【少し気になるこんなもの】
黄色いIpheion!?




第2回(2000.4.4)・・・Ipheion sellowianumについて(2000.4.7追加)
 朝、圃場で実験植物の管理をしていると先生が「黄色いIpheionが咲いたから見せてあげよう」と声をかけてくださいましたので、早速。。。。
まぁ。。。。。キレイ!めちゃくちゃキレイ!目も覚めるような純黄色。南米原産のものだそうです。自生地の大群落では多少、株ごとに色の濃淡があるそうです。



 Ipheionはユリ科の球根植物なのですが、コイツもそうらしいのです。Ipheion unifloraと呼ばれています。葉はニラの香り〜。ハナニラです。学内の敷地と言う敷地に自生しています。。

 そんで午後から探索。。。色の濃淡はもちろんのこと、花弁に縞が入っていたり、弁先が丸だったり剣だったり。。。

 これがあの黄色と一緒の属だと言うのです。どうひいき目に見ても違うんですが...黄色いのとでは交配しても種子ができないらしいです。(1万回ぐらい交配したらかかるかも。。。)すごい不思議ですねぇ。
 メキシコ〜アルゼンチンにかけて分布しています。



【種(しゅ)は何というのでしょう?】

 さて、黄色いIpheionですが「種(しゅ)」が分かりません。そこで・・・・調べてみました。

★資料★
Dr.Juan Carlos Paysse&Dr.Leonardo J.Vertiz 1984. FLORA MONTEVIDENSIS TOMOV 372-374

上記資料には5種が記載されていました。そのうち黄色の花が咲くIpheionは以下の2種でした。このうちのどちらかなのです。

Flores amarillas.(黄色の花が咲くもの)
Ipheion hirtellum
Ipheion sellowianum

2種の相違点をいくつか挙げてみます。

項目 I. hirtellum I. sellowianum
Bulbo(球根) 細長い・直径10-22mm やや球形・直径12-20mm
Hojyas(葉) 4-7枚・3-9cm 6-12枚・5-12cm
Flores(花) 花茎に突起する軟毛 花茎は無毛
Florece(開花期) 3-6月 8-9月

 I. hirtellumI. sellowianumさほど変わりませんが、大きな相違点は開花期です。これは現地の開花期ですが、日本の季節に対応するのはI. sellowianumです。日本の寒い時期、すなわち2〜3月に開花します。葉の枚数を数えてみましたが、平均して9〜10枚ありました。花茎はもちろん無毛です。
 以上を総合して考えると、この黄色いものはI. sellowianumと考えられます。

 しかし、開花期以外さほど大きな差は見られません。この資料から判断するとI. sellowianumになりますが、もしかするとこの2種は同じ種かもしれません。エコタイプといわれるもので、地域による変異で開花期だけに大きな差が見られる可能性があるということです。(花の形も球根の形もほぼ似ているが、開花期だけに差がある)

 この2種の違いを詳しく調査するには、この種を記載した文献まで行き着く必要があります。そこにはこの2種の違いが書かれているはずです。【Plant.Life 5 50(1949)】

 この秋咲きのものと春咲きのものを交配することによって、開花期に大きな幅を作ることができるかもしれません。それが育種の楽しみです。残念ながら秋咲きのものはここにはありませんが、是非手に入れたいものですね。

参考文献の一部です。スペイン語で書かれています。

おわりオワリ終わり

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(2002.1.10リメイク)