1000万円収賄の疑い
    (出典:2006年12月02日朝日新聞朝刊)


[地下鉄再談合 清水から入札額聞いた 鹿島担当者が供述]
(出典:2007年3月20日朝日新聞朝刊)

 名古屋市の地下鉄工事談合事件で、06年2月の入札で、大手ゼネコン「鹿島」と「清水建設」が、談合隠しのために落札予定工区を入れ替えたとされる「再談合」の疑いについて、鹿島名古屋支店の業務担当者が、名古屋地検特捜部の調べに対し「入札前に清水建設の業務担当者から清水建設の入札額を聞かされていた」と供述していることが分かった。再談合の仕組みを明かす初めての供述で、入札での激しい競り合いが「演出」だった疑いが強まった。

 特捜部は、05年12月に大手ゼネコン各社が「談合決別」を申し合わせたにもかかわらず、鹿島、清水建設の業務担当者が、再談合で巧妙に競争を装いながら談合を続けた悪質なケースとみて、詰めの捜査を進めている模様だ。

 再談合の仕組みについて供述しているのは鹿島の同支店次長で、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕された浜島哲郎容疑者(57)。
供述によると、浜島容疑者らは05年12月までに談合し、06年2月の市営地下鉄6号線(桜通線)延伸工事の4工区の入札で、鹿島を代表とする共同企業体(JV)が「徳重1」、清水建設を代表とするJVが「徳重2」を落札することなどを取り決めていた。
 しかし、入札前に各工区の落札JVを名指しする談合情報が流れたことから、浜島容疑者と、清水建設名古屋支店元営業部長の河島嘉(61=同容疑で逮捕=が、落札予定工区の入れ替えについて密談。その際、河島容疑者から浜島容疑者に、清水建設の入札額が伝えられたという。

浜島容疑者からの情報をもとに鹿島は、工区入れ替えで落札することになった。「徳重2」の入札で、清水建設より3500万円低い59億6千万円で応札して落札。鹿島と清水建設の入札額の予定価格に対する割合の差は、0.5ポイントで「激戦」が演出されたという。
 これに対し、清水建設の業務担当者は「2工区」とも落札するつもりで入札した」などと、落札予定工区の入れ替えを否認している。

独禁法違反容疑 会社代表告発、見送り 公取委 営業5人きょう告発

 名古屋市発注の地下鉄工事を巡る談合事件で、公正取引委員会は19日、「告発問題協議会」を開き、名古屋地検特捜部に独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕された大林組名古屋支店元顧問の柴田政宏容疑者(70)らゼネコン5社の営業担当者5人を20日に同容疑で追加告発することを決めた。 これを受け、特捜部は、5人と法人としての5社を起訴する。

 談合を知りながら防止措置をとらなかった場合に、会社の代表者の刑事責任を問う同法の「三罰規定」の適用も検討されたが、告発は見送った。本社と支店の間の報告や指示の詳しい経緯について、十分な証拠が得られなかったことなどが理由とみられる。

 公取委はすでに大林組のほか鹿島、清水建設、前田建設工業、奥村組の5社を告発しており、追加告発は各社の担当者個人が対象になる。
 談合を自主的に申告すれば課徴金などの処分が軽くなる制度に基づき、公取委に協力を申し出たハザマと同社担当者は、最終的に告発を免れた。
 公取委の刑事事件の調査は事実上終結し、今後は各社に課徴金などを科すため、行政調査に切り替えるとみられる。

[地下鉄談合5人逮捕 名古屋地検 独禁法違反容疑]
(出典:2007年3月01日朝日新聞朝刊)

 名古屋市の地下鉄工事をめぐる談合事件で、名古屋地検特捜部は28日、談合の仕切り役とされる大林組名古屋支店元顧問の柴田政宏容疑者(70)=別の談合罪で公判中=と、工事を落札した共同企業体(JV)幹事杜の鹿島、清水建設など4社の担当者の計5人を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕した。

 地検による同容疑での逮捕は、大阪地検特捜部が摘発した汚泥・し尿処理施設談合事件に続いて2例目。ゼネコンが対象になるのは初めて。大手各社は05年12月に談合決別を申し合わせたが、実態を伴っていなかったことになり、経営陣や業界の信頼は大きく揺らぐことになりそうだ。

 他に逮捕されたのは、鹿島名古屋支店次長の浜島哲郎(57)▽清水建設名古屋支店元営業部長の河島嘉(61)▽前田建設工業中部支店元副支店長の柴田幸男(59)▽奥村組名古屋支店元次長の後藤邦夫(63)の各容疑者。5人は容疑を大筋で認めている模様だ。

 公正取引委員会は、談合などを自主申告した会社の課徴金を減免する制度の適用を申請した準大手のハザマの告発は見送った。

 調べでは、柴田容疑者らは、名古屋市が昨年2月以降に実施した市営地下鉄6号線(桜通線)延伸工事の入札で、05年12月中旬ごろ、大林組名古屋支店に集まるなどして談合した疑い。

 昨年2月と6月に実施された5工区の入札では鹿島、清水、前田、ハザマ、奥村を幹事社として3社で構成するJVが19億5千万〜62億1千万円で落札。落札率(予定価格に対する落札額の割合)は92〜94%だった。

 このうち昨年2月の4工区の入札では事前に談合情報が寄せられたため、談合を隠す目的で、鹿島と清水建設が、内定していた工区を入れ替えて落札する「再談合」をした疑いも持たれている。浜島、河島両容疑者は「再談合」については否認している。
 今年、入札予定の4工区についても最大規模の工区の落札は大林組に内定していたという。

市の聴取に口裏合わせ

 名古屋市営地下鉄工事をめぐる談合事件で、5工区の入札に参加したゼネコンの担当者が、名古屋地検特捜部などの調べに対し、談合情報に基づいて行われた市の事情聴取の際に談合を否定するようゼネコン同士で「口裏合わせをした」などと供述していることが分かつた。

 同工事をめぐっては05年12月までに、大林組名古屋支店の柴田政宏容疑者(70)を中心に大手、準大手などゼネコン各社が組織的に談合し、06年2月と6月に実施された6号線(桜通線)延伸の計5工区の入札で落札するJVを決めていた疑いが持たれている。

 市は同年2月3日に4工区の入札をする予定だったが、入札前に朝日新聞杜に談合情報が寄せられた。このため延期後の入札前後に、参加各社から事情聴取を行い、談合の有無などについて説明を求めた。6月の1工区でも同様に談合情報があり、事情聴取した。しかし、いずれの担当者も談合を否定。市は「談合は確認できなかった」として、ゼネコンの担当者らに誓約書を提出させたうえで落札JVと契約した。市担当者は「経緯を詳しく聞いたが、説明内容に矛盾点がなかった」としている。

 こうした市への対応について、捜査当局がゼネコン担当者を追及したところ、「JVのメンバーで口裏合わせをした」などと供述したという。
 事情聴取の対象となったゼネコン関係者は朝日新聞の取材に対し、「JVの代表が聴取の前にメンバーに連絡を取り、市に説明する内容を確認し合った」と説明。
 別の関係者も「JV代表が市の聴取に談合を認めていれば、メンバーであるうちも『やった』と答えていた。『わからない』という選択肢はなく、『やってません』と答えた」と話した。

(上図のように、確かに両名の名前が中央建設業審議会委員名簿に記載されていた。不可解である。)
告発の2企業 中建審委員に 国交省が再任

 国土交通省が28日発表した中央建設業審議会の委員人事で、鹿島の梅田貞夫会長と前田建設工業の前田靖治社長が再任されることになった。両氏は、名古屋市の地下鉄談合事件に絡み告発されたゼネコンのトップ。独占禁止法違反容疑を持たれた企業の代表者が、国の委員として入札制度改革を論議することになる。

 中建審は国交相の諮問機関で、建設行政のあり方や入札制度を論議する。梅田氏は日本建設業団体連合会の会長、前田氏は全国建設業協会の会長として再任された。

 告発された企業のトップを再任したことについて国交省は、「業界団体代表として人選した」としている。


[地下鉄JV 談合疑われても逃げ道 重複入札、工区差し替え]
(出典:2007年1月26日朝日新聞朝刊)

 名古屋市発注の地下鉄工事の入札をめぐる談合事件で、受注したゼネコンの共同企業体(JV)は、談合情報が寄せられた後に落札する工区の差し替えができる組み合わせになっていたことが関係者の話でわかった。談合の「仕切り役」とされる大林組名古屋支店元顧問の発案で、落札規模がほぼ同じ複数の工区に同じJVを重複して参加させることで差し替えができるという。

 公正取引委員会や名古屋地検特捜部は、差し替えられたことが判明している大手ゼネコンのJVについても、そうした形で「再談合」が行われたとみており、その経緯などを調べている。

 市交通局が06年に発注した地下鉄6号線(桜通線)延伸工事の5工区のうちの「徳重第1」と「徳重第2」の2工区で、受注した鹿島と清水建設のJVが、談合情報の後に落札する工区を差し替えられたことが公取委と地検特捜部の調べでわかっている。この2JVが、この2工区の入札に重複して参加しており、落札額が60億円前後とほぼ同じ規模だ。

 関係者によると、この2工区と同じ日に入札が実施された「相生山駅」と「鳴子北駅」の2工区でも、前田建設工業とハザマのJVが同様に落札する工区の差し替えができるようにしていたという。この2JVも、重複して2工区の入札に参加しており、落札額も20億円前後で規模が同程度だった。

 朝日新聞のこれまでの取材で、94年6月の同市の地下鉄4号線延長工事の入札に絡み、落札予定のJVが差し替えられたことがわかっている。事前に談合情報があり、当時のゼネコン関係者が「市側の意向で、情報後に落札予定のJVを変更した」と証言、再談合の疑いがあったと指摘した。

 こうした経緯から大林組名古屋支店元顧問の柴田政宏被告(70)=別の談合事件で公判中=は、談合情報があった場合を想定して、受注するJVを同規模の複数の工区の入札に重複して参加させ、差し替えができる組み合わせにしていたとみられる。

 公取委や特捜部は、こうした差し替えがあったケースをつかんでいる模様だ。清水建設と鹿島のJVの落札工区の差し替えは談合を隠すための再談合だったとみて、柴田元顧問の関与があったかどうかについてもさらに調べを進めている。

[名古屋地下鉄 「決別」後に再談合 きょうにも公取捜索]
(出典:2007年1月24日朝日新聞朝刊)

 名古屋市発注の地下鉄工事の入札をめぐる談合事件で、公正取引委員会と名古屋地検特捜部の調べに対し、受注した大手ゼネコンの共同企業体(JV)のメンバーが、談合情報が寄せられた後に落札する工区が差し替えられたことを認める供述をしていることが、関係者の話で分かった。工区の差し替えは大手ゼネコン4社が05年末に「談合との決別」を申し合わせた後に行われたとされる。捜査当局は、決別申し合わせ後の「再談合」を裏付ける供述とみて重視。公取委は独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑での刑事告発に向け、24日にも各社の名古屋支店などを捜索する。

 差し替えがあったとされるのは、市交通局が06年に発注した地下鉄6号線(桜通線)延伸工事の5工区のうちの「徳重第1工区」と「徳重第2工区」。談合の「仕切り役」とされる大林組名古屋支店元顧問の柴田政宏被告(70)=別の談合事件で公判中=の調整で、鹿島と清水建設のJVがそれぞれ落札することが決別申し合わせ前の05年末に固まり、そうした内容の談合情報が06年2月の入札前に参加業者から朝日新聞に寄せられていた。

 市は当時、談合情報に基づき、参加JVを事情聴取したが、談合の事実は確認できなかったとして両社のJVの落札を決定した。
 公取委と特捜部の調べに対し、落札予定JVのメンバーの幹部が、柴田元顧間から年末に落札が決まったと伝えられた工区と実際に落札した工区が異なり、「鹿島と清水建設のJVの工区が入れ替わっていた」と供述。しかし、「入札後に気づき、どうしてかと思ったが、JVの代表から理由は聞かなかった」という。

 一方、両JVの代表社の幹部は特捜部の事情聴取に対し、「交換はしていない」などと否認している模様だ。
 大林組は「昨年1月以降、名古屋市の地下鉄工事を含め、一切の談合行為は行っていない」とコメントしている。

[仕切り役に各社「営業」 地下鉄談合 配分、実績考慮]
(出典:2007年1月23日朝日新聞朝刊)

 名古屋市が06年に発注した地下鉄工事の入札に絡む談合事件で、「談合の仕切り役」とされる大手ゼネコン大林組名古屋支店元顧問が、入札に参加したゼネコン各社から受注希望工事の「営業」活動を受けて落札予定業者を決めていたことが関係者の話でわかった。落札予定業者の選定は、過去の施工実績などを踏まえて行われたという。公正取引委員会と名古屋地検特捜部は、元顧問の主導による談合のシステムが存在したとみて、実態解明を進めている。

 談合があったとされるのは06年2月と6月に入札があった市営地下鉄6号線(桜通線)延伸工事の5工区。同支店元顧問の柴田政宏被告(70)は、別の工事の入札をめぐる談合事件に関与したとして、刑法の談合罪で起訴されている。

 関係者によると、これらの工区の入札が実施される時期は05年春ごろ、市交通局がその年度の発注工事を公表した中で明らかになった。ゼネコン各社の「業務担当者」が、そのころから大林組名古屋支店を訪れ、柴田元顧間に受注希望の工事を伝える活動を本格化させたという。

 柴田元顧問は、過去の地下鉄の施工実績や地下鉄工事の現場付近で公的工事などを行った経歴を考慮して大手、準大手ゼネコンなどを工区別に割り振ったとされる。共同企業体(JV)の代表選定からJVの組み合わせまで一切の決定権限を持ち、どのゼネコンをメンバーに入れるかも差配していたという。

 05年12月、発注が正式に公告された直後、JVの代表とメンバーとなるゼネコン各社の業務担当者を呼んで、最終的に落札予定の決定を伝えたという。
 落札したJVのある関係者は「これまでの工事実績が認められて、JVのメンバーに加わることができた」と理由を説明する。

 公取委と特捜部の調べに対し、業務担当者は営業活動から落札予定業者の選定までの一連の経緯を供述している模様だ。ゼネコン各社が一堂に会して談合を行った事実はなかったものの、公取委は05年春以降から調整を繰り返して決定に至ったとみており、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで刑事告発に向けて調査を続けている。

[名古屋市発注 地下鉄談合強制調査へ 公取委「決別」前に合意か]
(出典:2007年1月21日朝日新聞朝刊)

 名古屋市発注の市営地下鉄工事の入札をめぐり大手ゼネコンなどが談合し、事前に落札業者を決めていた疑いが強まり、公正取引委員会は近く本格調査に乗り出す方針を固めた。実態解明には令状に基づいた強制調査が不可欠と判断している模様で、週明けにも最終調整に入るとみられる。今後、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑での刑事告発を視野に入れ、名古屋地検特捜部との連携を進める見通しだ。

 関係者によると、談合があったとされるのは市交通局発注の地下鉄6号線(桜通線)延伸工事。昨年2月と6月、5工区の入札があった。
 入札には大手や準大手ゼネコンを筆頭に3社が共同企業体(JV)を組み、3〜6JVが参加。鹿島、清水建設、前田建設工業、ハザマ、奥村組を筆頭とするJVがそれぞれ19億5千万〜62億1千万円で落札した。予定価格に対する落札率は92〜94%だった。

 大手ゼネコン、大林組名古屋支店元顧間の柴田政宏被告(70)=別の談合に関与し、刑法の談合罪で起訴=が、落札業者を割り振るなど、取り仕切っていたとされる。

 公取委と特捜部は昨年12月から、入札に参加した各社の名古屋支店の営業担当者を中心に事情聴取。担当者の多くが「『談合決別』があった05年12月末より前に、落札業者についてほぼ合意していた」「柴田元顧問に受注希望を伝え、了承されれば連絡をもらっていた」などと大筋で認める供述をしているという。柴田元顧間も事実関係を認めているとみられる。

 05年末には、鹿島、清水、大林、大成建設といったゼネコン大手が、談合から決別することを申し合わせた。こうした動きを前に「駆け込み」で大まかな受注調整を済ませておく必要があったとみられる。

 しかし、昨年2月の入札前に、朝日新聞などに談合情報が寄せられ、入札が延期された。入札の結果は、鹿島と清水の落札した工区が事前情報と入れ替わっていた。

 参加業者らは取材に対し、落札工区を入れ替える「再談合」を認めている。公取委と特捜部はこうした経緯についても慎重に調べている。


[名古屋市発注 地下鉄談合強制調査へ 公取委「決別」前に合意か]
(出典:2007年1月21日朝日新聞朝刊)

 名古屋市発注の市営地下鉄工事の入札をめぐり大手ゼネコンなどが談合し、事前に落札業者を決めていた疑いが強まり、公正取引委員会は近く本格調査に乗り出す方針を固めた。実態解明には令状に基づいた強制調査が不可欠と判断している模様で、週明けにも最終調整に入るとみられる。今後、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑での刑事告発を視野に入れ、名古屋地検特捜部との連携を進める見通しだ。

 関係者によると、談合があったとされるのは市交通局発注の地下鉄6号線(桜通線)延伸工事。昨年2月と6月、5工区の入札があった。
 入札には大手や準大手ゼネコンを筆頭に3社が共同企業体(JV)を組み、3〜6JVが参加。鹿島、清水建設、前田建設工業、ハザマ、奥村組を筆頭とするJVがそれぞれ19億5千万〜62億1千万円で落札した。予定価格に対する落札率は92〜94%だった。

 大手ゼネコン、大林組名古屋支店元顧間の柴田政宏被告(70)=別の談合に関与し、刑法の談合罪で起訴=が、落札業者を割り振るなど、取り仕切っていたとされる。

 公取委と特捜部は昨年12月から、入札に参加した各社の名古屋支店の営業担当者を中心に事情聴取。担当者の多くが「『談合決別』があった05年12月末より前に、落札業者についてほぼ合意していた」「柴田元顧問に受注希望を伝え、了承されれば連絡をもらっていた」などと大筋で認める供述をしているという。柴田元顧間も事実関係を認めているとみられる。

 05年末には、鹿島、清水、大林、大成建設といったゼネコン大手が、談合から決別することを申し合わせた。こうした動きを前に「駆け込み」で大まかな受注調整を済ませておく必要があったとみられる。

 しかし、昨年2月の入札前に、朝日新聞などに談合情報が寄せられ、入札が延期された。入札の結果は、鹿島と清水の落札した工区が事前情報と入れ替わっていた。

 参加業者らは取材に対し、落札工区を入れ替える「再談合」を認めている。公取委と特捜部はこうした経緯についても慎重に調べている。
2007.02.06 upload

[「お力で」「任せておけ」 前市長 起訴事実認める]
(出典:2007年02月26日千葉日報ちばとぴ)
(http://www.chibanippo.co.jp/_inc/backnumber/news/shakai/070206.php)

成田市清掃工場汚職千葉地裁で初公判 トップの暗部浮き彫りに

 成田市のいずみ清掃工場(同市小泉)の運転管理業務委託をめぐる贈収賄事件で、受託収賄などの罪に問われた前成田市長の小林攻被告(64)ら三人の初公判が五日、千葉地裁(山口雅高裁判官)であり、小林被告は起訴事実を認めた。検察側は冒頭陳述で、小林被告が贈賄業者からの依頼を受けて便宜を図った経緯を詳述。「市長のお力で」「任せておけ」などと具体的なやりとりも明かされ、金に執着した市トップの暗部が浮き彫りになった。

 贈賄の罪に問われたのは委託先会社TEC(松戸市)の前社長飯塚貴之(47)と前副社長の近藤紀昭(48)の両被告。いずれも起訴事実を認めた。

 検察側の冒頭陳述によると、二〇〇四年十二月、小林被告がTECに「〇五年度の業務委託は入札になるかもしれない」と電話で連絡し、TEC側は市への働きかけを画策。〇五年一月、TEC側は小林被告に「引き続き随意契約で」と依頼し、小林被告は担当職員を複数回市長室に呼びつけるなどして随意契約を指示した。

 さらに、TEC側は同三月、契約金額の交渉が難航したため「一本(一千万円)でよろしいですか」とわいろ額を提示。小林被告は「任せておけ、担当課にくぎを刺しておく」と答え、TEC側の希望額に沿うよう現場に圧力をかけた。

 翌〇六年三月にも、小林被告は次年度の業務委託の契約金額について、担当職員に「下げても一千万ぐらいじゃないか」と迫った。

 一連の便宜の見返りとしてTEC側が現金でわいろを用意すると、小林被告は「ありがたく使わせてもらうよ」などと応じ、二年で計千二百万円を受け取った。金は民事裁判の和解金や借金返済などに充てられた。

 逮捕から約二カ月。小林被告は白色ワイシャツにベルトのない灰色ズボン姿で法廷に姿を現すと、黒色ジャケットをはおって着席した。白髪が目立ち、裁判官に職業について聞かれると「会社役員です」とかすれた声で答えた。終始正面を見据え、退廷の際は傍聴席をゆっくり眺めてから立ち去った。

 次回公判は四月二十三日。公判後、小林被告の弁護人は改めて保釈請求を申請した。

[成田市汚職 前市長「現金、一本で」 贈賄側提示に金額返答]
(出典:2006年12月22日朝日新聞朝刊)

 千葉県成田市の清掃工場管理業務委託をめぐる汚職事件で、管理会社TECの前社長飯塚貴之容疑者(47)らから小林攻前市長(64)に現金提供を申し出ていたことが21日、県警の調べでわかった。前社長らが「500(万円)か一本(1千万円)か」と尋ね、前市長が「一本」と答えて額が決まったという。千葉地検は22日、小林前市長を逮捕容疑の収賄罪よりも重い受託収賄罪で、飯塚前社長らTEC側の2人は贈賄罪で起訴する方針だ。

 一方、県警は、別の2000万円の授受について、小林前市長と飯塚前社長を贈収賄容疑で25日にも再逮捕する方針だ。

 飯塚前社長らは、清掃工場の管理業務について、05年度も引続き随意契約で高値で受注できるよう便宜を図ってもらった見返りに、05年3月に小林前市長に現金一千万円を渡した疑いで逮捕されている。

 調べによると、飯塚前社長らは05年1月ごろに業者選定に入札の導入を目指す市改革案で委託額が04年度の実績(約2億6千万円)より約1億円低く抑えられていることを知り、3月に前市長に金額維持を働きかけることを決意。「援助させていただきたい」「500か一本か」との打診に、前市長は「一本で」と応じたという。

[成田市汚職「現市長になって金かかるように 贈賄の業者供述]
(出典:2006年12月05日朝日新聞朝刊)

 干葉県成田市の清掃工場業務委託をめぐる贈収賄事件で、現金1千万円の贈賭容疑で逮捕された管理会杜「TEC」の前社長飯塚貴之容疑者(47)らが、県警の調べに対し、「現市長になってから、金や手間がかかるようになった」という趣旨の供述をしていることが4日、わかった。TECは一時、収賄容疑で逮捕された小林攻市長(64)側の任意団体に事務員を派遣、経費を肩代わりしていた。

 小林市長は05年3月、清掃工揚の管理をTECが引き続き請け負うために便宜を図った見返りとして、TEC側から現金1千万円を受け取った疑いを持たれている。

 捜査2課などの調べなどによると、TECは前々任の市長時代から17年連続で、同工揚の管理業務を請け負ってきた。03年4月に小林市長に代わってから、翌04年に民営化を控えた成田空港関係の仕事を得ようと市長に接近したという。

 贈賄容疑で逮捕されたTECの近藤紀昭前副社長(48)=病気のため釈放=は市長初当選直後の03年7月から1年間、パーティー券を購入するなどしていた。さらに同市長の有力支援者主宰の任意団体「成田政経同友会」に一時、事務職員を派遣していた。同団体は成田市内のホテルが拠点で、業者から月1万円の会費を集めていた。TECは一時同事務所家賃も肩代わりしていたという。

 今回の事件の舞台となった清掃工揚の業務委託は、売上高の約2割を占める同社の中核事業で、飯塚前社長らは「成田の契約を失いたくなかった」などと市長側に接近した動機を供述しているという。捜査2課などは、小林市長が企業側の心理を利用して、さまざまな利益を得ていた疑いがあるとみている。

成田市長辞職

 収賄容疑で逮捕された小林攻市長が4日、弁護士を通じて辞職願を岩沢衛・市議会議長に提出した。市議会は同日午後、本会議を開き、全会一致で辞職に同意した。

[成田市長を逮捕 清掃工場管理巡り1千万円収賄容疑]
(出典:2006年12月03日朝日新聞朝刊)

 千葉県成田市の清掃工場の運転管理業務をめぐり、契約継続に便宜を図った見返りに委託先の管理会社から1千万円を受け取ったとして、県警は2日、成田市長の小林攻(おさむ)容疑者(64)=同市吾妻1丁目=を収賄の疑いで逮捕。管理会社「TEC」(同県松戸市)前社長飯塚貴之(47)=同県松戸市松戸=と前副社長近藤紀昭(48)=同市稔台2丁目=の両容疑者を贈賄の疑いで逮捕した。3人とも容疑を認めているという。

 調べでは、小林市長は05年3月下旬、成田市内の後援会事務所で、TECが引き続き「いずみ清掃工場」の運転管理業務を請け負うために便宜を図った見返りとして、飯塚前社長らから、現金を受け取った疑い。

 同清掃工場をめぐっては、市環境部が05年1月、指名競争入札の導入で経費削減を目指す改革案を策定。市長もいったん認めたものの、最終的には従来通りに随意契約を続けることを指示していた。この間、TECが、市長に随意契約を続けるように働きかけていたとされる。

 TECは、指名競争入札の導入で、長年請け負ってきた管理業務を失う可能性が出ることを恐れていたとされる。

 小林市長は現金を受け取った直後の05年3月下旬、かつて選挙で支援を受けた別の会社から起こされた貸金返還訴訟の和解金の一部800万円を同社に支払っている。県警はTECから受け取った現金を充てた可能性があるとみている。

[成田市長を聴取へ 清掃工場契約便宜1000万円収賄の疑い]
(出典:2006年12月02日朝日新聞朝刊)

 千葉県成田市の清掃工場の運転管理業務をめぐり、契約継続に便宜を図った見返りとして、同市の小林攻市長(64)=03年4月就任=が、委託先の管理会社から現金1千万円を受け取った疑いが強いことが分かった。県警は2日にも、同市長から収賭容疑で事情を聴く方針を固めた。受託会社側は1日までの県警の聴取に対し、容疑を大筋で認めているという。

 県警の調べなどによると、小林市長は05年3月、自らの後援会事務所で、同清掃工場の運転管理業務を受託している同県松戸市内の会社幹部(当時)から、謝礼として現金を受け取った疑いが持たれている。同社は、同清掃工場(1日当たり処理量144トン)が夜間運転を始めた90年から17年連続、運転と管理業務を随意契約で受託している。06年度の契約金額は約2億2155万円とされる。

 関係者によると、同清掃工場の委託費について、市議会が04年11月、ほかの自治体に比べて高額だと指摘。これを受けて、市環境部が05年1月、指名競争入札の導入で経費削減を目指す案をまとめ、小林市長もいったん決裁したという。

 だが、最終的には、市環境部が自ら移行案を取り下げ、3月に市は同社と従来通りの随意契約を結んだ。契約額は約2億3398万円で、入札移行案より約7500万円高かったとされる。

 この改革に対し、同社は早い段階から、小林市長や市環境部側に反対意見を伝えていた。同部も市長の言動から、「施設を知り尽くしている会社が無難だ、と市長は考えている」と受け止め、指名競争入札への移行を断念したとされる。

 小林市長は同社からの働きかけについて、これまでの朝日新聞社の取材に対し、「記憶にない」などと否定していた。

 小林市長は日本航空に入社後、同社の労組役員を務め、79年に同市議に初当選。3期務めた後、91,95,99年と3回続けて市長選に立候補したが、いずれも落選。03年4月に初当選した。

Initially posted July 4, 2007