鳳眼琴軫琴裏面齦托琴尾琴首
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琴について

 琴は古代中国に興り、世界最古の歴史を有する楽器であると言ってよい。 中国では、天地を創造し八卦を発明した伏羲皇帝(ふっきこうてい)が 琴を作ったとも、又、神農皇帝(しんのうこうてい)が作ったとも言われ、いずれにしても、その起原は神話時代までさかのぼる。 しかし、琴が今日の形になったのは、史実や発掘品などから推定して、今から約3100年の周代と思われる。それまでの琴は、形状も絃数もまちまちで、ある歴史書にはもと五絃であったのを、周の武王が六絃に、その子文王が更に一絃を加え、七絃にしたとある。

鳳眼琴首琴尾齦托  琴は箏や瑟とちがい、琴柱を立てない。よって、琴絃を左指でおさえ、しかるべき音程を作ってゆくのである。また、表面 には青貝で螺鈿された『徽』(き)というポジションが13箇所打たれており、その絃上を軽く触れながら弾けば、絃の倍音が得られる。また、絃は右手で弾ずるのであるが、義爪はつけない。自らの爪をやや伸ばして、それで静かに弾ずる。
 ここで琴用語として解放絃を「散音」(さんいん)、 左指で絃を押さえて得られる音を「按音」(あんいん)、 絃の倍音を「汎音」(ふぁんいん)という。この三種の音色をおりまぜながら、複雑な音楽をつくっていくのである。
  琴は非常に古くから日本に伝えられ、 奈良時代には、すでに我が国にも、名手と言われる演奏家がいた。正倉院には「金銀表紋琴」という名琴とともに、「幽蘭」(ゆうらん)という琴曲の楽譜が収められている。「幽蘭」は、儒学の創始者、孔子の作曲として有名である。平安時代には、琴は貴族のあいだでもてはやされ、源氏物語にも、しばしば琴の記述が見られる。しかし、琴はその奏法が極めて複雑で難解なため、鎌倉時代には、ほとんど絶えてしまう。しかし、江戸時代中期、明から我が国に亡命した心越(しんえつ)によって、再び琴の大ブームが起るのである。
もともと儒教と深く関わりあってきた琴は、江戸の儒学者たちに愛弾され、やがて、武士や町人にも優れた琴人が排出した。
  琴は雅楽の楽器の中で、百器の王として君臨したが、やがて雅楽から独立し「琴楽」という独特の音楽を作り上げてきた。「琴楽」は、やがて「琴学」となり、音楽理論とともに深い精神性をも発達させた。その音量 は極めて小さく、常に独奏を立前とする(稀に簫との合奏もある)。 琴は君子たるものの必須教養であり、身を正しくするための霊器である。琴楽には、演奏家という概念はなく、あくまで自娯に徹するのである。古来「左絃右書」(さげんうしょ)と言い、 左に琴、右に書物。これが、君子のステータスであった。
  近年、琴楽は再び盛んになりつつある我が国にも、中国で学んだ多くの優れた琴人が活躍し、ヨーロッパやアメリカにも琴人がいると聞く。しかし、“静”をたのしむ琴の基本精神はいつまでも忘れたくない。(菊亭英季)

追記:尚、琴には、様々な形状(楽器の形)があり、もっともオーソドックスな形は「仲尼式」(ちゅうじしき)と呼ばれ、その他「連珠式」「神農式」などがあります。
画像の琴は、その形を芭蕉の葉にかたどるところから、「蕉葉式」と呼ばれるものです。琴は大変自由で個性を尊びますので 極端に言えば、一面づつ、すべて形状が異なると言っても過言ではありません。(菊亭英季)


演奏を聴く
演奏者 :菊亭英季 氏
演奏曲目:梅花三弄(バイカサンロウ) 開指(カイシ)
演奏日時:2000年1月19日
演奏場所:菊亭英季 氏ご自宅
七絃琴 :写真掲載の楽器
録音方法:MDレコーダーにて録音
     MP3 64kbpsにて圧縮
容  量:約950KB(演奏時間約2分)
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