第3回スピードゴルフ選手権
2016.9.2
究極のプレーファーストを目指して、走る、狙う、打つ、走る・・・といったゴルフをしたら、人間はいったい何分で18ホール回れるのか?そしてスコアは?

9月2日、アジア取手カントリーで開催された日本スピードゴルフ選手権に出場してきました。年1回の開催で今回が3回目(昨年は台風で中止だったので2年ぶりの開催)

第3回スピードゴルフ選手権
http://company.golfdigest.co.jp/speedgolf/detail/

まずは大会2週間前にコースの下見。

◆アジア取手カントリー倶楽部
http://www.asia-toride.com/
コースの特徴は・・・
・河川敷でほぼフラット
・砲台グリーンはないのでアプローチは転がしが有効
・バンカーは少なくアゴが低いのでサンドウェッジは不要
・グリーンは小さめ
・ラフはそこそこ深く玉探しが大変かも?

そんな訳で選んだクラブは5I、7I、PW、パターの4本
ルール上は7本まで使用できますが、本数が少ないほうが軽くなるので、走るうえでは有利。走りを優先して厳選の4本に。ちなみにドライバーは曲げてしまうと玉探しに時間がかかるので使わず、ティーショットは5Iで無難に距離を稼ぐ作戦。

ちなみに番手別の飛距離は
5I・・・170yard
7I・・・150yard
PW・・・120yard ってな感じ

クラブは手持ちでもOKですが、参加する仲間と話しあって、やはり軽量のゴルフバッグを持ったほうがよいだろうということになり、パワービルトのスタンド式キャリーバッグを購入。重さは約1kg、ゴルフクラブが1本450g程度なので4本で1.8kg、これだけで合計3kg弱。これにゴルフボールの重量が1個50g弱、もしもロストボール連発でボールが無くなってしまうとリタイヤになってしまうため、10個持ち合計500g。



総重量、約3.5kgの荷物を運びながらプレーすることになりました。ちなみにボールはバッグに入れると取出しが面倒なのでお尻と背中のポケットに分散して収納。

競技のスタートは早朝5時30分で5分おきに1人づつスタートしていきます。自己申告スコアと10kmの申告タイムによりスタート順は決まり、私は3番目の5時40分スタートとなりました。1分前、30秒前にコールがあり、10秒前からカウントダウンが始まります。0になった瞬間にタイム計測が開始され、18番ホール、カップインした瞬間に計測終了となります。ゴルフのスコアは1打1分で換算され、タイムとの足し算でSGS(スピードゴルフスコア)が算出されます。走っているときの1分も、玉を探しているときの1分も、50cmのパット1打も同じ1分、より早く、より良いスコアで上がるというシンプルな競技ではありますが、奥がとても深かったぁ~ 

以下、今回経験してみた事柄を雑録しておきます。

まずはランニングに関して・・・
シューズはトレランシューズを使用。ゴルフシューズは重く走りには適さない、ランニングシューズは軽量で走りやすいが、ショットの時に滑りやすい(そもそも持っていない)、トレランシューズはグリップが効くので滑りづらく、芝生の上を走るのにも最適。選んだシューズはモントレイルの斑尾イエローカルドラド。


スピードゴルフには、走る、狙う、打つ、球を探す、スコアを記入するなど色々な要素があるが、走る時間がもっとも長い。今回のコースは全長6200yard程度だったが、コース間の移動距離などを含めると8km程度の距離となる。ちなみにグリーン上はルールでRun禁止。今回はRunkeeperを作動させて計測していたので、そのデータを分析してみるとRunタイムは約48分(オートストップ機能を使用)、距離が8kmとすると平均1km6分ペースで進んでいたと思われる。計測タイムは62分だったので、ショット、パターまたはそれに付随する行為などのロスタイムは14分程度だった事になる。



ペースとしては前半28分、後半34分だったので、かなり失速している。これは競技している時にも実感していた。3kg近い重量を持って走るので腕は疲労していたし、息も絶え絶え、呼吸を整える間もなくクラブを振らなければならない。軽量とは言え、ゴルフバッグを持って走るのは想像以上に疲労した。次回は更なる軽量化をはかり、より快適に走れる体制を整えたい。究極の形は、クラブは手持ち、本数2本(パタ-+?番アイアン) 

ゴルフに関して・・・
練習ラウンドの段階では、ロスタイムを減らすためティーショットはティーアップせずに打っていたが、息が弾んだ状態だと少しでも打ちやすい状況のほうが、安心してショットできるのでティーアップすることにした。ポケットからティーを取り出すのは煩わしいかな?と思いきや、前のプレーヤーが残していったティーが刺さったままになっている事が多かったので、それをリサイクルさせてもらった。

ショットしたら、球が落下する前に走り出す。その際、バッグの位置を確認するため一瞬、飛球から目を切るのだが、このとき落下地点を見失う事が多々あった。フェアーウェイならば問題なくみつかるのだが、ラフに入ったとき球が見つからずロストボールとなってしまう事合計5回(=5打罰)。普通のプレーならば必死になって探すのだが、球を探している間にも刻々と時間は過ぎていく。ここで1打=1分というルールが効いてくる。1分以上探すならばロストボール扱いにして1ペナでプレーを再開したほうが得策なのだ。(正式なゴルフルールではロストボールは2ペナだが、スピードゴルフは1ペナ)走りながら球が見つからなかったとき、ロストにするのか、探すかの判断は重要になる。1分以上探したのに見つからない・・・これは最悪のパターン。それ以前に落下地点を見逃さない事が大切。次回へ向けての課題は飛球から目を切らずにバッグまたはクラブを持つこと。

球を打ったら、バッグ(クラブ)を持って落下地点へ一目散に走る。ボールの位置を確認したら走りながらバッグからクラブを抜き、スイングの邪魔にならない箇所へバッグを置く。この置き場所が最初のうちは定まらなかった。ボールとカップの飛球線上はボールの前も後ろもNGだ。さすがにボールの前に置く人はいないと思うが、ボールの後ろもダメ、スイングの邪魔になるので離れたところへ置かないといけないし、走りだす方向と逆になるので戻ってからバッグを掴むようになる。飛球線左側(右利きの人にとっては自分側)はどうか? やはりこちら側もスイングの邪魔になる事がある。クラブが当たらないまでも、気になる。ボールの向こう側(飛球線右側)がベストだ。ボールのすぐ傍に置いても邪魔にはならないし、走り出すときに右手でバッグを掴めるのでスムーズに走り出せる。

     

そして打ったらまた走る。呼吸を整える暇なんて一切無い。でも、ただ闇雲にコースを走れば良いというものではない。コース取りもポイントになる。出来るだけピンフラッグとボールを結ぶ飛球線方向へ入りながら、障害物の存在、残り距離の把握、使用クラブの選択、ショットのイメージを走りながら掴む。グリーンを狙うときはピンを直接狙うのではなく、安全なポジションへ打つ。特に目標がなければ奥よりは手前、次のホールのティーグランドが分かるときはピンよりティーグランド側を狙う。これはグリーン上のルールが影響するからだ。

    

グリーン上にはスピードゴルフ独自のルールが3つある。
『ピンは抜かないでパターする』通常のゴルフではグリーンに球が乗ったらピンを抜かなければならない。もしもグリーン上の球を打ってピンに当たってしまったら2ペナルティーを負わなければならない。ところがスピードゴルフではピンを差したままプレーする。ピンに当ててもOKなのだ。これはすごく良い。スムーズなプレーができる。

『グリーン上は走ってはならない』これは通常のゴルフならばマナーの範囲だがスピードゴルフではルール違反になる。グリーン保護の観点からあってしかるべきルールだ。走っても歩いても大したロスにはならないし、全競技者同じ条件なのでこのルールでは差は生まれない。でもついつい走りたくなってしまう。その気持ちを必死に抑えて、早歩きでグリーンをあとにする。

『グリーン上にバッグ(クラブ)をおいてはならない』このルールはタイムを競う上では大きなポイントになる。グリーンの外にバッグを置いて、パターだけ持ってパッティングする(下図の☆の位置にバッグを置く) カップインしたらボールを拾い、バッグを置いた場所に歩いて行き、バッグを持って、グリーンに足を踏み入れないようにして、次のホールへ向かう。置き場所がポイントになるのだ。このルールがあるので出来ればカップよりも次のホールのティーグランド方向へ球があったほうが距離ロスが少なくなる。ちなみにバッグを背負ったまま(クラブを抱えたまま)のパッティングはOKなので、タップインできるような距離ならばパター以外のクラブを持ったまま球のところへ行き、カップインさせることも可能だ。

    

カップインしたらバッグを持って次のホールへ走る。球をセットしてティーショットを打つわけだが、その前にひとつ作業がある。スコアをつけなければならない。タイムはスタッフが計測してくれるがスコアは自分でつけなければならない。走る、打つ以外のこの作業が意外と面倒くさい。今回は1ホールごとにつけるのが煩わしかったので3ホール分まとめてつけた。もしも鉛筆をなくしたり、芯が折れたりするとスコアを記入する事ができなくなるので、余分に持っておいたほうが無難だ。

こんな感じで18ホールプレーしていくのだが、今回起こったトラブルをいくつか・・・

・今回のコース、残り距離表示は青杭200yard白杭150yard赤杭100yardだったのだが、赤杭の100yardを150yardと勘違いしてショット。次のホールのティーグランド近くまでオーバーしてしまった。急いでいるので状況判断が難しい。。。

・球を捜しながら走り、見つからず諦めかけて振り返ったら30ヤード近く後ろにボールがある事を発見。距離と時間のロスでかなり凹んだ。早朝プレーなので朝露に濡れた芝生が白く反射したり、逆光だったりして見づらいので、集中して球の落下地点を見守る事が大切だ。

・バンカーのふちに止まっていた球をアプローチしたらレーキ(バンカー慣らし)直撃。『嫌なところにあるなぁ』と認識はしていたのに、やってしまった。レーキをずらすのに掛かる時間は10秒程度なのに、それをケチって打ったがために直撃して球は元の位置に・・・ これで+1打=+1分。プレーファーストとは言え、最低限のリスク管理は大切だ。

・グリーンまで150yardくらい、7Iでピッタリの距離だなと思ってフルショット。しっかり当たった筈なのにボールはグリーン手前のバンカーのさらに手前・・・あれ?と思ってクラブをひっくり返したらPWの文字。普段だったら構えれば、シャフトの長さやロフトの違いに気づくはずなのに、脳内酸素が薄くなっていたせいか気がつかず。初歩的なミスだった。

他にも小さなトラブルは色々とあったが、総じて大事には至らず。。。


という訳で、『究極のプレーファーストを目指し、走る、狙う、打つ、走る・・・といったゴルフをしたら、人間はいったい何分で18ホール回れるのか?そしてスコアは?』の結果は・・・

(結果)62分3秒でラウンドし、スコアは96、順位は3日間トータルで9位という事になりました。
※2日間プレーした選手がいるので実質は8位
優勝者の松井選手は3大会連続優勝で10月にアメリカで開催される世界スピード選手権に派遣されることになりました。


プレーしているときはこんなに苦しいゴルフは初めてで、一刻も早くホールアウトしたいと思っていましたが、18番ホール、カップインした瞬間は、30年を超えるゴルフ歴のなかでも、これまでにない達成感と充実感を味わう事ができました。そしてあれから5日が経ち、今思うのは、あーすれば良かった、こーすれば良かったという反省と、来年はどんな戦略でいくか!というリベンジの気持ちです。来年はRun55分、ゴルフ90、SGS145くらいを目指したいなぁと。

というわけで、来年も開催されるなら、必ず出場します。できるだけ多くのラン仲間を引き込んで!


同じ日に出場していた鶴見辰吾さん

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