須長周一 さん (233) 2005年 05月 02日 10時 13分 56秒

はい、商品により程度の差はあれ値段は一般にあがると思われます。

炭素税を含む環境税の目的は、環境汚染のコストを内部化(商品の市場価格に反映)させることにあります。炭素税はCO2排出量に応じて税をかけ、CO2を沢山排出する商品やサービスの価格を上げることを期待してかけられます。エネルギーを沢山消費する商品やサービスの価格は多く上がり、エネルギーをあまり消費しない商品やサービスの価格はあまり多くあがらないことになります。炭素税はこの価格上昇の程度により、エネルギー多消費商品の需要が減ったり、あまり価格の上がらないCO2排出量の少ない商品やサービスの需要が増えたりすることを狙いとしています。
しかし、税をかけたときそれがどの程度価格に反映されるかは個々の商品やサービスの市場の状況によります。生活必需品であって独占的に供給されているような商品、たとえば地域ごとにひとつの会社が供給している電力やガスなどは、上乗せされた税をかなりストレートに反映するでしょう。逆に日常生活に必ずしも必要ではなく、同種商品間の競争が激しかったり代替品がいろいろあるような商品では、価格をあげると他の商品に消費者が流れてしまいやすいですから、炭素税を価格へ上乗せすることが容易でないことになります。価格をいくらにするかは個々の商品やサービスを供給する企業の経営者がマーケットの状況を見て戦略的に判断するものですから、現実には様々な現われ方をするでしょうが、全般的には上のようになるのではないかと思われます。

商品価格が上がると、その反面に消費者の負担の問題が同時に現われます。生活必需品価格が上がればその影響を切実に受けるのは低所得者です。所得が低い人が環境保全のコストを余計負担するのは納得できないと考える人が多いでしょう。炭素税は個々の商品やサービス価格のいくらが炭素税相当分かを分離することが極めて困難ですから誰がいくら負担したかを集計したり還付することが不可能です。したがって、負担の問題を解決することが困難です。この価格に占める炭素税の価格を分離できない問題は輸出品について炭素税を還付することもできませんから、輸出商品の価格競争力を殺ぐという懸念も生じます。このHPで提唱している環境消費税はこれらの炭素税の負の面にも目を向けた環境税の仕組みを持つものとして構想されています。本文をじっくりご覧頂ければ幸いです。

西 さん (232) 2005年 04月 29日 11時 27分 09秒

炭素税を導入したら、商品の値段もあがりますか?

アイアイ さん (231) 2005年 01月 21日 10時 24分 55秒

くわしく説明どうもありがとうございました。よくわかりました。

須長周一 さん (230) 2005年 01月 19日 10時 57分 28秒

アイアイさん、はじめまして。
 ヨーロッパの付加価値税はインボイス型の前段階税額控除方式が採用されているのに、日本では帳簿型の前段階税額控除方式すなわち仕入税額控除方式が採用されたというのは、国際的経済活動が緊密化するなかでむしろ特異な現象と言えるでしょう。
 ヨーロッパではEU統合の前提として共同市場の形成に障害を与えない型の付加価値税の導入が強く要請されていたのに対し、日本では20年にわたる大型間接税の導入論議がのらりくらりと行なわれてきた中で、昭和62年のインボイス型前段階税額控除方式に基づく「売上税法案」が廃案になってしまったことの反省が大蔵省、自民党に強くあったために仕入控除型消費税の路線が選択されたからではないでしょうか。実際、「消費税制度成立の沿革」(監修竹下登、平野貞夫、平成5年ぎょうせい発行)をみると昭和63年3月25日政府税制調査会総会で決定された「税制改革素案」のなかで、多段階の新型間接税を導入することが唱われており、考えられる類型として伝票方式(EC型)と帳簿方式(一般消費税型)の両者が最初から提示されています。また、同年4月28日には早くも政府税制調査会の「税制改革についての中間答申」が(当時の)竹下首相に提出され、このなかでは、新消費税という名称が用いられ、伝票方式と帳簿方式が併置されています。その1ヵ月後の5月23日、自民党税制調査会は新型間接税について、@類型は中小商工業者などに抵抗感が少ない一般消費税型(帳簿方式)の付加価値税とし、簡易課税制度の選択も大幅に認めるとの基本方針を固めました。日本の消費税をその通りのものとして含む税制改革関連法はその7ヵ月後リクルート問題で揺れるなか、昭和63年12月24日成立しました。不思議なことに、国会でのインボイス方式採用の是非についての議論はこの間殆ど見られません。
 帳簿方式の方が益税をはじめとしてはるかに問題が多いのに、インボイス方式が採用されなかったのは、インボイス方式が連想させる中小事業者の事務負担増大に基づく反対についての懸念が消費税導入を急ぐ政府自民党の頭から離れなかったという極めて政治的な理由によるものと言えるでしょう。
 環境消費税ではインボイス方式を提唱しています。税率が高まれば高まるほど帳簿方式の不合理は鮮明になってきます。

アイアイ さん (229) 2005年 01月 15日 01時 26分 18秒

なぜインボイス制度は導入されないのでしょうか?インボイス制度の問題点はあるのでしょうか?