木工ろくろお盆作り

以前から木工ろくろ をやってみたいと思っていましたが、 「木工ろくろ 盆作り3日コ−ス」を受講する機会があり、 木工ろくろの楽しさを知りました。初めて見た倣い式 木工ろくろ の仕組み、金属用の倣い旋盤とはまた違った簡潔な 構造で、これなら自分で手作り出来そうだと思いました。 そしてなによりも手鉋よりは安全で、誰にでも出来ると思いました。

そこで自分で出来る作り易い、安価に出来る簡単な構造 を工夫しました。チャックも本来のものは真空チャッキングでしたが、 これは高価であり手作りも難しいことから、自分流のチャッキング 方法を工夫しました。廃材を活用し改造に改造を重ねようやく実用 になるものを作りました。しかしまだまだ改善の余地があり、改造 をしながら使っているのが実態です。

木工作品例 でも分かるように、どんな形状でも大抵出来ると思って います。難しいものは、どうしたらそれが出来るか、それを考える のも又楽しみです。手鉋では素人にはとうてい出来ないものが、 簡単に、正確に同じものが出来てしまいます。倣いろくろも 手鉋も、作る楽しみは同じです。 安全で思いのままの形状、寸法のものが自由に出来ます。 手作りの安価な 倣い木工ろくろ を紹介します。 倣い木工ろくろの本体とお盆作りの工程の一例を紹介します。

今回紹介する倣い木工ろくろの全体像です。
これは、主軸にろくろ用に改造したスクロ−ルチャックが取り付け られた状態です。チャックには内径用、外径用の各種サイズの 爪が用意されています。
左に集塵用ダクト、モ−タ、無段変速機が 見えます。モ−タは200〜300ワットで十分です。
刃物台は左右のスライドと、これに対して45°(お椀のように深いもの は60°)の角度でバネにより引っ張られたスライドがあり、 これが「すり型」によりガイドされるようになっています。
面盤が取り付けられた状態です。
面盤には素材の形状、寸法により「嵌め木」を含め各種の取り付け治具があり、これにより 素材を取り付けます。ろくろでは素材の取り付けに最も苦労するところであり、 あらゆる方法を駆使して取り付け治具を工夫します。 取り付け方法により1〜2mmの薄物も簡単に挽けます。
右下にすり型が見えますが、すり型はベ−ク板でどんな 形状の物でも簡単に作れます。又形状によっては2枚に分ける 場合もあります。
最初に面盤に素材を取り付けた状態です。
取り付け方法は、形状、大きさ等により色々な方法があり、 安全な加工し易い方法で取り付けます。最初は内形の削り代を 利用して木ネジで固定することも出来ます。最初に、チャッキング 方法を念頭に加工手順を十分検討しておく必要があります。
最初の外形の荒挽きです。
大きさにより適当な回転数(400〜600rpm)を選びます。 回転数を上げて振動する場合はバランスウエイトを付けて調整します。
刃物は手鉋とは違ったろくろの構造に合ったものを工夫しており、 形状は極めてシンプルです。材質は金属用の高速度鋼 のものを削って使っていますので切れ味、耐久性は抜群です。
内形の荒挽きです。
木地の狂いを予測して削り代を残して 厚さを決め、荒挽きします。狂いの大きいものは中挽きが必要 になります。荒挽き後、1〜2ケ月更に乾燥してから仕上げ 加工をします。
刃物台全体は製品の大きさと、外挽きか内挽きか によって位置を変える必要があり、更に縦横方向の肉厚を調整する ために、すり型を左右に微調整します。
外形の仕上げ加工です。
スクロ−ルチャックで荒挽きした 内径を張って固定しています。この写真はお盆ではなく大皿の ものですが、内形、外形どちらを先に挽くかは、形状や寸法、その他 色々な条件によって決めます。挽き終わった後は回転数を落とし ペ−パ掛けをします。
内形の仕上げ加工です。
ペ−パ掛けをしてろくろ工程は終了 です。ろくろから取り外してから未だ刃物の傷が残っている場合は 更にペ−パ掛けをする必要があります。
このように倣いろくろでは 2枚のすり型により、内形、外形そして肉厚もきちんと設計通り のものが出来上がります。木地が完成すると後は漆を塗って 完成です。

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