上で見たように、環境消費税は再生利用技術の開発・採用や設備投資のメリットを、感性や善意や理想主義に訴えなくとも、具体的な財務数値として表現する途を拓きますから、企業における起案・意思決定が容易となり、技術開発や新技術の採用、設備投資を迅速化します。
上の例では、売上先に発行する請求書には、税抜価格300円、環境消費税額14円、初用材割合20%を明記する必要があります。当社は同様の請求書を仕入先から受け取り、そこに表示されている環境消費税額を集計して仕入税額とし、当社の初用材割合の算定根拠とします。店頭で消費者が購入する商品にも環境消費税額、初用材割合が記載されます。これは信頼性の高いエコラベルとなるでしょう。
現行の消費税は同一物について所有者が換わると二重に課税する欠陥をもちますが、環境消費税にはこれがありません。リフォーム前中古住宅は初用材割合がゼロなので、環境消費税もゼロとなります。これは中古住宅市場ばかりでなく、新設住宅市場やリフォーム市場にも活気を与えるでしょう。
環境消費税が推し進めようとする資源再利用は、例えば再生アルミ缶の再溶解の消費電力がボーキサイトから電解精練によって新地金をつくる電力の約30分の1で済むように、省エネにも大きな効果があります。また、化石燃料はバージン材ですから、高い適用税率のもとで価格効果による消費抑制が期待でき、地球温暖化防止にも役立ちます。
資源再利用は都市ゴミや産業廃棄物を減らすもっとも有力な方法です。ごみが減れば焼却処分も減り、ダイオキシンの発生も減らせます。ゴミの埋め立てのため、干潟を渡り鳥や水鳥や魚や昆虫から、そして後世代から奪うこともやめられるようになるでしょう。資源再利用によって、資源に乏しい日本を資源の豊かな国に変えることも可能となります。
環境消費税は、マーケットでの新しいルールとなりますから、官による規制を最小限にとどめながら循環型社会への脱皮を永続的に進める社会のエンジンとなるものです。