[目的]

 環境消費税は消費者がより多く再生材(Recycled Material)を用いた製品を購入するよう、初用材(Virgin Material)に対する課税と再生材に対する課税を差別化し、より高率で課税する初用材及びその利用製品の価格競争力を弱め、相対的に再生材割合(後述)の高い製品の価格競争力を高めることによって、初用材から再生材への需要シフト圧力をかけるための税制である。

 環境消費税は消費者にその汚染分を厳密に測定して課そうとするものでなければ、初用材の価格に上乗せして最適資源配分達成のための価格と一致させようとするものでもない。資源を何度も繰返し使う場合よりも、一回しか使わない場合の方が高価となるという単純な価格差別化のルールによって、前章「環境消費税の根拠」で述べた閉鎖系物質循環をこの社会に実現しようとするための仕組みである。

 持続型社会構築のためにはプッシュ政策とプル政策が手を組まなくてはならない。使い捨て容器の回収を義務付ける(プッシュする)だけでは回収された容器の行き場がない。回収された容器に対する旺盛な需要を喚起(プル)することが欠かせない。環境消費税はこれを支援する。企業もまた、環境消費税制の下で、より価格(税のせ後)の安い製品を提供できるよう再生材の利用を拡大し、さらに新しい再生利用技術の開発及び採用にその命運をかけて取り組むようになるだろう。

 環境消費税はこのような再生材マーケットの量的・金額的拡大を通じて、静脈産業が経済の持続的発展のための社会的臓器として発達していくことを支援し、本格的な持続型社会に移行するための経済の仕組みを用意する。


Initially posted January 20, 1998.Revised:April 17, 2002