樋口真道氏(Tシャツの人):野鳥の会東京、元神宮の観察会の常任
「気の長い話」

 赤羽自然観察公園がオープンしてから3回目の夏を迎えました。今、公園には夏草が生い茂り、トンボが飛びかっています。ドングリから育てたクヌギやコナラの苗も、やっと背を伸ばし始めました。
 自然観察公園なのだからぜひ自然観察会をやろう、と何人かの有志が集まって開園の日に公園内で自然観察会を開いてから、毎月1回の観察会を続けてきました。この8月ですでに30回目となります。毎月第1日曜日の午前中に、2時間ほどの時間をかけて自然観察会をおこなっています。
 2年半前にこの公園がオープンしたときには、斜面には背の低い裸の苗木だけが植えられていて、見渡せば茶色の土と石ばかり、というありさまでした。それが今見るとどうでしょう。雑木林とまではいかないけれども、すっかり野山の風景に近づきつつあります。
 そう遠くない昔に、人間の暮らしのそばにいつも普通にあった自然の風景、今風に言うと「里山」というのでしょうか、それを街の中に再生しようとこの公園は作られました。都市化する以前の赤羽には普通に生えていたであろう植物の苗を植え、種をまき、そしてその後はそれらが成長するのにまかせてのんびりと時間をかけて公園ができあがっていく、そういう公園なのです。それはとても気の長い話でもあります。
 完成はいつになるのでしょうか。20年後、それとも50年後でしょうか。そもそも本当の里山の自然は、長い年月をかけてはぐくまれてきたもののはずです。それと同じものを何もないところから創り出そうと思ったら、やはり同じように長い長い時間がかかるのです。自然とはそういうものです。いったいどうなったらこの公園は完成なのかという質問を受けることがあります。それは私にもわかりません。私が生きているあいだには完成しないのかもしれません。しかし、完成に向かってゆっくりゆっくり成長しているのも確かです。 
 自然を創り出そうという、気の長いこの公園で、私は毎月自然観察会を開いています。毎月必ず自然観察会を開くのは大変でしょう、と聞かれることもあります。確かに毎月続けていくのにはそれなりの苦労もあります。でも本当の自然とは日々移り変わっていってしまうものですし、晴れの日と雨の日ではまったく違う顔を見せます。ですから、そのような自然の成長を観察しようと思ったら、毎月、いや毎日、続けることが大事なのです。また、たくさんの目で見ればたくさんの発見があります。自然が自らの力で作り上げた自然には、ふところにたくさんの引き出しがあって、たくさんの宝物を隠しています。宝物探しは毎月やっても尽きることがなく、けっしてあきることはありません。
 とても気の長い、けれども一日一日着実に成長していくこの公園を、私は一生見つめ続け、そして、この気持ちをたくさんの人たちと共有していきたいと思っています。私たちの次の世代に伝えていくためにも、毎月の自然観察会を通して、みんなでこの公園の成長を見守っていきたいのです。
 赤羽自然観察公園の自然が成長し続けていく限り、これからもずっと自然観察会を続けていくつもりです。
 (毎月第一日曜日朝10時に池のほとりでお待ちします)

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