三角関数の基礎知識

 

2001.09.17
最終更新日 2002.05.12

 

(1) 三角関数とはこういうこと

 「直角三角形とは、直角を持った三角形のこと」というのはあまりに当たり前です。もう少しちゃんと直角三角形の意味を考えてみましょう。

 三角形には3つの角があります。この3つの角が決まれば三角形の形は決定されます。直角三角形では、その3つのうちの1つが90゜(直角)であると初めからわかっているのです。

 でもこれだけではまだ三角形の形は決まりません。では、直角以外のもうひとつの角がわかればどうでしょう? 3つのうちの2つの角度がわかったことになりますが、実はこれで三角形の形が決定されます。というのも、「三角形の内角の和は必ず180゜」というルールがありましたよね。だから2つの角度がわかっているということは、3つの角すべてがわかったということと同じなのです。

 以上をまとめると、

直角三角形では、(直角以外の)一つの角がわかれば三角形の形は決まってしまう

 まだこれで終わりではありません。三角形のが決まっても大きさがまだ決まっていません。下の3つの三角形はどれも同じ形ですが、大きさがちがいます。つまり、どの三角形も対応する3つの角度はすべて等しいのですが、対応する辺の長さがそれぞれちがうのです。このように、辺の長さが決まらなければ三角形の大きさは決まりません。

 3つの辺のうちいくつの辺の長さがわかれば三角形の大きさが決まるのでしょうか? 実は3つの辺のうち、たった1つの辺の長さが決まるだけで、残りの2つの辺の長さも決まり、三角形の大きさは決定されます。というのは、三角形の形が決まった時点で、3つの辺の比率は決まってしまっているのです。ですからその辺の比率を利用して、1辺の長さだけから残りの2辺の長さも決定できるのです。

 ここまで説明したことをすべてまとめると、

直角三角形では、(直角以外の)一つの角がわかれば三角形の形は決まり、
さらに3つの辺のうち、どれか
1つの辺の長さが決まれば三角形の大きさも決まってしまう

ということになります。

 

 ただし、暗算で簡単に求めることができるのは、30゜、45゜、60゜の場合だけです。それ以外の角度については三角関数表を見るか、関数電卓やコンピュータを使わなければ簡単には求めることができないのです。ですから、気象予報士の試験に限らず、試験に出題される角度は30゜、45゜、60゜だけです。

 

 

(2) 2種類の三角形だけを覚えよう

 下に3つの直角三角形があります。実は左の二つ、直角三角形AとA’は、置き方を変えただけの同じ三角形ですから、ここには2種類の直角三角形があるということになります。みなさんが覚えるのはこの2種類の三角形A、Bだけです。ちなみに小学校の算数で使った三角定規はこの2つの三角形です。

 

 すでに説明したように、直角三角形では直角(= 90゜)以外の一つの角度がわかれば、内角の和は180゜であるという関係から残りの角もわかるので、三角形の形と同時に、3辺の比率は決まってしまいます。上の直角三角形A,Bについて具体的に考えると下のような辺の比になります。

30゜,60゜の直角三角形Aの辺の比は、1:2:√3

45゜の直角三角形Bの辺の比は、1:1:√2

 

 この比の値は、なぜというより、実際に測ったらこういう比になっているのだという事実なので、深く考えずにそのまま覚えてください。覚えるのはこの2種類の三角形だけで、他の直角三角形については一切覚える必要はありません。

 

 

(3) サイン、コサイン、タンジェント

 三角関数とは、今まで述べてきた角度と辺の長さの関係を利用して、三角形の辺の長さや角度を求める方法です。記号として、sincostan を用います。

 sin、cos、tan とは直角三角形の3つの辺のうち、指定された2つの辺の比をとれ(= 2つの辺の比の割り算をしろ)ということで、言葉でそう言う代わりに記号にしてみただけのことです。sinθ、cosθ、tanθを求めよと言われたら、次のようにします。

1) 直角(90゜)が右下になるように、

2) 角θが左下になるように三角形を置く

3) sinθ なら、縦の辺/斜辺 を考える
  cosθ なら、横の辺/斜辺 を考える
 tanθ なら、縦の辺/横の辺 を考える

 直角(=90゜)が右下になるように三角形をおいたとき、斜めになっている辺を斜辺といいますので覚えてください。こうやって求めた数値が sin 、cos 、tanの値です。慣れてくればいちいち三角形をこのように置かなくても、頭の中でパパッと計算できるのですが、慣れないうちは無理せずにこの置き方で考えるようにしたほうがよいでしょう。

 

 どの辺でどの辺を割るのかをすぐ忘れてしまう人には、次のような覚え方があります。

 sin の "s"、cos の "c"、tan の "t" を筆記体で書いたときのスペルを考え、それを三角形の辺に対応させます。そして、スペルの書き始めに対応する辺で、スペルの書き終わりに対応する辺を割ります。

 

 では具体的に、sin30゜、cos30゜、tan30゜ について考えてみましょう。計算にはすでに覚えたとおり、30゜の直角三角形の辺の比、1:2:√3 を使います。

sin30゜は、縦の辺/斜辺 を考えるのだから、1/2

cos30゜ は、横の辺/斜辺 を考えるのだから、√3/2

tan30゜は、縦の辺/横の辺 を考えるのだから、1/√3

 

 次は、sin45゜、cos45゜、tan45゜ について考えてみましょう。計算にはすでに覚えたとおり、45゜の直角三角形の辺の比、1:1:√2 を使います。

sin45゜は、縦の辺/斜辺 を考えるのだから、1/√2

cos45゜ は、横の辺/斜辺 を考えるのだから、1/√2

tan45゜は、縦の辺/横の辺 を考えるのだから、1/1 (= 1)

 

 これらの三角関数の数値は無理に暗記する必要はありません。その都度、ささっと直角三角形を書いて辺の比から計算すればいいのです。これを何度もやっていれば、そのうちに自然と数値は覚えてしまいます。

 

 

(4) 0゜と90゜の場合

 三角関数では、0゜と90゜の場合も大事です。ただし、θが 0゜と90゜という直角三角形を図形として書くのは不可能ですから、これはそのまま覚えてしまいましょう。

sin 0゜=cos 90゜= 0

sin 90゜=cos 0゜= 1

 (5)で説明しますが、 sin とcos は(90゜−θ)の関係にあり、それがこの場合でも成り立っています。

 


 これ以下の内容については、気象予報士試験に関する限り無理に覚える必要はないかもしれませんが、念のために説明しておきます。これも高校数学氓フ内容です。

 

(5) sin とcos の関係 

 この二つのあいだには、

sinθ = cos(90゜- θ) あるいは、 cosθ = sin(90゜- θ)

という関係があります。数式でわかりにくければ、「sin と cos の角度を足してちょうど90゜になる場合、両者の値は同じである」と覚えてもいいでしょう。具体的には、

sin30゜ = cos 60゜= 1/2

sin60゜ = cos30゜ = √3/2

sin45゜ = cos45゜ = 1/√2

となります。

 

 

 以上、三角関数の基礎について説明しました。三角関数に関してはこれ以外にもたくさん学ぶことがありますが、気象予報士試験の知識としてはこれだけで十分です。

 


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