まえおき
このページは、ラウドロック・ヘヴィロックと呼ばれるものについて、ごく簡単なガイダンス…というよりはレビュアーの思うところを述べるだけのものです。
世の中一般(というほど浸透してるとも思えないけど…)に言われるところのラウドロック・ヘヴィロックの定義と比べると違っているかもしれませんが、そこは笑ってご容赦ください。
LOUD ROCK
ラウドロック(騒々しいロック?)は比較的新しい言葉で、おそらく1999年あたりから発生したのではないかと考えられます。音楽ジャンルとしては、90年代に入って徐々に展開されてきたものと思われます。
ラウドロックと呼ばれる分野には、パンテラに代表されるモダン・ヘヴィネス(この概念もラウドと重なるところがあるが…)から、ラップメタルやロック/ヒップホップなどとも呼ばれたミクスチャー、サンプリングなどデジタル処理を多用するインダストリアルまで、多種多様な音楽が含まれています。「ラウド」という語がとにかく「うるさい」「騒々しい」といった意味でしょうから、そういった雑多なものを含むロックというのが大意と推測されます。これらを束ねる厳密な定義があるかどうかは定かではありませんが(昔立ち読みしたラウドロックのガイド本になにか書いてあったかも…)、異なる音楽分野にクロスオーヴァーするなど形式を廃し、ヘヴィなサウンド、リズム、煽情的な歌詞でリスナーに訴えるロック系音楽のことだと思われます。そもそもロックやメタルの定義すらおぼつかないレビュアーにとっては、『聴いてみてなんとなく判別できる』程度のものでしかありませんが…。
なお、既存のロックの枠にとらわれず、新たな境地を開拓しているという点では、80年代から90年代にかけてのオルタナティヴ・ムーヴメントがさらに先へ進んだものといえるかもしれません。例えば、ミクスチャーを一大トレンドに押し上げたレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンなどがリスペクトするジェーンズ・アディクション(hideもリスペクトしていたらしい)は、ミクスチャーの元祖とされています。また、ラウドロックの一翼を担うインダストリアルにおいては、先達であるミニストリーが80年代から活動を続けており、そしてインダストリアルの代名詞ともいえるナイン・インチ・ネイルズが90年代になってブレイクしています。
あえて定義らしきものを挙げてみるなら、次の項目が挙げられるでしょう。
- 重い
- とにかく重い。ギターもベースも重低音である。ドラムも重い。7弦ギターや5弦ベースを使ってみたり、ディストーション・ギターはもちろん、ベースまで歪んでいることも多々ある。重くなければラウドロックではない。
- 激しい
- とにかく激しい。リズム、サウンド、歌詞、どれをとっても荒々しく激しいものが多い(たいていのラウドロックバンドの輸入版には、"PARENTAL ADVISORY EXPLICIT CONTENT"のシールが貼ってある)。中には爽やか系・キャッチー系もあるが…。
- 新しい
- とにかく新しい。激しく重いリズムとサウンドのためなら、ヒップホップや民俗音楽、テクノまでさまざまなジャンルの音楽を取り入れる。スクラッチングやサンプリングを使ってみたり、ボーカルにラップを取り入れたり、ツインボーカルを導入してみたりと、音楽手法は実験的・先鋭的ですらある(単なるフォロワーも多いが)。サイバーテイストなデジタル処理や狂ったギターテクニックなども特徴的。もちろん、ひたすらメタルのパンテラのようなバンドもあるが…。
HEAVY ROCK
ヘヴィロックは、個人的にはラウドロックと大差ない概念のような気もしますが、ヘヴィネスにより重点が置かれているという印象を受けます。いわゆるヘヴィメタル(ジャーマンスピードメタルなどをイメージ)とは違うことを意識した言葉のようですが、むしろヘヴィネスにおいてはメタルに近いイメージがあるかもしれません。
なお、言葉としてはラウドロックより早く登場していると思われます(少なくとも、1998年春には使われていることが確認されています)。使われ方も、より一般的(?)な気がします(キング・クリムゾンやムーンスペルが『ラウドロック』というのはやや抵抗があるかも…)。他のジャンルに分類できない雑多なものを集めたラウドロックに対して、ヘヴィネスという観点からロックを横断的に束ねた概念といえるかもしれません。
あまり違いについて明確に語れないので、とりあえずこのあたりにしておきます。
LOUD ROCK TOP
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"Now, I'll show you the Wolf Rock!!" |
- SHIROH (LUPI LUNAE)
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