政府税制調査会の税制改革基本方針

 以下に政府税制調査会の税制改革基本方針「あるべき税制の構築に向けた基本方針」(平成14年6月14日発表)の目次を掲げる(本文はリンク文字(色の変った下線部)をクリック)。石弘光税制調査会長は環境税について学識の深い方であるが、税制調査会の基本方針にこの点はあまり現われていない。この「基本方針」のなかでは「第 二 個別税目の改革」のなかの「五 その他」のなかで「環境問題への対応」と題し、わずかに次のように述べている。

「京都議定書の目標達成に向けて、この3月に見直しが行われた地球温暖化対策推進大綱においては、「税・課徴金等の経済的手法については、他の手法との比較を行いながら、様々な場で引き続き総合的に検討する」こととされている。環境問題に対する税制面での対応については、国民に広く負担を求めることになる問題だけに、国民の理解と協力を得て、今後、積極的に検討を進めていくことが望ましい。この際、国・地方の環境施策全体の中での税制の具体的な位置付けを踏まえ、汚染者負担の原則(PPP)に立って幅広い観点から検討していく必要がある。また、既存のエネルギー関係諸税等との関係についても検討すべきであろう。」

 既に2年前、税制調査会は「わが国税制の現状と課題−21世紀に向けた国民の参加と選択−」((平成12年7月14日答申)を公表している。その「第 二 個別税目の現状と課題」のなかの「六 その他の諸課題」のなかで「環境問題への対応」と題して環境税についてふれているが、これと比較して今回の基本方針が環境税導入に関して前進を見せたとは言い難い。今後の税制改革スケジュール(左上参照ーここには政府税調、諮問会議、自民税調の関係も見てとれる)を考えると、環境税は検討の俎上に乗っているのかどうか良く分からない。税調としては世論の盛り上がりを待つしかないのだろうか。その他の個別税目の改革については、前向き後ろ向き入乱れて明確な方向性が分かりずらい。環境消費税導入及び法人所得税廃止と個人所得税への完全統合を打ち出した方がはるかに分かりやすく、人々に改革への希望を与えるものとなるのではないだろうか。


平成14年6月

あるべき税制の構築に向けた基本方針

税制調査会


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はじめに

第 一  基本的考え方

  一  経済社会の活性化に向けたあるべき税制の構築
  二  あるべき税制の構築に向けた視点
    1. 自由な経済活動を妨げない税制 −効率的な資源配分と政策の集中−
    2. 課税の適正化・簡素化 −税制への信頼、社会への参画−
    3. 安定的な歳入構造の構築 −持続可能な財政の確立と将来不安の払拭−
    4. 地方分権と地方税の充実確保

第 二 個別税目の改革

  一  個人所得課税
    1. 個人所得課税の現状と課題 −基幹税としての機能の回復−
    2. 今後の改革の方向
      (1)  基本的考え方 −広く公平に負担を分かち合う−
        @ 諸控除
        A 税率構造
        B 恒久的な減税
      (2)  諸控除の見直し
        @ 家族に関する控除
        A 高齢者に関する控除
        B 給与・退職金に関する控除
        C 政策的措置としての控除
      (3)  個人住民税のあり方
        @ 基本的考え方
        A 所得割
        B 均等割

  二  法人課税
    1. 法人税
      (1)  法人税の現状と課題 −財源調達機能と経済社会の活性化−
      (2)  今後の改革の方向
        @ 基本的考え方 −歪みの少ない中立的な税制の構築と政策税制の重点化−
        A 政策税制の集中・重点化 −明確な国家戦略を前提とした重点的な措置−
        B 経済社会の新しい動きへの対応
    2. 法人事業税 −外形標準課税の導入−

  三  消費税
    1. 消費税の現状と課題 −安定的な基幹税目とするために−
    2. 今後の改革の方向
      (1)  基本的考え方 −国民の信頼性の向上を図り消費税の役割を高める必要性−
      (2)  信頼性、透明性の向上に向けた改革−中小事業者に対する特例措置の抜本的な改革等−
        @ 中小事業者に対する特例措置
        A 申告納付制度
        B 総額表示方式(消費者に対する価格表示のあり方)
        C インボイス制度
      (3)  税率構造等
      (4)  地方消費税

  四  資産課税等
    1.  相続税・贈与税
      (1)  改革の基本的考え方 −経済社会の構造変化への対応と負担の適正化−
      (2)  相続税の改革の方向性
        @ 課税ベース
        A 税率構造
      (3)  贈与税の改革の方向性
        @ 相続税・贈与税の一体化
        A 第三者に対する贈与の取扱い
    2. 固定資産税
      (1)  固定資産税の現状と課題
      (2)  今後の改革の方向性
    3. 土地税制・住宅税制のあり方
    4. 金融税制のあり方

  五  その他
    1. 酒税、たばこ税
      (1)  酒税
      (2)  たばこ税
    2. 特定財源等とエネルギー関係諸税等
    3. 環境問題への対応
    4. 国際課税
    5. 課税自主権の尊重

  六  納税者の信頼確保に向けた基盤整備
    1. 納税者番号制度
    2. 源泉徴収・年末調整
    3. 公示制度
    4. その他

補論

総論関係
  「公平・中立・簡素」の原則について

個人所得課税関係
  個人所得課税の税率構造
  「二元的所得税」と金融税制の「一元化」

法人税関係
  法人の性格と法人税のあり方

相続税・贈与税関係
  相続税・贈与税

その他
  国際課税
  「基本方針に盛り込まれていない意見」


Initially posted July 11, 2002,