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♪2004年10月29日 阿佐ヶ谷Jazzストリート 宮地傑New4♪
(By スコットランド遠藤さま)



宮地傑NEW4 ライヴ・アット・ラピュタ
2004年10月29日・30日(阿佐ヶ谷ジャズストリート)


 〈29日〉
 毎年恒例のジャズイベント、「阿佐ヶ谷ジャズストリート」に昨年に引き続き出演した宮地傑率いるNEW4。今回もやはり前回同様、阿佐ヶ谷の演劇場として知られる「ラピュタ」でのライヴとなった。
 会場はラピュタ地下にある定員およそ120人前後の劇場。古い日本の民家を思わせる、板張りの劇場は落ち着いた雰囲気が漂う。このようなロケーションのなか、NEW4がどのような演奏を聞かせてくれるのかと期待は高まった。
 1stステージは定刻の18時をすこし過ぎてから始まった。イベント初日の1stステージということもあってか、お客さんは15名程だった。会場の照明がやや暗すぎるきらいはあるものの、マイナス要因をプラスに転じてしまうことができるのがNEW4の強みだ(と私は思っている)。NEW4の各メンバーは一音一音を確かめるように、あるときは優しく、あるときは力強く音を束ね、その結果アドリブが長かったように思う。セット終了後、ギターの天野丘氏と会話。「セカンドステージからが本番だから」との言葉に、期待が大きく膨らむ。1stセットのセットリストは次の通り。
 1.イン・ユア・オウン・スィート・ウェイ
 2.フォーチュン・クッキー
 3.ラ・セニョリータ・ベスティーダ・アスール
 4.ジャスト・イン・タイム

 30分程度の休憩をはさんで2ndステージの幕が開く。お客さんは40名ほどに増える。そして演奏は…天野氏の言葉通りNEW4の本領が発揮され、熱演が展開される素晴らしい内容となった。 一曲目は「ヒート・ストローク」。途中、橋本学氏の激しく熱いドラムソロが展開され、観客からは大きな拍手が贈られる。メンバーと観客のベクトルが一体となり、次の曲への期待が高まるなか、天野氏のペンによる「レジェンド・オブ・ギルティ・フィジック」が始まる。ディストーションのかかった天野氏のギターにからむ宮地傑氏のサックス、静かな「夜」を連想させながらもクールな「熱さ」を描き出すフロント二人をバックが確実にサポートする。この曲でも大きな拍手が巻き起こった。 三曲目は「オールド・アメリカン・ロード」。スローバラードで、熱くなった会場をクールダウン。エコーの利いた天野氏のギターにしばし耳を奪われる。そして4曲目は、私自身がNEW4のテーマソングと認識している大作「モロッコ」。エキゾチックな曲想に会場はただただ固唾を飲むばかりだったように見える。曲の後半で、フリーテンポからインテンポに戻り、テーマが再び奏でられると今まで以上に大きな拍手が贈られていた。ちなみにこの曲、観客に強いインパクトを与えていたようで、このセット終了後、会場に設けられたCD即売所では「モロッコの入っているCD下さい」という人が何人かいた。しかし残念ながら「BE WATER」にはモロッコは含まれていない。私も次にリリースされるCDには絶対に「モロッコ」を収録してほしいと切望する。 このセット最後の曲はノリのいい「ホット・スタッフ」。「モロッコ」とは違った意味で激しい演奏となるこの曲も、思わず身体が揺れてくる。橋本氏のドラムソロも実に素晴らしい。
 3rdステージの始まる頃には夜もふけはじめ、会社帰りのサラリーマンやOL、学生さん、家族連れなどで会場はごった返しの状態となる。私もそれまで陣取っていた場所から会場の一番上に移動するが、やがて間もなくそこも人で一杯になる。おそらく100名近い観客だったのではないだろうか。私同様、最初のステージから見ている方も何人かいたが。
 3rdステージの始まりはベースの池田聡氏と橋本学氏の二人による「シー・ジャム・ブルース」。ドラムンベースによる演奏の後宮地氏と天野氏が登場、そのまま一気に「アンコンシャス・デシジョン」へと流れていく様は、「動」から一瞬のうちに「静」へと転じるもので非常にスリリングだ。抑制が効きなおかつ緊張感ある演奏が、会場の雰囲気と同化したかと思えば異化するような、そんな不思議な感覚に捕らわれた。
 二曲目は「ブランニュー・ライフ」。続く三曲目は「ボサ・ノヴァのやつ」。この二曲は「ジャズの再構築」を目的としているNEW4の中でも、比較的オーソドックスな印象を受けるバラード。宮地氏のサックスが奏でる繊細なメロディーは人の五感に染み入ってくる素晴らしいものだと常々感じているが、この日の演奏もまさにそうだった。テクニックだけでない「何か」を彼のサックスを聞くたびに感じる。
 この日のステージの最後を飾るのは、「フラグメンツ・オブ・メモリーズ」。再びNEW4の、NEW4たる所以とも言うべき激しい演奏が展開される。天野氏の激しいギターと暴れまくる宮地氏のサックス。そしてバックのベースとドラムも、それに負けじとテンポをキープすると同時にフロントの二人を激しく煽る。延々と続く演奏に観客は完全に虜となり、曲が終わると同時に激しい拍手が贈られた。そしてその拍手はそのままアンコールへとなだれ込む。 ちょっとはにかみながら客席に挨拶した宮地氏が紹介したアンコールナンバーは「フォーチュン・クッキー」。アルバム「BE WATER」のライナーによれば、「フォーチュン・クッキー」とはアメリカの中華料理店でおまけとしてくれる、くじが入った小さなクッキーとの事だが、この曲はこの日のライヴに足を運んでくれた観客すべての人に捧げられたNEW4からの感謝の意にほかならないだろう。 この日のNEW4は、私が見てきた数少ないライヴのなかでも最高のものだった。宮地氏はじめ、NEW4のメンバーに「ありがとう」というフォーチュン・クッキーを贈りたい。

 なお、各セットのMCを通じて宮地氏は、日本のジャズシーンを盛り上げるために、阿佐ヶ谷はじめ各地のジャズスポットで行われているライヴに、是非足を運んで欲しいと観客に訴えていた。このイベントで初めてNEW4に接した方も多くいたと思うが、今後さらにNEW4のライヴに触れて、彼らの魅力にはまることを願っている。