憧れのブルーゼッケン

 2012年6月24日(日)今年もこの地にやってきました。サロマ湖100kmウルトラマラソン。
11年連続11回目の完走を目指す今回は、2002年に初めて出場した時からずっと憧れていたサロマンブルーゼッケンをつけての初出走となりました。

初出場の時に見たブル―ゼッケンのランナー達は神様のように見え、明らかに自分たちとの間には広くて深い溝があったように感じます。そんな偉大な先輩達と肩を並べる事ができた!などとは思いませんが、足元ぐらいには達したかな?そんな気分になれました。

昨年は10回目の完走が掛かっており、少々?ナーバスになり、レース終盤は、かちんこちんのギコチない走りになってしまいましたが、今年は大丈夫!リラックスして走れます。もしもリタイヤするような事になっても・・・ ブルーのゼッケンは取り上げられないので。。。(笑)

2012年のレポートは、今までとはちょっと趣向を変えた書き方にしてみました。
10年も続けて出ていると、レース展開もマンネリ化?してきちゃって、同じ事ばかり書いている気がするので。。。サロマンブルーというキーワードにSpotを当ててみました。




-目次-

1.サロマンブルーって何?

2.サロマンブルーのご褒美

3.若葉マークのサロマンブルー

4.サロマンブルーの先輩たち

5.サロマンブルーのプライド

6.サロマンブルーのお祝い

7.サロマンブルー記念プレートに刻んだ文字は・・・




1.サロマンブルーって何?



 そもそもサロマンブルーって何?という話です。そもそもの意味としてはサロマ湖の澄んだ青さを称える言葉だったのでしょう、きっと。でもサロマンブルーというキーワードをYahooで検索すると、『サロマ湖100kmウルトラマラソンを通算10回完走したものに与えられる称号』という説明がずらずらと現れます。そうなんです。サロマ湖100kmウルトラマラソンを通算10回完走するとサロマンブルーという称号が与えられるのです。

 私が初めてサロマ湖100kmウルトラマラソンに出場を決めた時、この制度を知り、このサロマンブルーと言う称号に大きな憧れを抱きました。あのときは生涯を賭けての夢!それくらい高い、高い目標でした。何しろ、この大会を1度も完走していない、それどころか、どれほどの難易度かも分からない、ヒヨッ子の時でしたから。。。 今となっては、生涯賭けて!なんて意気込むほど大袈裟な事では無かったような気もしますが、毎度、毎度、やっとの思いで完走してきたので、私にとっては、やっぱり大変な事だったような気がします。

 ちなみにサロマに初出場した年のレポートにはこんな事を書いてました。
『そんなところ(サロマンブルーという制度がある事)からサロマを選んだ。ウルトラへの挑戦理由がはっきりとしないのに比べ、こちらの理由(サロマを選んだ理由)は、はっきりとしている。自分にとってウルトラのスタートは、サロマ湖じゃなければいけない。また逆に言えば、サロマ湖に出場したいから、ウルトラへ足を踏み入れるのだ』

それ程、この大会、いやサロマンブルーに強い思い入れを持って出場を決めていたようです。
また極真空手の故大山氏の言葉『虎は死んで皮を残し、人は死んで名を残す』を引き合いに出して、フィニッシュ地点に自分の名前と足型を残すんだ!とも書いていました。あの頃は熱かったな~

そして2012年サロマ湖100kmのスタート地点。
その憧れのサロマンブルーゼッケンをつけてニヤニヤ笑いながら立っている私がいたのでした。残念だったのは寒くて小雨模様だったためレインコートを着込んでおり、自慢のブルーゼッケンが霞んでしまった事。。。 ここはやせ我慢でも脱いでおくべきだったかもしれません。

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2.サロマンブルーのご褒美



 サロマンブルーの称号を頂くといくつかのご褒美(特典)があります。
1つは前の項でも書きましたが、ブルーのゼッケンをつけて走れると言う事。さらに言えばブルーのゼッケンをつけているとスタート時にサロマンブルー専用レーンと言うのが設けられており、陸連登録選手と並んで前方からスタートが切れるのです。と言ってもそこはウルトラマラソン。一般の選手が混じっていても、細かい注意は受けませんが。。。

 それからスタート地点とゴール地点に専用の控室が設けられます。ただし昨今増えてきたサロマンブルーメンバーによりスタート地点は体育館の一角がサロマンブルーメンバーのエリアとして区切られているだけで個室ではありませんでした。でも指定された荷物預け袋を、このエリア内に置いておけばレストステーション並びにゴール地点へ運んでおいてもらえると言う優遇措置はあります。一般の選手はトラックに預けます。ゴール地点の控室は、ちゃんとした控え室でした。中には壁際にずらりと椅子が並べられており、カーテンで仕切られた個別の着替えスペースもあります。そのスペースには気の効いた事に椅子が置かれているので、満身創痍でゴールした身体にはとても優しい措置が取られていました。ちなみに預けた荷物を受け取るのもこのゴール後の控室。なのでゴールしたら動き回らず、この部屋へ直行すれば、荷物の受け取り、着替え、休憩全てOKです。雨が降っても大丈夫♪暖かい缶コーヒーでもすすって、ぬくぬくと過ごせます♥

 目玉の1つはゴール地点に永遠に飾られる足型プレートです。これこそがサロマンブルーを目指す多くのランナーにとって最大のモチベーションでした。自分の足型を残してくれるなんて、そんな光栄な事ありません。しかし残念なお知らせが昨年舞い込みました。サロマンブルーメンバーの増加に伴い、足型のプレートを残すスペースが不足してきたので、これまでよりも約1/2サイズのプレートに変更になってしまったのです。これでは足型は入りません。思いついた文字、名前などを刻むのが精いっぱい。これには正直落ち込みました。。。あと1年早く達成していたら!あと1年早く挑戦を始めていたら、この世に誕生するのがあと1年早かったら。。。くだらない事を色々と考えました。でもここでスンナリと引き下がらないのが、親をも呆れさせた私のしつこさ?というか執念深さです。子供の頃は、スーパーに行ってお菓子をねだり、買ってくれないとあの手この手を駆使して最後には手に入れてきました。今回は・・・?

 過去のサロマンブルー達成者の足型が実際の足型よりも小さい事がヒントになりました。これは陶板に足型を取って、焼くので縮むからなのですが、足型のレリーフが実際よりも小さいなら、実寸大でなくても良いという発想が生まれ、ならば小さくなったプレートに収まるサイズまで自分の足型を縮小して、模型を作ればよいのだ♪という結論に達したのでした。それでもって以下のような製作過程を経て、無事、足型を残す事に成功した?のでした。


    足型を縮小コピー           型に従って彫刻して模型作製         出来あがりのイメージ   

 それからサロマンブルーのご褒美として、サロマンブルーエンブレム入りの青いポロシャツ、サロマンブルーのタグがついたバッグも頂きました。でもこれは誰も羨ましがってなかったような気がします。



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3.若葉マークのサロマンブルー



 サロマンブルーの上のランクにグランドブルーというのがあります。これは20回完走した者に与えられる称号です。ゼッケンはゴールド!もはや神の領域?です。なんて言いつつ密かに狙ってますが。でも今43歳。グランドブルー達成する時は、最短でも52歳。これからの10年はそうそうスムーズに行くとは思えません。スタートラインに立つ事も困難になるかもしれないし… まぁそんな先の事は置いておいて、まずはサロマンブルーデビューです。歴代のサロマンブルー達成者に嫌われないよう?1年生として謙虚な姿勢をあらわす為、栄光のサロマンブルーゼッケンに若葉マークをつけてみよう!というアイデアが生まれました。そしてこれをネタにサロマのスター達に声かけてみよう♪なーんて。若葉マークをシールにプリントアウトして、前後のゼッケンに貼りつけて完成。サロマンブルーの先輩たちはどんな反応を示してくれるのか???

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4.サロマンブルーの先輩たち

 ちょっとだけレース回顧。スタート地点では前から5~6列目くらいの絶好のポジションに陣取りました。こんな位置からスタートしたら周りのペースに吊られてオーバーペースになり兼ねない。そういう不安もありましたが、気温8度、小雨、この日のように寒いくらいの天候ならば、熱中症の危険は避けられます。ならば最初の10kmぐらいまでは少々速くなっても大丈夫。そんな計算でスタートしました。

 スタートすると早速、目に入ったゴールドゼッケン。ランシャツ、ランパンの若々しい佇まい。間違いなくMr.サロマの丹代さんです。神のような…じゃなくて私にとっては神です。ウルトラを始めた時、丹代さんのホームページで随分と色んな事を学びました。サロマの人気者で次から次へとランナーが挨拶していきます。ここは私も挨拶しておかねば・・・と言う事で横に寄り添い、声を掛けさせて頂きました。

 『おはようございます!今年からサロマンブルーになりました。よろしくお願いします。1年目なので若葉マークつけてきました』と言うと『いいねぇ若葉マーク、じゃ僕は紅葉マークつけなきゃ!』なんて見事な切り返し。さらに…『今日完走するとマジック9でグランドブルーだね』なんて、心の奥を読まれていました。そして20回以上完走している達人らしくこんな予言もされてました。『今日は最高の天気だよ。そのうち小雨が止んで、くもり空で気温低め。これはいい記録出るよー!!』おっしゃる通り小雨は1時間ほどで止み、レース終盤までくもり空が続いたのでした。さすがサロマの神様!! 

 その後も何人かのグランドブルー、サロマンブルーの方々に声を掛けさせて頂きました。みなさん気さくにお話ししてくれて嬉しかったです。そう言えば、もうひと方。黄色いTシャツ、水色の手袋がトレードマークの地元漁師の住吉さんを忘れてはいけません。昨年、『今年完走したらサロマンブルーになるんです!』と伝えたら『どこから来たの?』と聞かれ、『神奈川です!』と答えると、『随分とお金使ったね~ こんな田舎まで良く来るよなぁ 有難いなぁ~』と優しい笑顔で話してくれたお方です。今年は40km~50kmの上り坂で追いつきました。『こんにちは住吉さん!』とお声を掛けると『おー久しぶり!ここで差されちゃったかぁ~ ゴールでまた会おうね!』とまたまた優しい笑顔を見せて下さいました。サロマンブルーの先輩たちは素敵な方で一杯です。そんな偉大な先輩達を見る私の眼は、野球少年がイチローを見つめるような、そんな眼だったに違いありません。

 
第1回優勝者 Mr.サロマの丹代さん      第1回から全て完走の越智さん

 
元祖完走請負人 巨人軍団親分さん      ホタテ漁師の住吉さん

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5.サロマンブルーのプライド

 私がサロマに挑戦した頃、ブルーのゼッケンを付けたランナーは皆、完走請負人的な存在でした。ブルーのゼッケンに着いていけばゴールまで導いてくれる。当時のサロマンブルーのメンバーはそんな神々しい存在でした。今は??? サロマンブルーメンバーも今回で300人を超え、ちょっとその信頼性は薄らいできた気がします。ついて行くならばゴールドゼッケンが硬いでしょう♪ とは言え、栄光のブルーゼッケンをつけてリタイヤしたのでは格好つきません。止める時は蔭に隠れてそっとゼッケンを外し、バスに収容されなければなりません。いやリタイヤしてはいけないのです。今回の出場に際し、第1目標としてサブ10を掲げていましたが、それが達成できなくても完走だけはしなければなりません。脚が折れようとも。。。 もう一声上げるならば、歩いてはならないのです。ブルーのゼッケンをつけている以上、シャキッとした姿勢で走り続けなければならない。ブルーのゼッケンに泥を塗らない為にも・・・それが私のプライドでした。

 それ故、30kmを過ぎて国道に出たあたりから、左足の甲が痛み出しても、歩かずに走り通しました。74kmのお汁粉エイドのあと左足甲の痛みが我慢できなくなっても、シューズの紐を緩めるために止まる事はあっても決して歩きませんでした。ワッカに入って左足親指の爪がジンジン痛んでも走り通しました。結局エイドの前後数十メートルを歩く事はあっても、それ以外のところはすべて走りました。残念ながら最高目標のサブ10達成はなりませんでしたが、11回のサロマの中で3番目に良い記録を残せました。歩かずに走りきった!文字通り“完走”した! と胸を張って言えるとても満足のいくレースでした。これからもサロマンブルーのプライドに賭けて、しゃきっと走り通していきたいと思います。そしてゴールドのゼッケンをつける前に、もう一度サブ10を達成したい!!

 
ゴールをくぐる時はゆっくりと歩かせて貰いました

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6.サロマンブルーのお祝い

 今年の目玉のひとつは、今回サロマンブルー達成を果たす、でんでんさんのお祝いでした。昨年私の時は、ワッカで『もうすぐサロマンブルー』と書かれた寄せ書き入りの襷をかけてもらい、ゴールでは花束を渡され。サロマから帰ってきてからは、お祝いのパーティーを催して頂きました。今回は。。。?

 まずは大漁旗!!サロマ参加メンバーの賛同を頂いて大漁旗を製作しました。ゴール前の花束はサロマンブルーのお決まりになっているので、ちょっと趣向を変えて漁師の町でもある常呂町にあやかって帆立の図柄が入った大漁旗をゴール前で渡して高々と掲げて貰うというプランです。

 
定番の花束を準備!!              お祝いの大量旗♪サロマって事でホタテ入り

 それからお祝いメッセージ入りのDVDを工房オクムラに製作して頂きました。これはレース翌日、富良野鉄板焼きまさ屋での貸切パーティーの際に上映しました。かなり本格的な作りで楽しむ事ができました。サプライズを受ける本人の知らないところで色々と作戦を練るのは楽しいものです。

 ちょっとした誤算としては、でんでんさんがサブ9を目指して激走しており、その追い込み度が激しすぎて大漁旗を高く掲げる余裕が無かった事?でもギリギリサブ9達成したので、これはこれで良かったように思います。大漁旗のせいで、悲願達成ならなかったら、それはそれで残念なので。。。これでサムズアップのサロマンブルー達成者は3名になりました。これから2,3年は空きそうですが、その先はサロマンブルー達成者ラッシュに沸きそうです。それまでにアイデアを捻って楽しいサプライズを考えたいと思います。

  
本当はブーケ風にするつもりだったのに・・・  サムズアップ・サロマンブルー3人衆!!

 
 これから、この盃にサロマンブルー達成者の名前を刻んでいきます。

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7.サロマンブルー記念プレートに刻んだ文字は・・・

 サロマンブルーのプレートに足型を残すことには成功しました。あとは何と言う文字を刻むかです。日付と名前は必ず入れる事!となっているので、プレート作成日の2012.6.24とサムズアップ 金子尊博という文字を刻みました。あとは真ん中にビシッと引締るような言葉を書けばよいのですが、なかなか良い文句が浮かびません。『たかが100km、たかがサロマ』そんな挑戦的な言葉も考えましたが、イマイチはまりません。色々と考えた挙句、初心に戻って思い浮かんだ言葉を残す事にしました。『夢一途』サロマンブルー達成を一途に願い、ウルトラマラソン=サロマという気持ちで走ってきた10年をそのまま言葉にしました。さらにいうなら『夢一途』にグランドブルー(ゴールドゼッケン)を目指すと言うこれからの意気込みも込めたつもりです。



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 ってな訳で、私自身通算11回目となるサロマは、サロマンブルーというキーワードを中心に頭の中が回ってました。しかしながら忘れてはならないのがサロマデビューの仲間たちです。サムズアップで今年サロマデビューを果たしたのは7名。こんな事は過去に一度もありませんでした。そして見事に6名が完走。サロマンブルーへの道を歩むかどうかは分かりませんが、サロマの良さを分かってくれる仲間が増えた事は嬉しい限りです。これからも一緒に走ってくれる仲間を探して、サロマへ通い続けたいと思います。 



本編終わり 番外編は気が向いたら書くかも???