独眼流さん、
最初のご質問については「補論」のなかの「初用材割合の算定期間・集計単位について」の項、及び、この頁のきみおさんとの9月頃のやりとりをご覧ください。
第二の問題については一気に税制改革をする必要があると思います。ただし、3年間程度の助走期間が必要と思います。この間に法人税の廃止と所得税への完全統合の法制整備を進めます。概ね以下のような手順を考えています。
第一年目には3年経過後から環境消費税の徴収・納付を開始することと導入までの工程表をアナウンスします。その上で、第一年目は、事業者それぞれが税額票への初用材割合の表示を開始しますが初用材割合は技術資料から推算で決めます(環境消費税の徴収・納付はしない)。第二年度では税額票への初用材割合表示を推算でなく税額表に基づいて行います(環境消費税の徴収・納付はしない)。第三年度では第二年度での実務を定着させ初用材割合の精度を高めます(環境消費税の徴収・納付はしない)。そして第4年度目から環境消費税の徴収・納付を開始します。
この3年という期間は長すぎると思われるかもしれません。しかし、この3年の間に事業者の調達や生産体制、商品企画はがらりと変わっていくでしょう。動脈産業・静脈産業の両方の性質をもつ企業が勝組になり、新産業フロンティアがはっきりと姿を現してくるに違いありません。つまり、3年経過前に環境消費税導入の効果が先取りして現れると期待できます。そして、この産業フロンティアは生産地・消費地密着型ですから、例えば中国との競争に悩まされることも僅かです。日本経済の沈没を防ぐ重要な戦略の一つがここにあるのです。
環境消費税を導入する場合、消費税と同じように納税は年に一度納入する方法をとるのですか?
環境消費税を導入する場合の税制改革はいっきに全部するのですか?それともある程度段階的にするのですか?
ある程度段階的に行う場合だとしたらどのような方法で税制改革をしていくのか説明がほしいのですが?
よろしくお願いします!!
私もそういう方法があったら知りたいと思います。
はじめまして。今私は大学4年生で環境税に関する卒論を書いています。そこで質問があるのですが、本気で日本に環境税を導入しようとした場合、まったく環境に関心がない人に対しても、納得のいく説明がしたいのですが、どうしたらよいでしょうか?
ありがとうございました。
私もこれを参考に卒業論文で自分なりの環境消費税を考えてみようと思います。
結論から先に申し上げますと、環境消費税では簡易課税制度は設けることができません。
環境消費税は初用材割合の高低によって商品・サービスにかける適用税率を差別化させる点に特徴があります。現行消費税では課税売上高が2億円以下の事業者に簡易課税の選択を認めています。しかし、簡易課税のもとでは初用材割合の表示ができませんから、簡易課税事業者から仕入れる事業者は初用材割合の算定ができないことになります。
簡易課税事業者の比率が極めて僅かであれば、初用材割合の算定にそれほど支障がないかもしれません。ところが、「既存税制との調整」のなかの「ベンチャー育成型・株式市場活性型税制を考える」のセクションで書きましたように、平成8年において、我国の事業所総数6,717千社、従業者数総数62,781千人のうち、従業者数50人未満の事業所数は6,547千社、そこに働く従業者数は39,118千人です。企業数にして96%、従業者数にして62%が従業者数50人未満の中小企業に属すことになります。2億円÷50人=4百万円ですから、一人当たり売上高の最低額を8百万円とみて、このなかの半分が簡易課税事業者と推定すると日本の企業数の48%が簡易課税事業者になってしまいます。これほどの比重があると初用材割合の算定は無意味になってしまうでしょう。したがって、簡易課税を環境消費税制度に取り込むことはできません。
我国消費税制のなかで考えても、簡易課税制度は制度の透明性・公平性の障害になっています。新しい税制にこの制度をとりこむ必然性もありません。
我国のエネルギー税制は石油ガス税、揮発油税、地方道路税、軽油引取税、航空機燃料税、原油等関税、石油税などがあり、これらを特定財源から一般財源に変えようとする動きと特定財源のままにしておこうという勢力がせめぎあっています。これらを一般財源にするためには、環境税化が必要でしょうね。
初めまして。私はボッサンと申します。
このホームページを見て卒業論文で環境消費税について書こうと思いました。そこで質問したいことがあるのですが・・・。
環境消費税は現行の一般消費税において採用された簡易課税が引き継がれているのでしょうか?また個別消費税であったエネルギー税制はどうなったのでしょうか?
ブルーさん、はじめまして。
既に導入されている環境税としては、低公害車・低燃費車への買替促進を目的とする自動車税と自動車取得税の軽減措置が挙げられると思います。これは自動車税と自動車取得税の特別措置(地方税法附則第32条)によるもので、既存税制のグリーン化の例と言えます。(http://www.mlit.go.jp/jidosha/green/green00.html)
このほか検討中のものとしては、三重県の産業廃棄物埋立税、神奈川県の水源環境税、東京都杉並区のレジ袋税があります。さらに、岐阜県、岡山県、福岡県が産廃税、鳥取県が産廃施設建設促進の税、岐阜県が廃棄物税の導入を検討中という記事が昨年11月4日の日経に載っていました。これらをフォローアップすれば実現したものが見つかるかもしれません。
残念なのは、検討中のものを含めてこれらがいずれも個別環境税とでも呼ぶべきものにとどまり、市場経済の枠組みを根本的に変える一般環境税(環境消費税はそのようなものとして組み立てられています)の検討には至っていないということです。
はじめまして。質問があります。
環境税は今、日本で導入されているのでしょうか?
教えてください。
扇さん、はじめまして。
もしあなたが高校生以上の方であるなら、まず、岩波新書
石弘光著「環境税とは何か」を熟読されるのがいいと思います。
その上でこのHPをご覧になると環境消費税の良さがよくおわかり頂けると思います。
環境税に付いて解り易く尚且つ詳しく教えてくれませんか?
須長さん、こんにちは。
早速見に来てくださったようで、嬉しく思います。
また、「おすすめWEBサイト」にも掲載してくださったとは、光栄です。
私どもは、社会に住むひとりひとりが、共に社会を築いてゆくために、閉鎖的な単一集団を超えた信認ネットワークの下で、人材及び情報の交流を図ることが出来たらと考えております。
21世紀の主役であり人類の財産でもある人のつながりと情報は、使われれば使われるほど、拡がれば拡がるほど、活きてくるのではないでしょうか。
そういう時、このように、社会に対する何かしらの想いを抱いたサイト同士がリンクしてゆくことによって、インターネットによって拓かれた「可能性」を現実のものにしていけるのではないかと思っております。
ここに集まる人々、るいネットに集まる人々、他の素晴らしいサイトに集う人々。皆一緒に、新たな社会を構成してゆけたら嬉しいですね。
>新たなコミュニティ作りをめざす貴重なサイト
ありがとうございます。私たちの意図するところを、このようにご理解いただき、お褒め頂いて、本当に嬉しいです。今後とも、どうぞよろしくお願いします。
田中さん、はじめまして。
「るいネット」は新たなコミュニティ作りをめざす貴重なサイトのように思いますので、このHPの「おすすめWEBサイト」に掲載させて頂きました。ご紹介ありがとうございます。
初めまして、こんにちは。もしかしたら、この場(談話室)に投稿していい内容かどうか分かりませんが、須長さんのメールアドレスがどこを探しても分かりませんので、こうして掲示板に書き込みをさせていただきます。
もし、場違いであれば削除してください。
私は、るいネットの渉外担当の田中と申します。
“るいネット”は、「厳選○サイト」〜みんなで作る検索サ
イト〜を中心に、本当に良いものを自分たちの手で作り上げ
ていくことを目的とした協働サイトです。
→ http://www.rui.jp
このたびは、上述の「厳選○サイト」にて、貴サイトが推薦
されており、当方で拝見した上で、厳選サイトのひとつとし
て、登載させていただきました。
この、「みんなで作る検索サイト」を謳う「厳選○サイト」
では、それぞれのサイトに、読者による「感想投稿」が寄せ
られております。貴サイトへも、何名かからの感想投稿が入
っております。是非一度、ご覧になっていただけたらと存じ
ます。
→ 厳選○サイト(みんなで作る検索サイト) に入って、
ページの上部にて、キーワード検索して頂けます。サイト名
「環境消費税」で部分検索出来ます。
インターネットは、新たな時代を拓くものとして各方面から
大きな期待を集めていますが、現状はどのサイトとも「情報
の洪水」の中に埋没してしまっています。
しかし、「みんなが探しているものは、「みんな」が一番よ
く知っているはず。」るいネットはそういった考えから、み
んなで協働して、最良の検索サイトを作って行きたいと考え
ております。
このサイトに集うみなさまにも、るいネットをご覧いただき、21世紀の主役で
あり人類の財産でもある人のつながりと情報の共有にご参加
頂けたら、るいネットとしてそれほど嬉しいことはございま
せん。
推薦者・感想投稿を寄せて頂いた読者の方へのお返事や、ご
自身のHPへの自己評価投稿は、「新規投稿」のボタンからご
投稿頂けます。また、サイトを実際に作られている管理人さ
んのご視点から、他サイトへの感想投稿、他にも、社会につ
いて活発に意見交換がされております会議室へのご投稿など、
お時間の許す時にでも是非お越しいただけたら幸いに存じま
す。(新しく投稿して頂くためには、ID登録が必要です。
公私ともに大変お忙しいのではないかと拝察いたしますが、
お時間の許す際にでも、是非一度、‘るいネット’を見にい
らして下さい。
お待ちしております。
“るいネット”渉外担当:田中道世
E-mail network@rui.ne.jp
須長さん、こんにちは
算定期間と集計単位についてプリントアウトして読ましていただきました。
有り難うございます。
せかせてしまったようで失礼しました。
「そこで、納税者の選択により、企業の原価集計単位毎に区分した初用材割合を用いることができるようにすることが現実的であろう。」
と言う考え方は非常に合理的なように思えます。
算定期間については、課税期間を短縮すると、その期間毎に申告書を提出しなければならなくなり、(それほど大したことではないかもしれませんが)中小企業にとっては負担になることもあるかと思います。算定期間と課税期間を別にして、初用材割合の算定には3ヶ月の期間を使い、課税期間は1年というような例外措置があっても良いような気もします。
ところで、炭素税は比較的広く知られてきて、欧州での導入例もあり日本での導入も可能かな?と思えるようになりましたが、環境消費税についてはまだまだ知らない人も多いようです。最近環境NGOの方とも少し面識ができたので、そちらでも宣伝しようと思っています。
きみお
きみおさん、お久しぶりです。
ご指摘の点、細かい話どころか大変重要な論点ですので気になっておりました。現時点の私の考え方を左の「補論」のなかの「初用材割合の算定期間・集計単位について」に背中を押されるかたちでアップしましたので、どうぞご覧下さい。昨日までグレーのフォントでクリックしても内容が表示されない個所です。
また、ご照会いただいた影響評価レポートはかなり積極的な評価になっていて環境税を考える上で有益と思います。このHPの読者の皆さんもぜひご覧になることをお勧めします。(カット&ペーストでURL入力してください)。
ありがとうございました。
須長さん、こんにちは
ご無沙汰しています。
以前色々教えていただいたきみおです。最近炭素税の勉強をしており、改めて環境消費税の長所を認識しています。(例えば国境税調整)
さて、細かい話で恐縮ですが。
環境消費税も現行消費税と同様事業者毎に申告納付すると思います。すると、初用材割合は一つの事業者の全ての製品に対して同一となります。例えば、ある事業者が分けて計算すれば初用材割合が0%と100%の2種類の製品を作っている場合でも、この2種類の製品が販売される場合の初用材割合は平均的な一つの割合(例えば50%)となります。
まあ、それでも良いと言えばよいのですが、エコラベルとしての価値を考えると、分けてあった方がベターかと思います。提案されている環境消費税では、仕入れ税額控除の対象になるのは製造原価項目に限られ販管費項目は含まれないかと思います。ですので、工場ごと(製品ごとはかなり難しいかもしれませんが)の計算が現行消費税より非常に容易になると思われます。(例えば本社管理部門の経費を工場に按分するような手間は不要になると思います。)すると工場ごとの初用材割合を使って環境消費税の計算をすることを認めることも可能かなと思いますが、どうでしょうか?
話は違いますが、ドイツで行われた環境税制改革の影響をドイツ経済研究所(ドイツの6大研究所の一つ)が分析し、その結果を公表しました。日本の方にも読んでほしいと思いこれを日本語に訳したのですが、訳文が以下で読めます。
http://www.nifty.ne.jp/forum/fenv/topics/20010709_sorsys_tax.htm
もしよろしかったら一度目を通してみてください。
きみお(原田 公夫)
はじめまして。財経詳報社編集部の清水と申します。
経済・税務・会計関係の書籍・雑誌を発行しております。
私は、一般経済誌(「旬刊 財経詳報」)を担当しております。
環境税について解説論文をご執筆して頂ける方を探していたところ、このページに来ました。
是非、先生のお話を伺いたく、ご連絡先をご教示頂ければ幸甚です。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
pls inform me of your names/institution in japanese as my son may use your articles in his summer homework, subjected tax. thank you in advance.
須長さんへ。
どうもありがとうございました。
いろいろと、参考にさせていただきます。
土井さん、はじめまして。
このようなご質問はよくこの掲示板に書き込まれますので、このページ末尾の過去記事リストをクリックされると参考になるものがあると思います。また、環境消費税のメリットについては「環境消費税の効能」に書きました。
ところで、環境税の長所・短所を考える際には私達の社会をどのような方向に進めようとするのか、そしてそれぞれの社会はどのような環境上の帰結をもたらすのかの視点を欠かせません。「環境消費税の効能」→「地球温暖化の防止効果」の下段で紹介した報告書はそのような視点から書かれており、ぜひお読み頂きたいと思います。私達は環境税を採用する・しないについて多くの自由度を持っているわけではないように思います。
なお、環境税はその組立て方により長所・短所の現れ方が異なります。炭素税を例にとって考えるだけでなく、環境消費税やグリーン化自動車税なども素材としてそれぞれの環境税のメリット・デメリットをお考えになってはいかがでしょう?
初めまして。土井八郎ともうします。
実は、今、学校で環境税のメリットとデメリットを調べているのですが・・・・・。もしよろしければ、どんなメリット、デメリットがあるのかどなたか、教えてくれませんか?宜しくお願いしますm(__)m
このHPでも参考文献を掲げています。「環境政策の手段」の見出しをクリックしてみてください。他の章にも機にふれ記しました。
はじめまして、私は現在環境税について勉強しようとしている学生です。そこで、何かいい参考文献、資料などを知っていらっしゃる方がいましたら、ぜひ教えてもらいたいと思い、投稿してみました。勝手な理由で申し訳ありませんが、もしよかったらよろしくお願いします。
須長さん、どうもありがとうございます。今度、学校で「環境税」の支持派としてディベートをやるので参考にさせていただきます。
このページを初めて見つけました。
自分はいつも環境税を唱えています、こんな立派なページがあるなんて感激です。
当然大賛成です、政治家や行政の怠慢に腹を立てています、今が環境消費税のチャンスです、絶対これしかないと思います、馬鹿ばっかしで大変でしょうが頑張って下さい。
「環境税とは何か?」について考えてみました。
私達人間は二つのシステムの中で生きています。
自然が提供してきた生命活動の基盤とそのうえで育くまれてきた生命活動が織り成すエコロジカルな自然生命システム、それと人間自身が創ってきた経済社会システムです。つい最近まで、人間は経済社会システムが自然生命システムに影響を与えるなどと考えたことがありませんでした。経済活動は大きければ大きいほどよく、そうすれば人間はハッピーになれるというわけです。
ところが、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が人間活動が地球温暖化の原因であることを公式に認めたことに代表されるように、経済社会システムのあり方・その活動水準は自然生命システムと無関係ではないということがはっきり認識されるようになってきました。それどころか、改めて見廻してみると、フロン、ダイオキシン、酸性雨、農薬、干潟の埋立て、廃棄物の山など、人間の経済社会活動が自然生命システムの主要な破壊者であることがよく見えてきました。「宇宙船地球号」という発想はこのような認識をよく示しています。
それでは自然生命システムを維持保全回復するような経済社会システムのあり方はないものだろうかを考えなければなりません。そこで経済社会システムのしくみに改めて光があてられました。いまでは地球上のほとんどの国で商品やサービスが市場を通じて取引されています。この市場経済社会システムではその駆動エンジンが「価格」にあることが着目され、同時に人間の経済的動機付けの重要性に注意が向けられました。これまでの経済社会システムには自然生命システムに悪い影響を大きく与えるものの価格を高く、低ければその価格を安くするような仕組みが欠けていることが分かりました。
このような仕組みは市場経済システムが自発的にそのなかに組み込んでくるような仕組みでないこともはっきりしています。では価格に影響を与えるそのような仕組みはどうすればこの経済社会システムに組込めるでしょうか?その代表は租税です。そのような効果をめざして課される租税が環境税であるということができるでしょう。
環境税は経済社会システムと自然生命システムの共生を視野に入れながら経済社会システムに欠けているものを補おうとしている点で、社会共通の費用を賄うためとはいいながら自然生命システムを必ずしも正視していないこれまでの租税とは異なります。人間も自然生命システムの一部であり、これを永久に乱しつづけることはできないわけですから、環境税は伝統的な租税観の再考を迫るものともいえるでしょう。
ホームページを見せていただいたのですが、難しくてよくわかりません。もしよければ、どなたか、「環境税とは何か?」「環境税を導入することでどんな利点があるのか」「環境税の導入に反対する理由にはどんなものがあるか」など説明していただけませんか?
はじめまして.
魔法リサーチ(株)では今年の後半期の経済状況をどう展望されているかネチズンを対象にしてアンケートを実施することしなりました。不確実な景気動向の中,非難と楽観が混在されているだけ、ネチズンの応答を通じて実質的な経済状況の分析と結果をリアルタイムでご覧になれます。
多くの参加とよい意見をお願い申し上げます。
どうもありがとうございました。
主管 :魔法リサーチ(株)
設問期間:2001年6月8日〜6月11日(4日間)
参与する: http://jpn.mabub.com:8080/rsecnm/jp/research.jsp?ct=27-5-21-165208-1-2-2
..
きみおさん、正鵠を射るご指摘、ありがとうございます。
年末調整は専ら源泉徴収義務者である雇用主の負担になっているため、企業等の雇用主側から、毎月誰かしらの年末調整を行うことが過大な負担となるので反対だという声が上がるかも知れません。ただ、これも給与計算プログラムの対応により、年間にわたり作業が平準化されるわけですから、年末が慌しくなくなり、かえって具合がいいと考える人がいても不思議ではありれませんね。
「消費税相当分の支給」という考え方は、徴収事務の複雑化抑制、納税者の事務負担ばかりでなく、再生材割合の高い商品を購入するインセンティブを与える点からも合理的な考え方のように思います。実際の環境消費税支払額より多く支給を受ける人と少なく支給を受ける人が現れることになり、いわば「益税」のようなものが発生しますが、これは現行消費税の簡易課税における益税と比べれば遥かに少額レベルで収まるでしょう。インセンティブの面から見たとき、課税時と還付時では実額に基づくことが逆方向の働きをするであろうことは興味深いですね。
上の二つの件での私の記述は、納税者側あるいは還付を受ける側に納税者としての義務と権利の意識を明確に持って頂くために自己申告という点を強調するかたちになっていますが、実際の制度としてはトータルな運用コストも考慮して現実的な方法を採るべきだと思っています。
法人が納付する源泉控除額の計算基礎は企業の課税所得であることに変わりないというご指摘は鋭く、かつ、おっしゃるとおりです。どのように課税所得を計算するかについては思案中ですが、一応の方向として、キャッシュフローをベースとした課税所得算定が納税者側からみて合理的であり、また、企業間の会計処理の違いを最小限に抑える方法ではないかと考えております。しかしその内容は、おそらく、支出税とは異なったものにならざるを得ないでしょう。詳しくはいずれ、HP本文中に載せたいと思います。
この談話室の過去の発言を見ていましたら、
>税による影響は劇的であり、循環型社会は素晴らしいが、移行課程に発生する大量の失業者はどうケアするのか。<
という意見がありましたが、「環境税制改革」(ドイツ語なので読みたい方は少ないと思いますのでとりあえずタイトルだけにします)という本に環境税の労働市場へ与える影響について書かれております。そこで種々の研究所の研究結果がまとめてありますが、大方の意見では雇用が増えると予想しているようです。もちろんどのような環境税を想定しているかやその税収の使い方はどのようであるかとの前提によって結果は違いますが。
ドイツで行われた環境税制改革(エネルギー税の増税・導入と、その税収による年金保険料の引き下げ)については、ドイツの6大経済研究所の一つRWIが6年間にわたり年間7万5千人雇用が増えると試算しております。
きみお
須長さん、丁寧なコメントありがとうございます。
所得税の課税期間を例えば誕生月を基準にするというご意見は目から鱗でした。確定申告期の混雑を見るたびにどうにかならないかなと思っていました。税法の改正が適用になるのも一律ではなくなりますので、先月申告した友人と違う税率が適用されるという奇妙な状況も発生しますが、これは法人では当然ですので、慣れの問題なのでしょう。保険が満期になって配偶者に一時所得があったときに何時から扶養を抜けるのかとか、技術的な問題は多々あると思いますが、やれば出来るかなと思います。
年末調整を廃止するという意見はどこか別の所でも読んだ気がします。しかし、給与所得者全員に確定申告をさせるというのは、ちょっと難しいのではないでしょうか?現在の制度でとりあえず機能していますので、それを変える積極的な論拠が見あたりません。
環境消費税に話が戻ります。誤解を招くような表現をしてしまいましたが、還付申告で問題にしたかったのは、税務署が混雑するという税務署側の問題よりも主に還付申告をする納税者側の問題です。環境消費税の還付申告をするのは、低所得者層でそれには年金生活者や一人暮らしのご老人etc.が含まれるかと思います。この様な人たちに還付申告を強要することは、個人的には非常に難しいと思います。それよりは、申告なしに所得等の条件に応じて一律に決まった額だけ支給するというような方法の方が現実的なような気がします。申告により既に納付した分を還付するとすると、還付を受けることが分かっている消費者には、再生材割合の高い商品を購入する魅力が少なくなります。
>「節税はリサイクル品で」と呼びかけることは可能<とのご指摘は、現行の消費税に対して大きな長所であると思います。その意味からも消費税相当分の支給というような方法は検討の価値があるかと思います。
長くなってしまいましたが、最後に既存税制との調整について一言。正直に言って勉強不足でこの部分は良く理解できませんでした。法人税は個人所得税の前払い的性格を有する、と聞いたことがあるような気がしますが、一本化できればそれはそれでいいかな、という程度の感想しかありません(すいません)。一つ気になったのは、>企業会計が税法の桎梏から解放され健全化する<との意見です。企業が源泉徴収するる個人所得税は企業の利益を基準に計算されるのだと思いますが、すると結局その利益をどのように計算するかという問題になりませんか。利益をもとに課税される源泉徴収税額が、企業が選択する会計方法によって異なってはやはりおかしいと思うので、結局税法が課税所得の計算方法を規定すると言うことになるかと思いますがどうでしょう?
きみお
<<<<<<<<itsDog!!>>>>>>>>
Have nice day!! Good Luck<img src=http://a676.g.akamai.net/f/676/987/12h/lygo.com/ly/dg/music_dog.gif>
きみおさん、熱意をもって読んで頂きとても嬉しく思います。また、ドイツの状況をお寄せいただきありがとうございます。
ところで、法人税廃止の部分は法人税と所得税とが絡み合っていて、しかも、環境消費税との結びつきに論理的必然性がないものですから、確かに分かりづらいと思います。しかし、環境消費税を提案する以上、その税収を何に充てるのかという議論を避けてとおれませんので、唐突感も省みず法人税廃止を提案したのがこの部分の由来です。ドイツのように社会保険料の引下げ財源に充てるというのも方法ですが、環境消費税は税収規模が大きいので、基幹税の抜本改革に向けることができるのではないかと考えたのです。
しかし、「ベンチャー育成型・株式市場活性型税制を考える」を書きながら、今では、法人税制の抜本改革をやらないと日本は立ち直れないのではないかという感を深くしています。経済のグローバル化のなかで、近い将来、法人税をめぐる国際的租税競争の第二波が押し寄せてくるでしょう。雇用喪失を上回る雇用創出環境を税制面と金融面から今すぐ後押しするシステムが必要と思います。
逆進性解消のための還付申告についてご指摘を頂きましたが、現状では、おっしゃるとおり税務署が混雑し、還付請求される方たちに十分サービスできない心配があります。今でも、税務署は個人の確定申告の時期には大変混雑しおおわらわです。しかし、これも工夫次第で解決できるのではないかと思います。
個人の所得税の課税期間は、死亡や出国などの場合を除いて、一律に1月1日から12月31日となっています。これを、例えば、各個人の誕生日が属する月の末日に終わる一年間をもってその人の所得税の課税期間とし、その後3.5ヶ月以内に申告する方法に変えれば、かえって税務署は混まなくなる筈です。暦年の課税期間を維持する最大の理由の一つは、給与所得者の申告に代えて雇用主が年末調整を行っていることかもしれません。戦後我国では自主申告制度をもって所得税制の根幹としたわけですが、年末調整により、申告の努力をしなくとも何となく国との課税関係が済んでしまっており、国民を税制から遠ざけるという副作用が目立ちます。これはもう止めるときかもしれません。申告期限を分散すれば、税務調査もしやすくなります。税務署に来られない人たちには税務署から訪問サービスする余力も生まれるのではないでしょうか。歓迎される税務署になって欲しいものです。
学生さん、過去の記事リスト1(1999年05月19日07時48分58秒 〜 2000年09月14日23時58分43秒)をご覧下さい。
ホームページでの環境消費税の主張を大変興味深く読ませていただきました。ドイツに長く住んでいたときに環境に関心を持つようになりました。税金とは全く関係のないことをやっていましたが、帰国後税金関係の仕事をするようになったので、折に触れて環境税について学んでいます。
ドイツでは前回の選挙で政権交代が実現しました。環境保護を訴える同盟90/緑の党が政権に参加したことにより、不満は多く残るものの一昨年に環境税制改革が始まりました。昨年後半は原油価格の高騰により環境税に対する野党等の批判が高まりましたが、改革は何とか第2段階に入ました。このとき導入或いは増税されたのはガソリンや電気に対する税であり、いわゆるエネルギー税です。日本で主に議論されるCO2税と同類のものと言えましょう。ホームページでご提案の環境消費税は、この様なエネルギー税またはCO2税に比べてより良いものと考えます。エネルギーの消費を割高にして、押さえるという点は同じですが、何よりもリサイクルを促進するという効果は素晴らしいと思います。ホームページで知ってから、僕も機会があると環境消費税の話をさせていただいていますが、もっともっと広く議論されることを望んでおります。
読んでいて僕の理解の能力を超える部分も結構あったのですが(特に法人税の廃止等)、ここで疑問に思ったことを一つだけ質問させてください。それはいわゆる弱者対策です。日本に消費税が導入されたときの主な反対意見はその逆進性であったと聞いております。環境消費税に関してもこれは大きな問題になるかと思います(いわゆる弱者に対して負担が大きいという点はエネルギー税でも同じですが)。逆進性の緩和は還付でと言うご提案は、理論的には当然だと思うのですが、実際には易しいものではないと思います。還付には申告が前提となると思いますが、いわゆる社会的弱者の方に申告させるというのは難しいのではないでしょうか?現在でさえ確定申告期には税務署が非常に混雑しており、その上更に消費税の還付申告が大量に発生するとなると税務署側の対応も大変だと思います。還付という方法は、理論的には正論だと思いますし、重要な選択肢だと思いまが、環境消費税の税収でその対策をすることについてはどう思われますか?ちなみにドイツでは環境税の税収が主に年金保険料の値下げの財源に使われています。
いわゆるピグー税ではないとの主張ですが、外部費用の内部化と言う考え方(環境コストを考慮して価格を決定すること)は、汚染者負担の原則にも通じ非常に重要であると考えます。環境税の導入は、環境政策の大きな柱として不可避なものであると思います。日本では道遠しの感がありますが、少しでも実現の方向に動くことを念じております。
素晴らしいホームページをありがとうございました。
きみお(原田 公夫)
環境税導入により発生するデメリット(問題点)を2,3点をしえてください。
Rosariaさん、
環境メッセ21
http://www.idea-de.com/eco21/
や
EcoSearch
http://www.eco-search.net/
のEcoExpoは
環境博に似ているように思いますが。
でも環境税については殆んど扱っていませんね。
Kon-nichiwa! Kotiradewa Kankyo mondai ni kan suru hakurankai wa yatte imasenka???
Rosaria Ayumi Kawai
(ryugakusei)
既存税制との調整のなかの「ベンチャー育成型所得税制を考える」のタイトルを改め、「ベンチャー育成型・株式市場活性型税制を考える」としてアップデートしました。どうぞご覧下さい。
イトniss さん、日本語がしっかりしているので感心しました。前回「得」を「特」と書いたのがお恥ずかしいです。
ところで、環境消費税のメリットについてはこのHPの「環境消費税の効能」をご覧ください。また、デメリットについては「環境政策の手段」のなかの「炭素税の問題点」、それから、この談話室の一番下の「過去の記事リスト」をクリックしてみのるさん、とおるさん、松本しんすけさん、武田慶さんとのやりとりをご覧下さい。ことばが難しかったらその部分を教えて頂けますか?
須長周一さん、ありがとうございました。
ところで、僕の友達も本などで環境税について、調べてるのですが、今一歩、うまくまとまりません。環境税を導入したときの、メリット、デメリットを考えているのですが、税金の仕組みについて、あまりかかわらない、僕らにとっては、とても、頭を使わなければなりません。
須長周一さん、もしよろしければ、導入したときの、メリット、デメリットについて、わかりやすく、いや、ヒントだけでも、教えていただけないでしょうか。
イトnissさん、こんにちは。こんなことを考えてみましょう。
@古紙から作ったノート(古紙ノートと呼びましょう)が105円で、木からパルプをとって初めてできた紙から作ったノート(バージン・ノートと呼びましょう)が94円だったら、イトnissさんはどちらを買いますか?バージン・ノートを買ってしまいますよね。
Aところが、古紙ノートが100円で、バージン・ノートが110円だったら、こんどはどちらを買いますか?古紙ノートを買う方が特ですね。
今は古紙からノートを作る方が高くつくので値段が高くなってしまいます。会社は無理して古紙ノートの値段を安くしようとするともうけが減ってしまうので、あまり古紙ノートを作ろうとしません。ところが、環境消費税をかけることにすると古紙ノートの方を安くできたりします。それは、バージン・ノートには沢山環境消費税をかけ、古紙ノートにはあまりかけないからです。上のAの例では古紙ノートには環境消費税ゼロ、バージン・ノートには環境消費税20円をかけた計算になります。
このように環境税は一人一人が自分に特になるように買い物をすると知らず知らずのうちに環境にいい方を選ぶようなしくみを作れるのです。
税金の話は大人でも難しいと思っている人が多いんです。少し勉強すれば大人に税金のことを教えられるようになりますよ。がんばってね。分かりにくいところは尋ねてくださいね。
こんにちは、僕は、中学校一年生です。うちの学校の先輩がこの間、全国ディベート大会にでました。そして今度は、僕らも出ようと思ったのですが、今回のこのテーマ「環境税」は、とても内容が難しく、がんばって、勉強しております。
kobepinkyさん、はじめまして。
中学生の全国ディベート大会というのがあったのですか。
「環境税」をテーマにするとは日本の国会より進んでいますね。相手の主張の弱点をついて環境税を潰しディベートで勝とうとする戦術だけでなく、こうしたらその弱点をなくしたりプラスに変えたりできるという主張に高配点をあげたいですね。肯定は否定より10倍難しいと思います。
会社でもああだからできない、こうだから無理だといっているだけの人は評価されません。こういう問題があるけれど、こうすればいいんじゃないか、この方法をとれば実現できるのではないかと熱意をもって主張する人が予算や皆の協力を引き出していきます。そういう中学生が増えていくきっかけになればいいと思います。
はじめまして、中学校の教師をしています。今年の中学生の全国ディベート大会のテーマが「環境税」になったので、検索でチェックしました。これから多くの中学生が勉強することになると思います。よろしくお願いします。
DPさん、環境税あるいは環境消費税はこうすれば実現できるという前向きなコメントをお聞きしたいですね。
「影響」と「役割」は違います。影響はいいものも悪いものもあるし、意図せざるものもあります。
私は経済学、財政学を批判的に肯定しています。全肯定しているわけではありません。「今の財政学の考え方」の税制に対する基本はご存知の通り、中立、公平、簡素です。このうち、公平に関しては、定義上の問題はあるとはいえ、税制に限らず民主主義国家では冒されざる原則でしょう。中立は必要ないというご意見でしたが、中立が大きくおかされると、産業という無機物を見ている分にはそれでも構わないように見えるかもしれませんが、産業は生きている人で構成されています。つまり、中立を大きく犯すと、一時的にせよ、人間間の不公平を生む可能性が十分あります。
経済学の問題は、一般理論の顔つきをしている所にあると考えています。仮定の置き方、当てはめ方によって結論は大きく変わってしまいます。例えば、「機能・・・高まるであろう」という仮定も、再生紙のような財ならわかりますが、そもそも他の財一般で「機能・・・同程度」のものなどあり得るでしょうか。もしも、同程度のものが存在しない場合はどうなるのでしょうか。
また、経済学の価値判断の基本は「金」です。ピグー税をはじめ、裏を返せばお金を払えば地球を汚してもいいという仕組みに問題はないのでしょうか。そしてよくいわれるように均衡は社会的最適を意味しません。そのような意味も含めて「限定されている」といいたかったのです。
また、税制というのは理論上は完璧に見えても、運用すると抜け道や欠陥が多く出てくるものです。税制が多岐に渡っているのもそのためです。(整理すべきこともたくさんありますが。)
環境税は積極的に推進されるべきだと思います。ただし、制度が人を変えるのではなく、人が制度を変えるのだということを常に念頭に入れていてほしいと思います。
追伸:言葉って難しいものですね。今までの発言ももう少し推敲すれば良かったなと思います。
MOTTOさん、環境消費税とISOの特質を比べると連携が見えてくるような気がします。
@環境消費税は消費者の個人参加が主体、ISOは企業や団体の組織参加が主体。両面からの取り組みは重要。
A環境消費税は商品素材の「来し方」に着目。他方、ISOはその環境目標に再生利用可能な製品材料の利用度向上を掲げることにより、商品素材の「行方」に配慮できる。この両面からの取組みも循環型社会にとり重要。
B環境消費税は再生材の金額割合が決定因、ISOは物量割合で環境目標を掲げられる。この面でISOでは木目細かい対応が可能。
C環境目標に事業所ごとの再生材割合向上を掲げると、環境消費税との直接連携ができる。
とりあえず、こんなことを考えてみました。ISO14000S取得企業の価格表示ラベルにリサイクルへの取組みに関する環境目標を印刷しておくと、消費者の認知が高まるでしょうね。
DPさん、「税による影響は劇的であり」、同時に「税の果たす役割というのは経済学が想定しているほど大きくない」とは、相反することを意味しているようですが?
また、このHPには「今の財政学の考え方からは到底容認できないような」+「誤った考え方」が含まれていると述べられたその立脚点は、一旦財政学なり経済学を肯定したところにあった筈ですが、それと昨日の論点はかなり異なるように思われます。もし、経済学が税制デザインにおいて果たす役割は限定されているというお考えであれば、私も同感です。
しかし、機能・デザイン・耐久性・安全性・使い安さ等々が同程度とみなされる商品をとったとき、再生材割合の高い商品が低い商品より安い場合には、前者が後者より高価である状況と比較して、前者が選好される期待値が高まるであろう、という命題は特に経済学を持ち出さなくても妥当する場面が多いと考えることはできるでしょう。再生紙の方がバージン紙より高いというような状況は、この程度の命題がほぼ妥当しさえすれば環境消費税がかなり変えていけるのではないかというのが発想の原点です。西友の経営にたずさわっておられた坂本春生さんが商品価格の重要性を指摘されたこともあります。
「税はどうしても脱税や節税に意識を振り向けがち」であるのは確かですが、環境消費税の場合には税の安い商品を選びさえすれば(特にタックス・プラニングをしなくとも)リサイクルにつながっていく点が既存の税と全く異なっています。また、買い物をするときは環境消費税を意識せざるを得ませんから、人々がその商品の再生材利用度を意識することになります。DPさんのように既存の制度を前提として悲観論に陥る必要はないでしょう。「日本人の現状認識の欠如や危機意識のなさ」については既存の制度によって産み出されている面も無視できないような気がします。
MOTTOさん、はじめまして。
ISO14000シリーズについては「農林水産業と経済的手段」のところで考えるという、かなり変わった入り方をしたので、未だ返答の用意がありません。恐れ入りますが、暫く考えさせてください。
現状がいいとは思いません。ただ、税の果たす役割というのは経済学が想定しているほど(経済学部出身者が言うのもなんですが)、大きくないというのが実感です。(不要という意味ではありません。)前々回の書き込みで「誤った考え方」という表現したのもそこが原因です。税はどうしても脱税や節税に意識を振り向けがちだし、税だけでなく制度一般が人々の意識を積極的に変えるということはまずありません。環境でも安全保障でもその他いろいろなことでも日本人の現状認識の欠如や危機意識のなさが最大のガンだと私は思います。
私ども企業にいるものにとりまして、環境ということに関しましては、ISO14001の取得ということがもっとも関心の高いところであります。この観点からいたしまして、環境消費税とISO14001との連携とか関連の考え方はどのようなものが正当と考えられますでしょうか。
DPさん、書き込みありがとうございます。再びコメントさせていただきます。
1、現在の税制が資源多消費型の産業構造を進める方向に干渉している点が問題なのではないでしょうか。また、移行過程において大量に失業者が発生するという前提でお考えのようですが、この点はプラス要因マイナス要因の双方があり、マイナス要因が圧倒的だという結論は得られていないのが現状でしょう(例えば、OECD,Environmental Policies and Employment,1997)。「無駄な公共投資を環境に振り向けた方が」いいのではないかということですが、この点については賛成します。しかし、税も必要です。
2、このHPでは環境消費税を地方税として構成することは提唱していません。この点は誤解です。越境購買の問題が大きく、地方税としての環境消費税には無理があります。税の帰属地問題を新たに発生させるものではありません。
3、「輸入品の再生材割合」の算定にかかる制度的問題点のご指摘は慧眼と拝察いたします。建設的な提言を期待します。国境をこえる租税回避の問題に対処するには移転価格税制に関すると同様、徴税当局の共助関係の確立が必要となるでしょう。
4、物価の問題は既にあり、物価・労働コストの安い国で作る方向にどんどん進んでいっています。しかし、環境消費税にそれを食いとめる作用を望むのは無茶です。しかし、環境消費税は物価が同等の場合には再生材割合の高い商品の価格を相対的に安くする作用をするでしょう。
DPさんのコメントからは現状が一番いいというような印象を受けますが、行政担当者のお立場からすると、いろいろな制約があるのでしょうね。
馬鹿にしているとかそんなつもりはなかったのですが、そのように聞こえたのなら申し訳御座いません。そしてこちらの誤解点についても謝罪致します。私の言いたかったのは、議論するのは大事ですが、様々な生活基盤を持つ国民や業界の利害関係を全く無視して議論することは純粋理論としては構いませんが、現実として導入したいのなら問題があるということです。あと、アドレスについてですが、残念ながら、昼の空き時間に勤務先で書き込んでいるので、書けません。(身分を明かせない立場なので。)
1税の中立性は古いとおっしゃられていますが、実務の面から言うと、税が産業構造に干渉するのは越権行為であり、国民合意は得られ難い。税による影響は劇的であり、循環型社会は素晴らしいが、移行課程に発生する大量の失業者はどうケアするのか。むしろ、税ではなく無駄な公共投資を環境に振り向けた方が穏やかですべての人に公平な改革ではないか。
2高齢化社会をにらんだ地方分権の流れの中で、税率にばらつきが出るような消費税は望ましくない。消費税は仕向け地原則を取っているので、税の帰属地問題に発展する。
3海外に逃げた企業が再生材割合をごまかした場合の適用税率はどうなるのだろうか。査察に入ることは無理だし、事後的に再生材割合を確認するのは難しい。輸入量が少ないので算定の割合に誤りがあっても大丈夫だし仕方がないではすまされない問題で、国内企業に不利な税率であれば、当然産業空洞化の心配があるし、国内企業に有利であれば国際問題になる。
4物価の違いも問題になる。物価の高い日本で努力して税率を低めようというインセンティブより適用税率が高くなっても物価の安い国でつくるインセンティブの方が当然強くなる。これも産業空洞化に繋がるし、その産業がたとえ再生材を使っていても、周囲の環境を害するものであれば公害の輸出と問題になりかねない。
DPさん、はじめまして。
このHPの環境税部分でなく既存税制との調整部分へのコメントは殆んど頂くことがないので歓迎しています。しかし、このHPに書かれていることに基づいてコメントを頂ければありがたいと思います。以下にDPさんの誤解点にコメントいたします。
1、このHPでは所得税の廃止は提唱していません。個人所得税に一体化する形で法人所得税を廃止することを提唱しています。これは結果的に組合方式やカーター方式に近い考え方になっています(宮島洋「租税論の展開と日本の税制」20頁、日本評論社)。
2、環境消費税は地球上で人間が持続的生存基盤を維持できるような社会をめざし、消費行動に影響を与えることによって産業構造の変換を促すことも視野にいれています。税制の中立というのは環境問題の重要性が認識されていなかった一時代前の教科書的テーゼに過ぎません。外部不経済が深刻な問題となっているときに税制中立をいっても外部不経済を温存するだけではありませんか?
3、環境消費税は付加価値税の構造を維持しています。ご存知のように付加価値税は基本的に最終消費者が負担し、生産者としての事業者は負担しません。よって、事業者間の負担の比較は無意味です。また、国境税調整により、国内事業者と国外事業者の国内での競争条件が同一になりますから環境消費税のない国に出て行っても効果はありません。
空洞化を問題にされることは大事な点です。しかし、私の実感からすると、我国で起業し事業を軌道に乗せていくことの困難さの大きさの方が目立ちます。一つは資金調達(長期・短期)面の困難、第二に、法人税と所得税の二重課税の問題が痛いと感じています(この既存税制との調整のなかの「ベンチャー育成型所得税制を考える」を是非お読み下さい)。株価維持のためばかりでなく、動脈硬化症に陥っている金融方式を直すためにも、法人税を所得税へ一体化する形での廃止が今求められています。環境消費税はそれを可能とする考え方でもあるのです。
最後に、「誤った考え方の流布に繋がりかねない」というDPさんの表現に、自ら情報を集め考えようとしているHPの読者を馬鹿にしたような響きを感じたのは私だけでしょうか?
次回のDPさんのコメントを期待したいと思います。Eメール・アドレスも書き込んで下さい。
私は大学では財政学を専攻し、現在国の税制に関わる仕事をしているものです。環境消費税の着眼点はいいと思うのですが、今の財政学の考え方からは到底容認できないような考え方が多数含まれており、インターネットという媒体の性質上、誤った考え方の流布に繋がりかねないことを危惧していくつかの指摘をさせていただきます。
1所得税を廃止し、低所得者だけに手当をすると、逆進性により、日本に最も多い中所得者のみ過大な負担を受ける
。(中所得者にも手当を出すことになれば、結局、ほぼ全国民の所得を捕捉しなければならず、所得税を課すのとかわらぬ事務負担が必要になる。)
2事業により財に頼る割合が異なるので、租税負担にばらつきが出る。これでは税制が産業構造に影響を与えてしまう。特にサービス業が優遇されてしまう。
3上記2の問題により負担が過重となる企業がこの税制の存在しない国に移転してしまい、産業が空洞化するおそれがある。
他にも、今は1%と小さいので問題にはなっていないが高い税率で消費税を地方税に設定することには問題があるなど問題はつきませんが、今回はこの辺でやめにしておきます。
環境税の考え方に触れずに税制ヴィジョンを描くことがもはや不可能なことは政府税調でさえ「我国税制の現状と課題」(大蔵財務協会2000年)で認めるに至っています。谷山治雄さんのお話には環境税や既存税制の環境税化という考えが現れていないようですね。残念なことです。
すみませんが、どなたか税制経営研究所(所長谷山治雄氏)の住所をお教えいただけるとありがたいのですが。
浜田さんの「環境税先行研究1、2、3」はすごいですね!
√さんはじめ皆さんもご覧になってください。また、リンクありがとうございます。(須永でなく須長と書いて欲しいのですが)。
ところでNOX税ですが、これは岡敏弘さんが「環境政策論」(岩波テキストブックス1999年)の224頁で書かれているリスク税として考えるのがピッタシのような気がします。
私は環境消費税によって環境問題への消費者参加場面を格段に拡大できると思うのですが、ダイオキシンや環境ホルモンといった健康・生命にかかわる問題における環境消費税の無力を感じていました。
リスク税もかなり税率決定のために情報量・コスト・時間がかかるとは思いますが、既存データの利用やデータの蓄積が進めばこの面でも実用性が高まるでしょう。地域性を考慮することも可能と思われます。環境税としてリスク税と環境税消費税は車の両輪のような働きをできると思います。
√さん、意識はかなり高まってきているのにその表現手段を日本が整備していないという気がします。
ところで、「実情」についてはこのHPの「おすすめWEBサイト」のDatabase on environmental taxes in the European Union Member States, plus Norway and Switzerlandと「環境政策の手段」の参考文献のなかのOECDの出版物がいいのではないでしょうか。また、このコーナーで浜田さんが『経済セミナー』1月号に書評を書かれたと紹介してくれた諸富先生の『環境税の理論と実際』もどうでしょうか。
隅々まで読むのは大変かもしれませんがこのHPもよろしくね。
須永さん、どうもありがとうございます。
まだまだ国民の意識改革が必要ということでしょうか。
ところで、海外のすでに環境税を導入している国の、実情を知りたいのですが、調べる手段としてはどういったものがあるでしょうか?
まったくもって無知で恥ずかしいですが、アドバイスをお願いします。
√さん、はじめまして。
地球温暖化というグローバルな問題に対処するための方策として有効とされる炭素税をローカルな地方税として導入することには住民の賛成が得られないでしょう。左フレームの「環境政策の手段」のなかの「炭素税の問題点」に書きましたが、「もれ」の問題が大きすぎ有効でもないと思います。こう考えると、地方税としてのCO2排出税は日本に存在しない筈です。環境税を地方税として構成する試みが盛んになってきましたが、これは多くの困難にぶつかるものだと思います。
はじめまして。20歳の大学生です。
環境税(主にCO2排出税)について調べているのですが、
現在日本の都市で、適用しているところはあるのでしょうか?
できる限り調べたつもりなんですが、見つかりません。
どなたかご存知の方はおられないでしょうか。