【ヨウスケのアカデミック園芸ワールド】6月




2001.6.30(土)・・・地味な花
 薄汚れた花の色で、全く目立ちません。Crassulaceae・・・ベンケイソウ科のSempervivum(種名不明)です。和名はクモノスバンダイソウ。

 ロックガーデンに向く植物で、やや高山性です。冬はがっちりした植物体で、赤褐色が冴えますが、初夏に中心部分がスル〜ッと伸びてきて、画像のような花を咲かせます。

 香りは・・・キュウリのような青臭い香りです。


2001.6.29(金)・・・これでもニワゼキショウの一種なのです。
 Sisyrinchium striatum Sm.は、南米チリに自生しています(Iridaceae・・・アヤメ科)。ニワゼキショウ亜属の種です。チリでも分布が限られており、中央部にしか自生が確認されていません。

 6週間にわたって咲きつづけますが、それぞれの花は1日花です。
 雄しべの花糸が合着して円柱状になり、葯同士が接触して、雌しべの花柱と柱頭を隠している、そんな構造になっています。

 これは実生で、播種から1年半ほどで開花しました(昨年初開花)。露地で冬も越せるし、葉はアイリスそっくりだし・・・ニワゼキショウらしくないところが私は気に入っています。


2001.6.28(木)・・・毒があるよー。
 画像だけではあんまりよく分かりませんが・・・。
 Illicium floridanum Ellis.です(Illiciaceae・・・シキミ科)。南東アメリカに分布するシキミです。濃緑色の葉が非常に美しく、耐陰性もかなりあります。シキミ属は42種あると言われます。
 右側の画像は花です。非常に美しいですね。
 シキミ属ですので、葉に香りがあります。また、毒もありますので注意してくださいね。


2001.6.27(水)・・・只今満開のHypericumたち。
 @Hypericum densiflorum Pursh.はアメリカが原生地(左から2枚目まで)。AHypericum wilsoniii Robson.は中国が原生地(左から3と4枚目)。@は花が小さく、花冠直径は1.5cmほど。十字対生で葉は細い。Aは花冠直径は5cmほど。十字ではないが対生。どちらも耐寒性があるが、冬季は葉を半分近く落とすので、半落葉性ともいえます。(Guttiferae・・・オトギリソウ科)


2001.6.21(木)・・・黄色いカンアオイ
 Saruma henryi Oliver.(Aristlochiaceae・・・ウマノスズクサ科)は、カンアオイ属に、最も近縁とされている1属1種の植物です。中国中南部に自生が確認されています。ウマノスズクサ科の中で唯一発達した花弁を持っています。これがカンアオイの近縁とは思えないほどの、美しい黄色をしています。中国名は「馬蹄香」。オナガギフチョウの食草でもあり、チョウ愛好家の間では「タカアシサイシン」と呼ばれています。
 6個の雌しべは基部でわずかに合着しますが、上部では分離しています。子房の位置が完全に下位になることはなく、上位に近い状態です。雄しべは12個で、葯は内向に裂開します。花粉粒には1個の溝状の発芽孔があるのみで、Saruma属はウマノスズクサ科の中で、最も原始的な植物と考えられています。
 自生環境は、林や森の中。ブナなどが多い茂る中で、群を作って分布しています。自家和合性。高さは30〜50cm。葉茎には細毛があり、ザラつきます。冬、地上部は枯れてしまいます。日本で見ることができるのは、筑波の植物園か千葉大園芸学部ぐらいでしょう。


2001.6.19(火)
 淡い紫色のストライプが、さわやかな印象を受けます。
Barleria cristata(Acanthaceae・・・キツネノマゴ科)は、インド、ビルマの原生です。高さは1mになります。
 常緑の草(小低木?)で下部は木質化しています。萼の縁が刺状になっています。ピンチを数回くり返せば、鉢物としての利用は可能かと思われます。ただ、花がまばらにしかつかないので、改良する必要はあります。

 耐寒性はない、と言うことですが、ここ松戸では冬を無事越しています。雪の日が続いた日でも大丈夫でした。


2001.6.14(木)・・・グラウンドカバープランツとしての利用は?
 雪にも耐えるようであれば、日本でのグラウンドカバープランツとして普及するかもしれません。
 Myoporum parvifolium(Myoporaceae・・・ハマジンチョウ科)という、オーストラリアの植物です。
 横に這うように伸びていきます。近年、吊り鉢仕立てで、流通が始まりましたが、栽培技術などは確立されていません。
 グラウンドカバープランツとして利用するには、もう少しデータが必要だと感じます。
 ちなみに・・・我が家では実験中です。


2001.6.11(月)・・・ぷら〜ん。
 Sollya heterophylla Lindley(Pittosporaceae・・・トベラ科)、俗称はblue bells。
 2種が南西オーストラリアに分布しています。つる性の植物で、輝くような青い花を咲かせます。
 葉は細く互生、蔓の感じはカロライナジャスミン(Gelsemium)に似ています。
 耐寒性・耐暑性ともあるようですが、果たしてどこまでなのかは私には分かりません。
 予想ですが・・・カロライナジャスミンと同じぐらいの耐寒性、すなわち雪が降っても大丈夫だと思います。


2001.6.9(土)・・・正真正銘のツキミソウ
 これが正真正銘のツキミソウ(Oenothera tetraptera)・・・Onagraceaeです。現在ではほとんど見かけなくなりました。我々が「ツキミソウ」と言っているのはオオマツヨイグサ・・・黄色(Oenothera glazioviana)のことですが、本来はこの画像の種(しゅ)をさします。
 夕刻より純白の花を咲かせ、一夜にしてピンク色に変わり生涯を閉じます。
 日本へは嘉永年間(1848〜53)に渡来しました。
 これは実生のもので、とあるところから種子を入手しました。やっと、この花に出会えた!!!感動したぁっ!
 北米から南米にかけて自生する一年草です。


2001.6.8(金)・・・Asarinaコレクション
 北米、南米、ヨーロッパ等に16種が分布する植物です。
いずれもAsarina属(Scrophulariaceae・・・ゴマノハグサ科)です。
 左より順にAsarina barclaiana ‘Sky Blue’(ツタバキリカズラ) Asarina erubescens(キリカズラ) Asarina procumbensとなっています。
いずれも挿し芽、種子繁殖できます。この中で一番大きな花をつけるのは、ブラジル原生のA. erubescens(花筒長6cm)、残り2種はほぼ同じ大きさ(花筒長4cm)です。草姿はA. erubescensA. procumbensが、茎葉に細毛が生えており、残りがツルツルです。
A. erubescensA. procumbensは、なんとなく似ている気がするので、交配をしてみました。さぁ、雑種ができるでしょうか?


2001.6.7・・・オオヤマレンゲそっくり。
 花の形も、コントラストも、香りも素晴らしい!感動したぁっ!!
 Rosa ‘Jacqueline du Pre’です。イギリスで育種され、1988年に登録された比較的新しい品種です。
 ‘Radox Bouquet’と‘Maigold’の交雑により作出されたようです。
 ムスクの香りがあります。四季咲き性で、セミダブルの花、花糸がピンク、葯が黄色、そして花弁は白色という素晴らしいコントラスト。

 オオヤマレンゲ(Magnolia sieboldii)そっくりだと思いません?


2001.6.4(月)・・・長い学名
 画像準備中に花が終わってしまいました。5月20日の開花の様子です。
 Nectaroscordum siculum (Ucria) Lindl. subsp. bulgaricum (Janka) Stern という学名が長すぎる植物です。
Alliaceae・・・ネギ科
の植物で、下からのぞかないと、この花の美しさは分かりにくいと思われます。ロウ質の花弁に、ワインレッドのストライプが印象的です。
 この属は、2種が南東ヨーロッパに分布しており、Allium属に分類する人もいます。


2001.6.3(日)・・・ハケのような美しさ
 紅白で登場です。Calliandra(Leguminosae・・・マメ科)は、ネムノキ(Albizia julibrissin)に似た花をつけます。

 左は・・・Calliandra sp. 右は・・・Calliandra portoricensis Benth.です。
 
 葉の形と質感も美しいので、鉢物化できそうな植物です。
 夜になると葉は閉じてしまいます。


2001.6.2(土)・・・ベニガクエゴノキ
  花が満開過ぎになりましたStyrax japonicum f. rubricalyx(Styracaceae)です。
 通常は白色の花ですが、植物学上の品種となっています。
 エゴノキ科の特徴として、花後に乾果がつくと言う点が上げられます。
 ハクウンボク(S. obassia)も美しいですよね。
 (画像準備が遅くなりました)


2001.6.1(金)・・・1属1種の植物
Orphium frutescens (L.) E.Meyer・・・Gentianaceae(リンドウ科)
 南アフリカ原産の1属1種の植物。高さ30〜60cm、葉は無柄、線形または長楕円形、花は赤色。葉のついている集散花序で頂生する。花冠は花筒が短い。

 属名は、ギリシャ神話のオルペウス(Orpheus)からとされる。
 ギリシャ.ローマ神話辞典によると、「オルペウスはホーメロス以前の最大の詩人で音楽家。父はオイアグロス母はムーサのカリオペ(父母とも異説アリ)の娘メニッペーで、オリュムポスの北側のトラーキアで生まれた。ドリュアスたち(木の精であるニンフ)の1人のウリュディケーを妻とした。

 彼女はアリスタイオスに犯されようとし、逃げるときに草むらにいたヘビにかまれて世を去った。彼は妻を取り戻そうとして冥界に降った.。ハーデースとペルセポネーは、オルペウスが地上に帰りつくまで後ろを振り返らないならばとの条件で、エウリュディケーが地上に戻ることを許した。

 オルペウスはこの条件を忘れ、まさに地上に出ようとするときに、妻が自分について来ているかどうかを確かめようとして後ろを振り返ったので、エウリュディケーはたちまちに冥界に引き戻された。トラーキアの女たちは(バッケーという)ディオニューソスの祭りで狂乱のうちにオルペウスを八つ裂きにした。

 オルペウスの竪琴は天井に登って正座となり、彼自身はエーリュシオンの野(神々に愛された人々・・・英雄など、が死後、そこで幸多い生活を楽しんだ野)に赴き、その歌でこの野に送られた至福の人々を楽しませるという。」

 以上のことから、赤い花をつけた頂生する花序をオルペウスの頭とし、原野に咲くこの花を、エーリュシオンの野で、大口をあけて歌うオルペウスに見たてたものであるという見解が強い。