[輸出入と国境税調整]

[輸出と国境税調整] 売上原価にかかる仕入環境消費税は売上にかかる納付環境消費税から控除する。輸出売上に関してはゼロ税率が適用されるから、売上が輸出のみからなる課税事業者には売上原価にかかる仕入環境消費税が全額還付されることになる。これにより、環境消費税を他国に先駆けて実施しても海外での我国製品の競争力を削ぐことは避けられる。

[輸入と国境税調整] 輸入品には保税地域からの引取時に環境消費税が課される(輸入品に関する再生材割合の算定には困難が伴うがその解決案等詳細は輸入品の再生材割合の章で検討する)。

 これにより、再生材及びそれを素材とする製品の競争力が外国為替相場、輸入品価格の変動に翻弄される状況が緩和されよう。但し、輸入再生材については、国内産再生材と同様、環境消費税は低率で課されることに注意して欲しい。この面での競争は激烈であり続けようから、静脈産業は規模の利益を一方で享受するようになることがあっても経営の効率化は常に要請されるであろう。リサイクル社会のインフラストラクチャはどうあるべきか、行政が整備すべき部分も少なくないと思われる。

 ところで、環境消費税は輸入品に関して新たな関税障壁を設けるためのものでなく、輸入品の国内における競争条件を再生材割合を異にする国産製品間と同等にするための措置である点に注意されたい。付加価値税たる環境消費税の国境税調整が貿易障壁であるとの非難はWTO設立協定の付属書1aの多角的貿易協定に含まれる内国民待遇原則からしても失当ではないだろうか。


Initially posted January 20, 1998.