〈ゆで卵を失敗しない科学〉

『模倣と創造』科学・教育における研究の作法 板倉聖宣著(仮説社)から

02、12、5  02、12、28

03、6、15版

皆さんはゆで卵を作ったことがありますか?(ある、ない)

皆さんはゆで卵を作ろうとして、殻が割れてしまって、中から白身が出たりして固まり、失敗してしまったという経験はありませんか?あるいはそういう失敗をみたことがありますか?(ある、ない)








質問 このような、<割れたゆで卵>を作らない方法はないものでしょうか?

成功させるいい方法はないものでしょうか。

あなたが考える、あるいはこうすると良いという方法をみんなで話し合ってみましょう。他人から聞いた話でも大いによいです。






さまざまな説がありますが、実は多くの人がやっている方法は決定的に成功をさせる科学的な方法ではありません。普通の人は、自分の経験や人から聞いた話をもとに、ゆで卵はこうして作るものだ!という思い込みでゆで卵を作っていると言えそうです。

実は、これほどまでに実用的で身近なことなのに決定的な成功させる方法が確立されていないのが現状なのです。たいていは、塩を入れるか、水からゆでるとかさまざまなことを言いますが、誰も自信を持っているわけではないのです。

だから、こういう質問をすると「どうやるのー?」と聞いてきます。

そして、分からないと結局謎のまま、各自が勝手な方法でゆで卵を作っているわけです。

一流の科学研究とは何も難しいことを解明することではないのです。

普通の人が関心を持ちながらも、その答えが見つからない時に、科学的に証明してみせることなのです。この卵の場合でいえば、たいていの人は、考えるのを途中であきらめてしまいます。そして、酢を入れると良いとか、他人から聞いたことをアテにして、<ゆで卵>を作り続け、そして時々、白身の飛び出たゆで卵を作ってしまうのです。

そこで、このような問題を考えるにはどうしたらいいかということですが、「その原因」をつきとめていく必要があるのです。

質問

それでは、なぜ卵は割れるのでしょうか?

割れて、白身が飛び出てしまうのでしょうか?

予想

ア:卵がぶつかり合うから

イ:中身が膨張するから

ウ:殻は熱に弱いから割れる

エ:その他

 

皆さんは原因についてどう思いますか?

話し合ってみましょう。






お話

卵の中身はどうなっているのでしょうか?

実は、卵の中には、空気の入っているところがあります。そこは、卵の下の方の部分(とがった先の反対側)です。

その気体が膨張すると卵は割れて、中身が飛びだしてきます。割れたゆで卵をみると白身が中からはみ出したようなかっこうで、失敗します。

実は、割れて<中身>が出てしまう現象は、中身が熱によって膨張するために起こる現象なのです。では何が、中身を押し出すのでしょうか?一体どれくらい膨張するのでしょうか?








主に膨張するところは、その気体の部分なのです。その気体は体積が0℃〜100℃までの間にその体積が1/3以上(100/273)も膨張するのです。

卵の中の気体が卵の殻のすき間を通って、少しずつは卵の外に出ていくこともありますが、卵を熱すると、その膨張した気体の行き場がなくなり、ついには殻を破って、白身が空気と一緒に外に飛び出る結果となるのです。

 

質問

これが本当だとしたら、その原因を取り除くためにはどうしたらいいでしょうか?

考えを出し合ってみましょう。







■いい方法

卵の尻の部分に小さな穴を開けておいて、湯の中に入れてみれば、中から気体が出てくるのが観察できます。

膨張した気体が、卵の外に出て、割れるのを防いでくれます。卵料理の本には明記されているものもあります。

では、そんな穴など開けたら、逆に中身が出てしまうという心配をする人もしるかもしれないが、一つだけの穴なら、中身が出ることはありません。

空気の出口はあっても、お湯の入り口がないのです。

 

このことは、一体誰が発見したかはさだかではありませんが、昭和54年、偶然耳にしたラジオで「ある主婦がこんな工夫をしている」というのが紹介されましたが、アナウンサーは軽く聞き流してしまったために、この大発見は埋もれる結果となってしまったのです。

また1977年『卵の実験』伏見康治夫妻著にも、さりげなく書かれていたようですが気がついた人も少なかったようです。

また、この方法は、「エッグパンチ」という名前の卵の穴開け器も発売されましたが、今ではどうなっているか、

販売しているところはあるのでしょうか?

 

(実は、札幌の東急ハンズに「からむき上手」(パール金属株式会社 新潟県三条市)という商品で310円で販売していました。思わす10個購入しました。)

 

さて、卵の尻に小さな穴を開ける方法は画鋲でも虫ピンでも細い釘でもいいのです。「からむき上手」は安定して穴を開けられるので便利ですが、画鋲でも十分です。

 

こうして一つの穴が、卵が割れるのを防いでくれるのです。

もちろん、いきなり熱湯の中に入れても大丈夫なのです。

お湯の量も少なくて、蒸し卵状態でもゆで卵ができるようです。

 

エッグパンチ






こうして、卵のお尻の中心部分に、適度な穴を開ける道具です。『COOKBOOKたまご』(加藤美由紀著 柴田書店)から



実験

班の中で、この方法で試してみよう。信じる人は小さな穴を1つだけ開けてください。

用意するもの・・大きなビーカー、鍋、MY 卵のサインをするためのサインペン、ピン画鋲

 

どうでしたか?

実験の結果

 

 

気がついたことがあればメモをとっておきましょう。

出来上がったゆで卵は塩をつけて食べましょう。

火傷をしないように注意しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

ためになりましたか?お家の人に質問してみましょう。恐らく知りません。いや絶対!です。

こんなところに科学的な発見が潜んでいるのです。

簡単には教えてあげない方が考えるたのしみがあるかもしれません。

 

実験結果

残念ながら感想を書いてもらう時間がありませんでした。しかし、中1の生徒さんは大いに興味を示してくれました。

穴の開け方ですが、ピン画鋲で1mmぐらいの深さの穴を開ければ十分です。参加者は49人。1000mlのビーカーに熱湯を入れて、ガスバーナーで火をつけてやってみました。

割れたのは49個のうち、2個(1つは穴なし、1個はたぶん深く開けすぎたもの)

ですから、小さな穴を開けるという方法はかなり有効であることが分かりました。

なお、開けた穴から空気がちょぼちょぼ出てくるのにはさすが〜と思ってしまいました。

 

しかし、時間がなかったせいか、いざ殻を剥こうと思ったら、うまく剥けずに、薄皮が貼り付いてしまったものがほとんどでした。

この原因については、ゆで上がりを急冷してなかった。

水からやった方が良い?

ちょっと古くなった卵だったから?

 

COOKBOOKたまご』(加藤美由紀著 柴田書店)によれば殻が剥きにくい原因は、あまり新鮮な卵は薄皮とシロミが剥がれにくいことやゆでた後は、水で急冷すると良いと書かれていました。

 

また「からむき上手」の製造会社であるパール金属からは、次のような回答をいただきました。

 

弊社で取り扱っております「からむき上手」におきましては、参考資料などはございませんが、本製品は卵下側の丸い方に穴をあけることで、卵を茹でる際に、殻が割れることを防ぎ、卵の殻をむきやすくする製品であります。

(中略)

又、ゆでた後にすぐ冷水につけることにより、黄身の変色を防ぐとともに、熱い白身や黄身から生じる水蒸気が殻付近で冷やされて液体となり、更に、穴からも水が浸透することで、殻と白身の間に水の層ができて殻がむきやすくなるものであります。

 

しかしながら、近年、産みたての新鮮な卵が豊富に出回るようになりましたが、新鮮な卵の場合、水分を含んでありますので、本製品を用いましても、殻がむきにくいことがあります。ゆで卵の場合は、数日ほど経過させますと水分を奪われて、卵殻との間に僅かな隙間がでてきて、茹でた卵の殻がむきやすくなるようであります。

 

本製品を用いてゆで卵を作る際は、卵を冷蔵庫から取り出して常温にもどしておき、本製品で卵下側の丸い方に穴をあけ、沸騰したお湯に卵を入れて、黄身を中央にするために、卵を軽く転がしながら茹でてください。お好みの時間茹でた後は、卵をお湯の中から取り出し、すぐに冷水につけてください。冷水につける時間は、30分くらいを目安にしていただき、殻をむいてください。そのまま、冷水の中で殻をむきますと、より殻がむきやすくなります。

 

 

 

これでだいたいが解決のようです。

 

 

 

 

はみだし卵

質問 茶色い卵と白い卵があるのはなんで?(『COOKBOOKたまご』から)

予想

ア:エサのちがい

イ:鶏の品種のちがい

ウ:その他

 

 

お話

殻が茶色いか白いかは、餌や飼育法などとは関係ありません。殻に含まれている色素の量がちがうだけで、栄養価もちがいはありません。では価格は一般には茶色の卵の方が高いようですが、これには次のような理由があります。一般に茶色の卵を産む品種の鶏の方が、産卵率が低く、また身体も大きくて餌をたくさん必要としているからです。

 

質問 殻を割らずに味付け卵なんてできるの?たとえば塩味の卵

(『なぜなぜおもしろ実験室』集英社版・学習漫画 板倉聖宣 監修 から引用)

予想

ア:注射式に味のついた液体を入れる

イ:鶏に塩をたくさんたべさせると、塩味の卵ができるウ:無理である。

エ:その他

お話

卵は殻から常に呼吸しています。ですから、卵を塩水につけておくと、塩分は卵の中にも入ってしまいます。それで塩味の卵は作ることが可能です。

やり方 味付け卵作り

2個、塩70g、砂糖10g、水600cc、コンソメの素1個

これらを一度煮てから、さましてから卵を入れて、冷蔵庫で10日間置いてから、ゆで卵を作ります。この液はやや厚めのビニル袋に入れてしっかりと口をしばって冷蔵庫に寝かせます!一度やってみたいですね!

 

後書き

ずっと以前から、丸山さんが「割れないゆで卵の作り方」を知っている?

という質問をして、みんなが「教えて〜」状態でした。

僕はたまたま板倉聖宣さんの『模倣と創造』を読んでいて、偶然発見してしまいました。

また書店で、卵料理の本を見つけて読んでみるとさすが割れない方法として、穴をあける!ということが書いてある料理本を見つけました。しかし、なんでみんな知らないの?と言われてみると、それなりに割れても大して気にならないからなのでしょうか?割れる確率はそれほど高くはないのかもしれません。いずれにしてももう少し整理して楽しんでもらえるプランにしたいです。

まだ、中途半端ですが、アップしました。