Orphium frutescens E.May. (オルフィウム)・・・リンドウ科
南アフリカ原産の1属1種の植物。高さ30〜60cm、葉は無柄、線形または長楕円形、花は赤色。葉のついている集散花序で頂生する。花冠は花筒が短い。
属名は、ギリシャ神話のオルペウス(Orpheus)からとされる。
ギリシャ.ローマ神話辞典によると、「オルペウスはホーメロス以前の最大の詩人で音楽家。父はオイアグロス、母はムーサのカリオペー(父母とも異説アリ)の娘メニッペーで、オリュムポスの北側のトラーキアで生まれた。ドリュアスたち(木の精であるニンフ)の1人のエウリュディケーを妻とした。
彼女はアリスタイオスに犯されようとし、逃げるときに草むらにいたヘビにかまれて世を去った。彼は妻を取り戻そうとして冥界に降った.。ハーデースとペルセポネーは、オルペウスが地上に帰りつくまで後ろを振り返らないならばとの条件で、エウリュディケーが地上に戻ることを許した。
オルペウスはこの条件を忘れ、まさに地上に出ようとするときに、妻が自分について来ているかどうかを確かめようとして後ろを振り返ったので、エウリュディケーはたちまちに冥界に引き戻された。トラーキアの女たちは(バッケーという)ディオニューソスの祭りで狂乱のうちにオルペウスを八つ裂きにした。
オルペウスの竪琴は天井に登って正座となり、彼自身はエーリュシオンの野(神々に愛された人々・・・英雄など、が死後、そこで幸多い生活を楽しんだ野)に赴き、その歌でこの野に送られた至福の人々を楽しませるという。」
以上のことから、赤い花をつけた頂生する花序をオルペウスの頭とし、原野に咲くこの花を、エーリュシオンの野で、大口をあけて歌うオルペウスに見たてたものであるという見解が強い。