155の生産台数(3)
生産台数(3)では、特殊な市場となった日本での輸入台数、特にV6について見ていきたいと思います。

まず、日本に正規輸入された新旧2.0TS、2.5V6、Q4の2.0turboの輸入台数を示します。

エンジン 輸入台数 割合1 総台数 割合2
2.0TS(8V+16V) 3033台 63.8% 38305台  7.9%
2.5V6 1382台 29.1% 7198台 19.2%
2.0turbo  337台  7.1% 2701台 12.5%
(輸入台数は92から98.4時点までの暫定)

「割合1」は、日本における各グレード(エンジン)のシェアです。やはり、TSが圧倒的ですね。ただV6は95年以降のみですので、その時期だけの数字を拾うと次のようになります。

エンジン 輸入台数 割合
2.0TS(8V+16V) 1956台 56.7%
2.5V6 1382台 40.0%
2.0turbo  114台  3.3%
(輸入台数は95から98.4時点までの暫定)

モデル後半95年以降は実に日本向け155のうち40%を、V6が占めていたようですね。これには、V6は輸入開始当初からスポルティーバで入ってきたことも影響しているのもと思われます。TSの16Vが最初からスポルティーバだったとしたら(またはスーパーとスポルティーバの2本立てだったとしたら)ここまでV6は伸びなかったでしょう。

「割合2」は、各々のエンジン搭載車のうち日本に輸出された割合です。V6は日本向けが多かったことがわかります。更にV6について、事情を加味してみます。

まず、日本市場がなかったとすると、総生産台数は

7198-1382=5816台

ということになります。この台数に対する比率で大雑把に日本市場に輸出されていなかった92−94のV6の生産台数を予測すると、この数の半分ということで

5816/2=2908台

が生産されていたのではないでしょうか。
全体からこの数字を引いて、95−97には

7198-2908=4290台

が生産されていたことになります。
そのうち、1382台が日本向けですので、

1382/4209X100=32.8%

95−97に生産されたV6の約1/3が極東の国日本に輸出されたことになりそうですね。

更にV6の生産が、モデル末期のの95−97より新車効果もあった92−94の方が多かったとすると後半95−97に対する日本向け割合は更に増え、また日本向けの台数は98年4月現在のものなのでこの数字より更に増えているはずなので、結果この時期の4割程度のV6が日本向けになっているのかもしれません。

様々な要因があって、V6は日本で予想外の売れ行きをしたのではないでしょうか。155総生産数全体においてV6が占める割合(4%弱)からすると日本の事情は極めて特殊です。日本の輸入車市場では、比較的上級グレードが売れることはいえるかもしれませんがこれだけが要因だとすると、Q4のシェア状況−全体の1.4%日本での7.1%−からしてV6もせいぜい20%程度がやっとだったでしょう。それがV6輸入期間では40%にも登ったことは特例だったと思います。

もしかすると、日本でのV6の売れ行きが、V6搭載中型セダンの魅力それもラクシュアリではなくスポーツな方向に振った場合の魅力…

1)アルファ伝統のエンジン
2)絶対的排気量が大きいことによる高出力
3)6気筒という4気筒に対するプレミア

ということをフィアットに再認識させるきっかけになった…といってはいい過ぎでしょうか?(いい過ぎですね^^;)

しかし156GTAにV6が起用された要因のひとつとして、不振を続けていた155に特例として”155V6のスポルティーバがヒットした地域があった”ということも挙げられていたとしても不思議ではないですよね。156GTA一号車のオークション落札者も日本の方でいらしたらしいですし…。

しかし、この極東特需も155不振には焼け石に水であったことも事実です。ブランドの運命を背負った量産セダンにとって所詮「趣味のクルマの世界」でのヒットでは意味ないんですよね〜。いずれにせよ世界に7000台強のやや希少車(不人気車と紙一重?)、実用に供しながらも大事にしたいです。