Competition155(1)
155デビューと同じ年、1992年にイタリアン・スパ・ツーリズモ・チャンピオンシップで活躍をし、155にコンペティションのイメージを植え付けることに成功した155GTAです。

155GTAは155Q4をベースに上記イタリアン・スパ・ツーリズモ・チャンピオンシップのレギュレーションに合致するように準備されたコンペティションカーだったことはご存じの通りです。
Q4ベースとはいえかなり大掛かりに手を加えられまったくの別物と考えるべきだと思いますが…。
前後フェンダー、ボンネット、トランクリッド、サイドスカート、フロントスポイラー及びアジャスタブル・リア・ウィングはカーボンファイバー製とされました。エンジン関係では84mm×90mmのボアストロークを持つフィアット製鋳鉄ブロックにアルミ合金ヘッドのエンジンをギャレット製T3のターボチャージャーで過給するという基本構成はQ4と変わりませんが最高出力は量産の186HPから400HPにまで高められました。6速のギアボックスとF−1のクオリティに近いといわれるブレーキシステムを備え、前後のZF製デフはサーキットに合わせ前後のトルク配分を調節できたようです。またオリジナルの155と大きく異なる点としてリアサスペンションがあったようです。ノーマルの155が縦置きされたトレーディングアームを用いたフルトレであったのに対しGTAでは、164の横置きアーム+トレーディングビームを踏襲し、ビームを斜めに置いた横置きアーム+オブリクビームのマクファーソンストラット式となっていたようです。

主な仕様は以下の通り

1992 GTA
シリンダ配置 直4
ボア×ストローク 84×90
全長 4443mm
全幅 1800mm
全高 1440mm
軸距 2540mm
トレッド幅 1580mm
重量 1050kg
圧縮比 8:1
最大出力 400HP
6500rpm
最大トルク 51kgfm
4500rpm
燃料タンク 80-100L
駆動形式 4WD
33:67可変
トランスミッション 6速MT
タイヤ 245/645×18

オリジナルのQ4は1445kg、また市販155の最軽量版であったデビュー当初の1.8TSでさえも1290kgだったようですので、1050kgとは正にGTですね。(いちごう…のGTAに爪のアカでも煎じて…いえいえ、なんでもありません^^;)

さて1992年の戦歴は華々しいもので、イタリアン・スパ・ツーリズモ・チャンピオンシップ全20戦中17勝をあげました。また参加車輛は、2台のワークスと2台のクラブチーム(Jolly Club)の計4台のだったようです。

1992年には大活躍の155GTAでしたが、翌1993年のツーリングカーレースのレギュレーション変更は、155GTAをS1クラスに散見されるだけの存在に格下げしてしまったようです。
しかし、GTAの成功がDTMのD1カーへと繋がっていったのはご存じの通りですので、155GTAは一年という短い活躍期間でその使命−155のイメージをコンペティションへ直結させる・D1カーへの足掛かりをつくる・ナニーニをレースへ復帰させる−を全てまっとうしたといって良いと思います。