はじめまして。
「環境会計」が、平成14年3月に環境省から公表された「環境会計ガイドライン改訂検討会報告書」(以下「ガイドライン」と呼びます)で使われている意味と同じと考えることにしますと、環境税制と環境会計とは、そのめざすところに環境負荷の効率的な低減という共通性があるとしても、直接的な関係は薄いように思います。
環境会計の必要性としてガイドラインは次のように述べています。「環境保全への取組状況を定量的に管理することは、事業経営を健全に保つ上で有効です。すなわち、企業等が環境保全に取り組んでいくにあたって、自らの環境保全に関する投資額や費用額を正確に認識・測定して集計・分析を行い、その投資や費用に対する効果を知ることが、取組の一層の効率化を図るとともに、合理的な意思決定を行っていくうえで極めて重要であるからです。また、公共財としての環境資源を用いて事業活動を展開する企業等は、消費者、取引先、投資家、従業員等の利害関係者(ステイクホルダー)に対して説明責任(アカウンタビリティ)を有しています。環境会計情報の開示は、そうした説明責任を履行する重要な手段の一つであり、その結果、企業等の社会的信頼が高まり、適正な評価を確立していくことにつながります」。そのうえで環境会計とは「企業等の活動を貨幣単位で表現した財務パフォーマンスの部分である環境保全コスト及び環境保全対策に伴う経済効果と、物量単位で表現した環境パフォーマンスの部分である環境保全効果とを体系的に認識・測定・伝達する仕組みです」と要約しています。また、「本ガイドラインで取り扱う環境保全コストには、いわゆる社会的コストは含めないこととします。社会的コストは、企業等によって通常負担されるコストとは異なり、第三者としての社会が負担しているコストとします。」と述べ、社会的コストを対象から除外しています。
以上から分かるように、環境会計は企業等組織体の環境保全のための行動を対象として、そのコスト及び経済的効果を貨幣単位で集計・要約し、環境保全効果を物量単位で集計・要約したうえで、内部的には経営管理のため、また外部的には利害関係者に対して報告するための自主的な手段ということができると思います。したがって、環境政策のなかでの位置付けは、規制や経済的手段には含まれず、ボランタリー・アクション(自主的取り組み)ということになります。それなりの限界はありますが、たとえば、社会的責任投資(SRI)などを行う場合の評価材料として採用されることにより環境保全活動に熱心な企業が資金面でより優位に立つようになるかもしれません。また、環境消費税が導入された暁には、環境会計の項目のひとつとして環境消費税の適用税率の前年比較が報告されることも考えられます。
ご指摘の「環境対策にかけたコストを特別損失として税金を安くするとか」という方法は一種の優遇措置としての租税特別措置ですから、そこに安くなった「税金」が登場したとしても、これは補助金と呼ぶべきもので環境税には該当せず、ここに環境会計と環境税の接点が生まれるとはいえないのではないかと思われます。
ご質問について数日考え、思うことをコメントさせて頂きましたので浅はかなところが多々あると思います。おけいさんも新しい関係がみつかったら教えてください。
はじめまして。質問です。環境税制と環境会計の関係を教えてください。たとえば、環境対策にかけたコストを特別損失として税金を安くするとか…。
聞きたいことがいろいろあるので、お時間いただけないでしょうか?明日ディベートの本番があるのですが、準備不足で困っています。助けてくださいー!
やちゃいさん、こんにちは。
同じご質問を過去に数回受けました。この頁の最下行「過去の記事リスト」をクリックし、2002年6月21日の直子さんのご質問と6月23日の私の返答をご覧下さい。
環境税のデメリットって何ですか?わかりやすく教えていただければありがたいのですが。
おおえさん、はじめまして。
はい、違うといえます。
石弘光さんの「環境税とは何か」(岩波新書)のプロローグ2頁目にこんな記述があります。「一口に環境税といっても、その内容は用いる人によって様々である。最も狭い意味は、CO2排出量の抑制を目標に、化石燃料が排出する炭素含有量に賦課する炭素税である。単に環境税というとき、この炭素税を指す場合も多い。これに対し、地球温暖化防止に限らず、環境に負荷を与える財・サービス全般を課税の対象にし、それらを抑制し環境保全に役立てようとする発想もある。この場合、個別消費税や課徴金などが環境税とされ、最も広い意味での用い方になる。」
消費税は、たばこ消費税のように個別に課税品目をしぼって課税する個別消費税に対し、原則としてすべての財・サービスの売買に対して課税する一般消費税ですから、広い意味での環境税の範疇からも外れると言えるでしょう。消費税は環境にいいモノも悪いモノも区別せず、同じ税率で課税します。環境税の性格としては、少なくとも、環境保全という目的または効果が認められることが必要と思われます。
ところで、このご質問は、環境税収の税収全体に占める割合を算出するとき、何を環境税に含めるかの議論とも関係しますので、意外と広がりのある問題と思います。OECD (1995) Environmental Taxes in OECD Countriesなどもご覧頂くと面白いかもしれません。
消費税と環境税って違う種類ですか?
このHPは、環境・環境問題を考える人が、環境税って何だろう、もしかしたら使える仕組みかも知れないな、もうちょっと調べてみようというご自分の問題意識から読まれることを想定しています。
きのさんのように、自ら考え持たれた疑問についてならば、一緒に考えさせて頂くはりあいが湧きますが、宿題とここまではっきり書かれると、それはご自分でお調べ下さいと申し上げるしかありません。もちろん、宿題をきっかけとして、あれこれお考えになった結果のご疑問であれば話は別です。
ありがとうございました。夏休みの宿題で>>あと、もう1つ、よろしいでしょうか?環境税を発表したのは誰ですか?実は「環境省」と書いてしまったのですがそれは間違いになるんでしょうか?
「環境省によると〜で」みたいに書いてしまいました(涙)
もともとは外部経済を指摘した経済学者のピグーだと思いますが、その後ボーモル=オーツなどいろいろな経済学者やOECD、NGO、各国政府の諮問委員会などが提唱しています。このHPの「環境政策の手段」の各節と参考文献をお読み下さい。
環境税は誰が(環境省?)が提案したんですか?
なるほど……須長周一さん、ありがとうございます。
きのさん、Good questionです。
炭素税をどの時点で課税するか、そのデザインによって、結論が変わってきます。
炭素税を川上(日本では殆どが輸入時)でかけるとすれば、原油、石炭、LPGなどの炭素含有量がはっきりしている原料にのみ課税し、製品には課税されませんから、外国の工場で作られた製品を輸入する段階では課税されません。きのさんのご指摘的中です。
他方、炭素税を川下(消費に近い点)でかけるとすれば、製品価格に炭素税を上乗せして炭素税課税することになりますから、この場合は海外の工場で製造した製品が日本で販売される段階で課税されます。この点では、海外に生産シフトしても炭素税のがれは、うまくいきません。
川下課税が望ましいのですが、実際問題として、製品にどの程度炭素が含まれるかを算定することが不可能なために、川下課税は放棄され、結局、川上課税が採用されることになるでしょう。納税者が圧倒的に少ないために徴税コストが少なくて済むことも川上課税採用の理由になっています。
川下課税がが可能であれば、輸出競争力への悪影響も排除できるし、国民の環境意識を高める点でも望ましいのですが、これがとても難しい。これを炭素だけでなく環境負荷をかけるすべての資源に拡大して環境税をかけようとするのが、このHPでご紹介している川下課税の環境消費税です。
初めまして、きのと申します。
炭素税について1つ疑問があり書き込みします。
日本が炭素税を導入していると仮定した場合、日本企業が所有する外国籍の工場は日本と現地の国のどちらの税率に従うのでしょうか。
炭素税の適用される範囲が国内だけだと、日本より税率の低い国に工場を作ってしまえば炭素税の効果はなくなると思うのですが。
よろしくお願いします。
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brother-tさん、お久しぶりです。
「地域環境税」については、brother-tさんがご指摘のように二つの問題がネックになっていると思います。一つはもれ(地域内完結を全うしにくい)、もう一つは我国の問題として地方税法という国の法律が地方の独自課税を縛り、かつ交付金・補助金が独自課税による税収合理化努力をチャラにしてしまうこと。
第一の問題については隣接自治体に呼びかけ共同歩調をとるようにし、産業廃棄物税などについての越境行動に対抗する作業を併せておこなう必要があるのではないかと思います。第二の問題についてはすでに補助金を返上しても独自事業のメリットを優先して考える長野県栄村の例(日経朝刊2002年11月25日)もあります(これは地域環境税の独自課税の例ではありませんが、チャラ問題への挑戦という点では同じです)。こんなところに希望がみえるような気がしますが、地域レベル課税もそれが有効となるためには国税レベル課税に劣らず乗り越えるべき壁には事欠きません。
最近地方統一選挙で私の投票できる選挙について各候補者の選挙公約などを調べているのですが、その中で神奈川県知事選挙に出馬するとある候補の公約を見ていたらこんなものがありました。
http://www.matsuzawa.com/kanagawa/voice/voice_04.htm
この方の環境新税に関しては実はそれほど新鮮味があるようにも見えないのですが(確か横浜市がこう言ったことをしていたような気がする)ただ環境税を考えていくときに地域性というのは結構重要なのではと感じます。
というのは結局結局環境が悪化したときに真っ先に影響が出るのは地域であり、影響の沈静化と被害者の救済にまず最初に動けるのは地域の行政であるからです。
例を挙げるならば、大都市圏の大道路周辺の煤煙問題などが挙げられます。
実際ここでの対策は被害者の救済は分かり易いのですが、沈静化のためには環境税以外の手を用いるとしたら例えばバイパス道路を作ったりまた鉄道などを作ったり既存の鉄道を活用したりして車の集中を防いだりと言った事が考えられるのですが、環境税として考えていくのにはまず
・被害者救済や沈静化策への費用負担という考え方
・あくまで鎮静化効果をメインに考える考え方
の2通りになると思います。また現在の日本の税体系の場合地域が新税を設定してもその分交付税の減少と言う形で効果が薄れると言う問題もでてきます。
果してこの「地域環境税」に関してどう考えていくのが妥当なところでしょうか?
山本さま
とても建設的かつ的を射たアドバイスありがとうございます。しばらく時間がかかると思いますが、ご提案にそって全面的な見直しを行ってみたいと思います。改めて、感謝申上げます。
須長さま
先日は、ご丁寧な回答を頂き、ありがとうこざいました。
例題で、「環境消費税」の考え方がだいぶよくわかってきました。
サイトをよく直してみて、「環境消費税」が英語では、Environmental Consumption Tax = Virgin Material Consumption Tax となっているのに気づいて、「環境消費税」が「環境を食いつぶす経済活動に課する税」であることを再認識しました。
須長さんのねらいは、「環境消費税」を、持続可能な発展に向けて経済構造を転換していく戦略の柱にする点にあると思います。そこで、持続可能性に向かっていくための要件との関係で、「環境消費税」をより効果的、説得的なものにするには、どうすればいいか、考えてみました。
持続可能性をどう規定するかについては、さまざまな議論があるのだと思いますが、簡潔で大事なポイントをおさえているものとして、ナチュラル・ステップ<http://tnsj.org/tnsj/tnsjdata/f01.htm>が提唱している、4つのシステム条件を土台にして考えるのがわかりやすいと思います。
(1)地殻から堀り出す鉱物などを減らす。
(2)水、空気、地中への物質の排出、廃棄を減らす。
(3)耕地の土壌の劣化、天然林の破壊を防ぐ。
(4)資源の公平な利用。
須長さんの「環境消費税」の提案は、(1)の視点からまず構想され、それが(2)の地球温暖化ガスの削減の効果もあることを示し、また、(3)の問題も考慮するような運用方法を工夫する、といった経緯になっているのかと思います。
しかし、(1)からのアプローチを(3)もカバーするように解釈し直すと、かなり無理が出てくるのではないかと私は思います。むしろ、(1)の視点から構想された「初用材」「再生材」という概念を(1)、(3)の両方を包括する概念にデザインし直した方が説得的な提案になるのではないかと感じます。現状では、(1)、(3)を「天然資源」という用語で一括していますが、これは(1)と(3)の性格の違いを隠してしまうのではないでしょうか。
さらに、(1)、(3)とともに、化石燃料に対する再生可能エネルギーの概念も、包括するのが望ましいと思います。
例えば、「再生材Recycled Material」を「循環材Ecocyclic Material」という用語に置き換え、再生材とともに持続可能な農林業の産品や再生可能エネルギーも「循環材」と見なし、「環境消費税」の「循環材割合」を1とする、といった考え方をとるのがいいのではないでしょうか。
(Ecocyclicという英語は、Svante Axelsson "Ecological Tax Reform/ Tax Shift--a Tool to Reduce Unemployment and Improve the Environment"で見つけました。)
山本眞人さん、はじめまして。
里山は私たち日本人の原風景であり、和歌や俳句や唱歌に多く歌われてきた文化的ゆりかごであると思います。人間の生活圏に接して創られてきた里山の自然には手付かずの自然とは異なる生態系の豊かさがあり、その位置関係ゆえに脆弱さと貴重さを併せ持つため、積極的な保全が必要と思っておりました。EcoNaviの「森林/山村/山里」やWebLogueの特集、第31号「里山再生と炭焼き&木質発電」、第19号「里山(さとやま)考」、第20号「里山(さとやま)考、その2」などを読ませて頂き、その大切さを改めて感じました。その里山を積極的に利用し保全する上で、小規模分散型熱電併給システムや炭焼きによる里山林の利用も提案されていますが、環境消費税はこの点ではあくまで脇役ながら応援する側に位置付けてよい考えではないかと思います。ちょっと長くなってしまいましたが以下をご覧下さい。
第一問については、環境消費税法が現実に存在し、これに関する「税務相談」風に回答してみますと;
(問) 「里山から適度に伐って得られた木のうち、炭焼き原料又は木質エネルギーを得るために用いられるもの」の初用材割合はどうなりますか。
(回答) 里山の保全が継続して行われる場合には、初用材割合ゼロとして差し支えありません。
里山から適度に伐って得られた木(以下、「間伐材」と呼びます)は未だ利用されたことのない財であるために、初用材100%とみなされるのが本則です。しかし、「スクラップに係る税額控除の特則」では、「あるスクラップについてその売却価額から引渡費用を控除した金額が廃棄費用以下である場合においてこれを売却するときは、当該スクラップの再生材割合は1とみなす」との規定があります。
すると、@「間伐材」がスクラップであるかどうか、また、Aこれを販売するとしたとき、その正味実現可能価額(売却価額から引渡費用を控除した金額)が廃棄費用以下であるかどうかが問題となります。
@については、どのような主産物を作るために発生したものかどうかを考える必要があります。主産物がなければスクラップもありません。しかし、よく管理された里山が提供するサービスを考えますと、これは密度の高い生態系を形成しているのが通常であり、その織りなす全体が地域社会に対して、例えば、ディズニーランドが提供するサービスに優るとも劣らないサービスを提供していると考えることができます。さらに、教育サービス、いやしサービス、文化の素材提供サービスなどもその提供するサービスの一部として上げられると考えられます。もちろん、長い時間をかけて形成された原生の自然とは異なる生態系維持サービスもそのなかに含めることができるでしょう。したがって、間伐材は主産物であるこれらのサービスを生産する過程で生ずるスクラップとみなすことができます。これらのサービスは現実に金銭の授受を介して行われる取引ではないという一事をもって、間伐材が主産物を持たないと結論付けることは、ことの一部のみを見て全体を判断する過ちを犯すとの誹りを免れないものと思われます。あくまで主産物がないという主張に対しては、里山サービスを受けるための入場料として一人当たり1円を徴収するというのも、その反駁として有効かと思われます。
ただし、里山からの木の伐り出しが単に一時的のものであって、里山を保全する行為が継続的に行われているとはみなされない場合については、この特則の適用はないことになると考えられます。
Aについては、伐る対象となる木を選定し、人を雇ってこれを他の動植物をなるべく損傷しないように伐り、運び出し、これを適当な長さに切断して、束ねるなどのコストに、粗大ごみとして出すためのコストを加えると、これを売って得られる代価に満たない場合が殆どと思われます。(/回答)
新しい考え方としての環境消費税を租税特別措置による複雑化を避けて構成していきたいと考えています。このため、間伐材をスクラップとして位置づけてみましたが、もっと一般的に扱えるよい考え方もあるかもしれません。ご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。
(第三問(第二問と順番を入替)) 「特定基準(特定基準については「農林水産業と経済的手段」のなかの「持続的農林水産業のの判定基準」をご覧下さい。)を達成し、その認証も受けている農林水産品についての再生材割合は環境消費税法に基づく再生材割合とするとありますが、この割合は何ですか」
これについて、詳しくは「環境消費税のしくみ」の章をご覧下さい。特に「基準税率」の節の計算例がイメージを得やすいと思います。ここでは例として、里山から適度に伐って得られた木を用いて木炭を生産する場合をとりますと(カッコ内は仕入税額)、
材料費
間伐材... 1,000円(0円)
包装材... 3,000円(600円)
人件費
雑給........10,000円(0円)
経費
ドラム缶...3,000円(0円)
輸送費....2,000円(240円)
合計.........19,000円(840円)
初用材割合=840/19000x0.24=18.4%
もし、この上の取引が一年間に行われたすべての仕入で、かつ木炭の売上が30000円とすると、
環境消費税は30,000X(0.24X0.184)=30,000X4.42%=1,326円となり、この木炭を売る事業者は
1,326円を売先から預かり、1,326円−840円=486円を税務署に納めることになります。
もし、包装材としてより再生材割合の高いものが得られたとして、その金額が同じで仕入税額が300円、また、輸送には鉄道を使うなどして仕入税額が100円に減った場合は、初用材割合=400/19000x0.24=8.77%と減少し、環境消費税は30,000X(0.24X0.877)=30,000X2.10%=630円となり、この木炭を売る事業者は
630円を売先から預かり、630円−400円=230円を税務署に納めることになります。
(上の例は木炭生産についての実際例からとった数字ではありませんから、具体例とはかなり様子が異なる点にご注意願いたいと思います。)
(第二問) 「輸入木材の初用材割合と適用税率はどうなりますか」
(回答) 仮に、輸入木材が特定基準未達成で認証も得ていないとしますと、初用材割合は100%とされます。すると、材料費である木材の初用材割合は100%、また、貨物船の輸送費の初用材割合は陸上輸送と比較して燃料費比率は高く人件費率は低いため高くなることが予想されます。したがって、輸入木材の初用材割合は木材自体の初用材割合が国内産木材と同じであると仮定しても高くなる傾向はあるかもしれません。
しかし、船舶輸送費自体は日本の消費地に近い港で陸揚げされるとすると、国内陸上輸送費と比較してかえって安くなる場合もあるかも知れません。個々の具体例で比較してみないと分かりませんが、むしろ、持続可能型で生産された木材かどうかの方が初用材割合の算定上は大きな要素になってくるのではないでしょうか。
須長 周一 さま はじめまして。
EcoNavi<http://www.econavi.org>を編集している山本と申し
ます。
「環境消費税のすすめ」を読ませていただきました。地球温暖化防
止という目的だけでなく、素材の循環利用の促進や、持続可能な農
業、林業への転換も視野に入れられている点で、包括的であり、発
展可能性の大きい、ご提案だと思いました。
まず、私たちの関心テーマについて、書いておきます。
市町村合併などをめぐって山村の町村の人口や財政収支の見通しが
論じられる際に、持続可能な社会に向かっての政策転換を進め、そ
れに山村がうまく対応した場合に、山村にどのような可能性がある
か、といった議論がなされていないのはおかしいと感じていて、そ
ういう議論を試みたいと思っています。
そういう視点から、各機関で提案されている炭素税、環境税が、山
村にどういう影響を及ぼすかに関心をもっています。
今後、山村の資源を生かすために、木質バイオマス・エネルギーの
ポテンシャルをどうやって顕在化させていくかが、私たちの大きな
関心事のひとつです。スウェーデンの例が示すように、化石燃料に
かなり高い炭素税をかけることで、各種の木質バイオマス・エネル
ギーが競争力をもつようになるのは、明かでしょう。
須長さんのご提案の「環境消費税」では、廃材を使った木質バイ
オマス発電の場合「初用材割合」はゼロになるのだと思いますが、
里山の木を適度に伐って焼いた炭の場合はどうなるでしょうか。
C02削減をめぐる議論では、炭は、再生可能エネルギーとされ、炭
を燃やして発生するC02は、成長過程の木のC02吸収によって相殺
されると見なされているようです。こういうものについては、「初
用材割合」という用語を何らかの形で読み変えていくことによって、
再生可能エネルギーの普及促進を図るということになるのでしょう
か。
もうひとつは、山村の林業にとっては、輸入材に対する競争力をど
うつけていくかが大きな課題ですが、藤原敬さんが指摘するように、
<http://homepage2.nifty.com/fujiwara_studyroom/kadai4/
timber_import_framepage2.htm>
輸入材は、大量の輸送用エネルギーを使っていますから、この環境
コストを顕在化させていけば、国内の林業がなりたつ余地が広がる
のは確かです。
ご提案の「環境消費税」では、輸入木材の船舶輸送に使われる輸送
用エネルギーについては全部化石燃料を使っている場合「初用材割
合」が100%になり、かなり高い税率が課せられると理解してよい
のでしょうか。
また、ご提案の「環境消費税」では、持続可能な農業、林業の普及
を促進するという目的も考慮なさっています。この方法についての
質問ですが、「農林水産品の再生材割合」の項で、1について、
「環境消費税法に基づく再生材割合」と書いてありますが、これは
具体的にはどういう税率になるのでしょうか。
とびこみさん、はじめまして。
とびこみさんと近い考えを、環境政党「みどりの会議」の「みどりの政治宣言」のなかで見たことがあります。政策の基本方針の1のなかに次のようなことが掲げられています。
「社会と生活を支える源(エネルギー)
現代生活を支えるエネルギーについて、省力化・分散化・地域化を原則とし、日本にふさわしいエネルギー体系を構築します。
まず、社会全体のエネルギー消費量を抑えるため、消費量に比例して累進的に上がる料金制度を、電気・ガスなどに導入することです。
電気ばかりに頼ることを改め、使用するエネルギーの多様化も欠かせません。木質バイオマスによる熱供給システムなど、地域に即したエネルギーを住民が選択すべきです。
そして、原発を廃止し、風力などの自然エネルギーを普及させます。」
電気料金は我家の領収書を見ると、基本料金と1段料金(単価15.58円/kw)、2段料金(単価20.67円/kw)、3段料金(単価22.43円/kw)を組合わせたものになっていますから、これもゆるい逓増料金になっていますね。みどりの会議は使えば使うほど単価が高くなるしくみをもっと推し進めようという方法でしょう。とびこみさんの方法は、電力会社が料金改定しなくても電力消費税を上乗せして、同じ効果をあげようという方法で、環境税の考え方に沿ったものです。もちろん、電力会社は嫌がるでしょうし、電力の大口消費家や企業は嫌がります。
電気料金については
http://www.tepco.co.jp/
の電気料金についてでご覧になれます。
インターネット初心者で、国にものを申したくてこのコーナーを探しました。電力ですが、原子力を使わなければならないほど大変なのですから電力消費税を設けたらよいのではないでしょか?節電にも多いに役立つと思うのです。東京電力さんは やがるのかなー。電気税ほど今考えるべきでは?
まいこさん、
今朝(2003年1月25日)の日経に、「米エネルギー価格高騰」「ガソリン、前年比32%」という見出しの記事が載っていました。今週、全米のレギュラーガソリンの平均小売価格が1ガロン当たり1ドル46セント(1リットルあたり約45円50銭)となり、軽油や灯油、天然ガスなど他のエネルギー関連製品の価格も軒並み上昇しているということです。この価格上昇にともなって、消費がどのような動きをしたかを同時に報道してくれれば分かりやすいのですが、それは記事になっていません。例えば、ガソリンに炭素税を32%の税率でかけるのと、ガソリン価格が32%上がるのとは、ガソリン消費量への影響は同じですから。
さて、「モノの価格があがれば、それに応じて消費を減らす」人は、「モノの価格があがっても、人々は消費を変えない」「モノの価格があがれば、人々はそれに応じて消費を増やす」人よりも圧倒的に多いと考えられます。もちろん、その価格変化の消費量への影響はモノによって、また各消費者の所得水準によって差異があるでしょう。また、僅かしか価格が変化しなければ消費量への影響はまったくないということもあるでしょう。これが価格の消費量への直接的効果です。短期的効果とも言われます。その他に例えば、ガソリン価格が上がると、買替時により燃費のよい車に乗り換えたり、企業が設備投資をする時によりエネルギー消費量の少ない機械設備を購入したりすることによって、間接的に消費量が減少するという効果もあります。長期的効果とも呼ばれます。この効果も大きく効いてくると考えられています。
炭素税を導入すると二酸化炭素がどの程度削減されるかは、炭素税の導入によっていろいろなモノ(重油を燃やしてつくる電気などもふくめて)の値段にどれだけの影響が直接波及しそれによってどれだけいろいろなモノの消費量が減るか、また消費量の少ない設備や機械や技術がどれだけ現れ採用されてくるかにかかってきます。炭素税が僅かしかかからなければ、企業の原価削減努力によって価格への影響が全く現れない市場分野も出てくるでしょう。
同じ日経の記事では「米有力石油アナリストのティム・エバンス氏は『原油価格が1バレル当たり10ドル上昇した状態が続くとGDPは1ポイント近く押し下げられる可能性がある』と指摘する。」とありました。これは原油価格変化の米国の国民総生産(=総需要)への価格ベースでの影響をシミュレートしたものだと思いますが、物量ベースでは1ポイント以上の減少が生じるということでしょう。二酸化炭素換算では1ポイント前後の削減効果があるとみてよいのではないでしょうか。
炭素税制の場合は、しかし、エネルギー多消費産業には税を減免する(その理由として、輸出競争力に影響を及ぼさないためとか、いろいろあげられます)などの措置を組み込むことになってしまいますので、上で述べたような価格効果がストレートに現れず、減殺される難点があります。環境消費税についてはよりストレートに価格効果を発揮させるような税制デザインができます。また、人々の環境意識への影響も大切ですが、この点でも環境消費税はすぐれています。
炭素税を導入するとホントに二酸化炭素は削減されるんでしょうか?
名無しさん、
これも立派な主張だと思いますので、恥ずかしがらずに
お名前と、理由も書いてくださいね。
炭素税はんたーい